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26.
彼女の目から、眼が離せない。
一つひとつの何かというなにかが圧倒的物量で心身を蝕んでいくせいで、まともに頭も働かない。
彼女は今、いったい何を、どういう意味で言ったのか。
パズルをいちまいずつゆっくりと、丁寧に、けれどもどこがおぼつかない具合に補完していく。
しかし……
「なーんってね。ウソウソ。流石にそこまで無責任なことはできないよねっ」
すべてがまとまるより先に、彼女は訂正した。
にこっと笑うその横顔は、なんというか、不自然に見えた。
「また明日もがんばろうね。って言っても、もう日は回っちゃってるんだけど」
持ってきた漫画をバックに手早くおさめてから、「またねっ」と言って振り向きざまに手を振った。
ドアがパタンッとしまった音を聞いて、体表と体内の熱が一気に霧散する。
その拍子に全身の力もいっしょに抜け落ちてしまったんだろうか、オレは重力に身を任せるままにソファに身体を預けた。
「心臓に悪いぞ……ゆうか」
頭はまるで、温泉に浸かりすぎたあとみたいにのぼせ切っている。
今日はもう、これっぽっちも寝つけそうになさそうだ。




