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腕輪(アリーシャ目線)

お母様が聖女の旦那さんを後妻になったのが私の運命の始まりだった。

元娼婦だったお母様と共に、私が持つ魅了の異能を使っていろんな金持ちの男のところに転がり込んで奪うだけ奪い取るような生活を送っていた。だから、食いっぱぐれる事はなかったし、気に入ったドレスとかの欲しい物なんかなんでも手に入った。

まだ未熟だった頃に使った魅了の異能が解けた男は私たちを罵倒し追い出されたことも多々あった。

でも、私達はもっと欲しがった。永遠の富を。その為には多額の保険金をかけた"パパ"を病気と偽って殺めることなんて容易い事。

私にはもう一つ欲しかった物があった。それは神に選ばれた者しか授けられない聖なる力と聖女の肩書き。

聖女は国や村や街を守り、傷付いたり病に侵された人間を助ける聖なる存在。みんな慕われる存在だ。

私もみんなに頼られ慕われるような存在になりたかった。勿論、慈善の為なんかじゃない。自分の欲のためにだ。

みんなの注目の的になって、ちやほやされて、何も言わなくても命令を聞き、なんでも与えられる特別な存在に私はなりたかった。

未来の旦那様は勿論大金持ちか王族。そして、とびっきりの美男。そこだけは譲れない。

そんな時に出会ったのが今のお父様。お父様は妻である聖女の働きに妬みを持っていた。

お父様の爵位は伯爵。でも、その爵位も妻が聖女としての働きがあったからこそ手に入れたものだとお父様は悔しがりながら話していたのを覚えている。

お母様はそんなお父様の心に付け込み、彼の心を奪うことに成功した。

お母様はなんでも知っている。心の奪い方も、金の手に入れ方も、魔道具のこともなんでも知っている凄い人。

毒薬のことも当然知っている。


「アクレストさん。これを貴女の奥様に飲ませればいいのです。少しずつゆっくりとね」


お母様が渡した毒薬をお父様は嬉しそうに受け取った。そして、お母様に言われた通りメイドを使って毒が入ったお茶を聖女に飲ませた。

日に日に聖女は弱ってゆき、最後は施しができなくなるほど衰弱していった。

血を吐き苦しむ聖女の姿を私達親子は陰で笑いながら見ていた。

聖女の娘のエレナが必死になって介抱してる姿なんて今思い出しただけでも笑えてきちゃう。


(早く死んじゃえ。アンタらの立派お屋敷は私たちのものになるのよ。だから死んで。真面目に死んでいってよ)


そう願っているうちに聖女は死んだ。葬式を終えた翌日にはお母様と一緒に元聖女の屋敷に転がり込んだ。

そのままお父様の後妻になったお母様は屋敷の環境を一気に変えていった。

元聖女とその娘を慕っているバカな使用人達は全員解雇。

新たに迎えた使用人は私達の都合が良い人間しか集めなかった。

エレナの部屋やその中にあった家具やドレスとかも全部私が奪ってやった。エレナの死んだ母親が持っていた物も全部奪っていらない物は売り飛ばしてやった。

あと一つ欲しい物があった。それは、エレナの中で眠る聖女の力。

エレナは聖女の一族の血を引く娘。でも、まだ聖女の力は完全に開花していない様子だった。

お母様は魔道具を使ってエレナの状態を観察して、聖女の力と聖女の肩書きが欲しい私の願いを叶えようを考えてくれていたのだ。


「どうしてあんなブスが聖女なのよ!!許せない!!!」

「慌てちゃダメよアリーシャ。もう少しであの力も聖女の名も貴女のものになるのだから」


お母様は我儘を言う私の頭を撫でながら優しく諭してくれた。お母様は本当に優しいし、私の願いをなんでも叶えてくれる人。

それから数日後にお母様はある物を私にプレゼントしてくれた。

プレゼントされた黒い箱に縛ってある赤いリボンを解きながら箱の中身を確認した。


「何これ?金の腕輪じゃない?なんで?まだ私の誕生日じゃないし、私の趣味じゃないわ」

「これはね、あの元聖女の娘から全てを奪える腕輪よ。貴女が持つ魅了の異能の力をさらに増幅させる魔道具。これで貴女の願いがようやく叶うわよ」


お母様の言う通り間の腕輪をつけた頃から私は治癒の能力を使えるようになった。徐々に浄化の能力も使えるようになってきてまさに聖女そのもの。

お父様や使用人達、そして、村のみんなは新たな聖女の誕生にとても喜んでいた。

私が持つ魅了の異能も完全に開花し、みんなを虜にしていった。

当然、聖女の血を引いているにも関わらず聖女の力を開花ではなかった無能なエレナはみんなから蔑まれた。

奪われた側なのに本当に惨めで、私やお母様、血の繋がった実父や、使用人達に怒鳴られ殴られる姿は本当に最高に面白かったし快感だった。

エレンが幼馴染のテレンスからプロポーズされたと聞いた時はすぐに彼を魅了の異能を使って私の虜にして寝取ってやった。

そして、私の誕生日会でテレンスとの婚約を発表してやった時のエレナの表情なんか情けなさすぎて笑ってしまった。

それから屋敷を出ていったのか、いつの間にかエレナの姿は見えなくなっていた。

サンドバッグ要素がいなくなったのは少し痛手だけれど、どうせ村の先にある森の中でのたれ死んでるに違いないと誰も彼女を探さなかった。

テレンスもエレナに興味をなくしていたのでどうでもいいと言いたげな様子だった。


「っ…痛いわね…何かしら」

「大丈夫かい?」

「ええ。平気よ。聖女の力を少し使いすぎたみたい。今日は早めに休むわ」


エレナが居なくなってから腕輪をしている右手が痛み始めた。お母様にも相談し、原因を探ってもらってる最中だが日に日に痛みが強くなってきてる。

まさか、聖女の力の施しを富裕層にしかやらなくなったせい?貧困層には高額のお布施をしなければ力を使わないと言い始めたのが神様が何かにバレたとか。

そんなの関係ない。こんな痛みすぐに消える。

聖女の力をあんな薄汚い奴らに施すより、豪華絢爛な貴族のような人たちに施す方が何倍も価値がある。

金のない無能な奴はとっとと消えればいい。

私はエレナから奪った聖女の力を使って更にお金以上のモノを手に入れてやろうと強欲になっていった。





その過ちが炭化につながるなんてその時は知る由もない。

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