Age 6
「かなー、これなんだろう?」
テーブルの上に乗っていた一冊の雑誌。気になって、隣にいた、かなという女の子に見せる。
かなとは一緒にいることが多く、お互いの家によく遊びに行くほど仲が良かった。
「んー? えっと……これ、えいごでようびがかいてあるみたい。なんようびかはわからないけど」
「よくしってるねー」
「うん! だってままのてちょうにかいてあったもん」
かなは観察力が良い。ただ、肝心なところが抜けてしまうところがあったりする。今の場合で言えば何曜日かわからない、とか。
そして、それがいわゆるスクープ雑誌というのも、その頃の自分たちにはわからなかった。
「これ、なかみてもいいのかな?」
自分の家なのに、なぜかかなに確認を取ってしまう。思えばこの時から、かなには頭が上がらなかったのかもしれない。
「みようみよう! わたしのぱぱもね、これもってるのみたことあるの」
一応、自分のものではない家の物にあまり触るなと言われていたので、念のためあたりを見回す。
母さんは夕食の買い物に出かけている。父さんはまだ会社から帰ってくるには早い時間だった。
「よし、じゃあみようか。えっと……ここ!」
大丈夫と判断して雑誌を床に置き、かなと肩を並べて適当な一ページを開く。
その偶然開いた場所が、今後のかなとの関係を決定づけるものになるとは思いもせず。
「な、なに? これ……」
かなが何か言う前に、続けて声を出す。かなの様子を見ると、ほおに手を当ててうつむいていた。
「かなー?」
かなをのぞきこむようにして目を合わせようとする。かなはしばらく動かずに固まっていたが、視線が合うなり、手を上下に振りはじめる。
「どうしたの? とりさんごっこ?」
「ちっ、ちがうよ!」
ようやく声を出したかなは、大声を出したかと思うと急に落ち着いたりなんかして、解説を始める。
「こ、これはね……きすっていうの」
「きす?」
めくられたページに載っていたのは、芸能人の男女が、公園らしきところで寄り添っている写真だった。
「きす……わからないの?」
うんと首を縦に動かす。その頃の自分は、本当に知らなかった。幼いということもあったが、そもそもその方向に鈍かったのかもしれない。
「あのね……きすっていうのはね、なかのいいこどうしが、きもちをおしえあうためにあるんだよ」
「そうなんだー、かなすごいね」
だからかなの言う定義にも、何も疑うことはなかった。
「ねえねえ、わたしたちもなかいいよね」
「そうだね」
「きもち、わかるかどうか……ためしてみようよ」
「うん、いいよ」
あまり深く考えることもなく二つ返事で承諾したところに、両手を床についたかなが迫ってくる。
とっさに目をつぶったのであまりよくわからなかったけど、湿った何かがぶつかる感触、かすかに唇に触れる息づかい。
なんとなくかなを感じるような気はした。
「わかった?」
唇を離したかなが聞いてくる。
「うーん……わかんない」
かなを感じる、それは実際に隣に今までかながいたのだから当たり前のことだと思えば、それ以外のことは何か伝わってくる感じではなかった。
だから、その時の自分はそう答えていた。
「そっかぁ、ざんねん」
なぜか、かなはその言葉とは逆に満足そうな顔をしているような気がした。
現時点で連載中となっているのを放置して新しく始めて良いのか? と言われそうですが。
大丈夫です。
次で終わりだったりします。




