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25話 宅配ママゾンの奇襲


   *


 ある日の午前、うららかな小春日和に――


 ――ピンポン。


「はーい」


 家のチャイムが鳴ったので、2階の階段をドタドタと駆け降りて玄関に立つ。

 こんなご時世なので、まずは扉越しに来訪者の素性を問う。


「どなたですかー?」

「ママゾンですー」

「ママゾンかー。あれ、でも私何か頼んだっけな?」

「ええっと、『透け透けレースブラ3色盛り合わせ』頼まれませんでしたー?」

「盛ってるんですかー?」

「そうですね、盛り合わせなので盛っています。ちなみにサイズはHカップです」

「あっ、Hカップなら(ふぅ)ちゃんかな。はーい今開けまーす」


 何の疑いもなく、私が玄関の扉を開け放ったその時だった――


「ハッハー! 騙されたな白狼! 俺はナイフ使いのスライト様だ! 今日こそその首、貰っていくぜ!!」


   *


 その日の昼前の事だった。


 ――ピンポン。


「はーい」


 家のチャイムが鳴ったので、2階の階段をドタドタと駆け降りて玄関に立つ。

 こんなご時世なので、まずは扉越しに来訪者の素性を問う。


「どなたですかー?」

「ママゾンですー」

「ママゾンかー。あれ、でも私何か頼んだっけな?」

「こちらには『ぬちょぬちょ触手3本セット』と書いておいでですよ。マドモアゼル」

「私マドモアゼルではありません」 ※ フランス語で未婚の女性の敬称

「それは失敬を……ちなみにマドモアゼル、こちらの商品には女性用と書いておいでですよ?」

「じゃあ風ちゃんかな。はーい今開けまーす」


 何の疑いもなく、私が玄関の扉を開け放ったその時だった――


「ワーッハッハッハ! 騙されましたね白狼! 私は風裂きのルディンです! さぁ、私の風でアナタを切り刻んであげましょう!!」


   *


 丁度お昼ご飯を食べようとしていた時の事だった。


 ――ピンポン。


「はーい」


 家のチャイムが鳴ったので、2階の階段をドタドタと駆け降りて玄関に立つ。

 こんなご時世なので、まずは扉越しに来訪者の素性を問う。


「どなたですかー?」

「ママゾンだどー」

「ママゾンかー。あれ、でも私何か頼んだっけな?」

「『超絶スケベ。夜のお供ににゃんにゃん獣人族コスプレセット』って書いてあるど」

「それは風ちゃんだ。今開けまーす」


 何の疑いもなく、私が玄関の扉を開け放ったその時だった――


「ヴァーっハッハッハ! 騙されたな白狼! オラは棍棒のガドフだどー! その首もらって、大金持ちになるど!」


   *


 ――で、だ。


 私の家のリビングには、ボコスカに痛めつけてロープで締め上げたマンモス三人衆が積み上げられていた。


「ちくしょう白狼の野郎! 俺の天才的閃きで、完全に意表を突いた筈なのによ!」

「オラの完璧な作戦……何処から見破っていたんだど?」

「私の案に抜け目は無かった筈だ。完璧に宅配業者を装った筈だ!」

「なにールディン! お前まさか、宅配業者に(ふん)してコイツに近付いたのか? 発想まる被りじゃねぇかよ」

「な……! 私の考えた緻密で高尚な作戦を……スライト、アナタも?!」

「オラもだどー。みんな仲良し。やっぱり元『ぱいんぱいんプリン』のメンバーは気が合うど〜」

「あっ、昔古龍を討伐した時のパーティ名は言わない約束ですよガドフさん」

「お前が勝手に申請しちまったパーティ名だけどよ、言うとダセェって笑われるんだぜガドフ」

「ええ〜オラは気に入ってるど」

「はっはっはっはっは……」


「じゃねぇよバカ三人衆!!」


 和やかな談笑が始まった所で、私はフローリングの床を踏み鳴らしてコイツらを黙らせた。


「ひいいいい――っ!!」


 迫真の悪役ヅラに声を失ったSランク冒険者たち。

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