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【凶悪!おっさん少女】ある日突然、むくつけきオッサンになった私。  作者: 渦目のらりく
一章 最強“最悪”のオッサンがうちに来て、全てを奪い取っていった日
23/54

23話 爆誕! プー太郎!


 ――だがしかし、この騒動には、もう少しだけ続きがあった。

 ちなみにクルミは、面倒くさそうな事になる前に帰った。


「あっ、あれは聖魔教会の〈神父〉様だ!」


 巨大なタコの亡骸(なきがら)が転がった波乱の荒野に、風香ちゃんの上司にあたる、超お偉いさんがやって来た。

 かしこまる聖魔教会の荒くれ者の前に立ち、こぼれそうなおっぱいを抑えた風香ちゃんが、ドヤ顔で神父の前に立つ。


「神父様! 今回の騒動は私が! このわ・た・しが全部丸く収めました!」

「ほお、君がねぇ、風香くん」


 ハゲた神父は、私を含めた辺りの惨状を見渡すと、大体の成り行きを理解した風に首を振った。


「そうなんです神父様! 私が、何度も言いますがわ・た・しがこの場をとりまとめ、この魔王軍四天王の『町喰い』を討伐(とうばつ)、そして町に迫る脅威を取り除いたのです!」

「ふ〜ん」

「それでご相談なんですが……是非とも賞与と進級の方をですね……」


 神父にすり寄りながら、薄汚い笑みでヒソヒソと話し始めた風香ちゃんに、ハゲはピシリと立てた指先を向けた――


「ん、どうされたのです神父様」

()()

「ああ、クビですね、はいはい。……それで結構弾むんですよね、しょう――ヨ……ッッ?!!?」

「うん。キミクビだぁ。流石に町人全員の命に危機を招いたキミは、もうとても公務員としては雇用出来ない」

「ンナァアア――ッッ!!!!!? ナゼダ、何が!!? ナンデナンデッ!!?」


 ひどく混乱して神父の胸ぐらまで掴み始めた風香ちゃん。彼女の必死な様を見て、マンモス三人衆はゲラゲラと笑っている。(こいつらやっぱカスだな)

 一心不乱にぐわんぐわんと神父を揺すりながら、風香ちゃんは泣き喚いた。


「言えええええッッハゲェエエエ!!! 間違いでしたと言ええええ、取り消せええええ!!!!」

「そうは……っ言ってもね……っ『町喰い』は強い闘気に反応して移動する魔獣……っつまりは白狼の闘気にあてられて、ここに来たと考えるのが妥当だよね……ぅっ職務を放棄して一人白狼を追い詰めたキミが……ぅぅっこの災厄を招いた張本人という事になるだろう……ううう、揺するのやめてぇ、頭も叩かないでぇえ、もう普通にこれがキミを退職させる理由にもなるよぉお……っ」

「うわぁああああなんでだぁああああ!!!」


 狂乱した風香ちゃんの掌が、パシンと神父の頭に叩き付けて、真っ赤な手形を残していた……

 神父の視線がジロリと私に差し向く――


「今日の所は……この功績に免じて目を瞑りますが、白狼。やはり聖魔教会はアナタを容認しかねる……それをゆめゆめお忘れなきように」

「……っ!」


 部下に頭を引っ叩かれている男から放たれているとは、とても思えない重圧が私を襲った。そして神父は鋭い眼光でこう付け加える……


「ああそうだ……〈司教〉様が()()によろしくと」

「旧友? 〈司教〉が?」


 私にとっては意味の分からないやりとりだった。クルミも知らんぷりを決め込んでいる。

 やがて神父はこの場を丸く収め、町人を解散させて聖魔教会の信徒たちを引き連れて帰っていった――


「うぇええーん! お前のせいだ白狼、私は今日からプー太郎だぁぁ……」


 爆笑する三人衆と、泣き崩れた風香ちゃんだけがその場に残されていた。

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