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【凶悪!おっさん少女】ある日突然、むくつけきオッサンになった私。  作者: 渦目のらりく
一章 最強“最悪”のオッサンがうちに来て、全てを奪い取っていった日
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17話 魔王軍四天王『町喰い』襲来!

「いぎゃあアァアアア!! 殺される。みんな殺されるんだ!」

「魔王軍四天王の『町喰い』だぞ! 町毎潰されちまう!」

「なんなんだこの馬鹿でかい図体はぁあ!!」


 まさかの超巨大獣の襲来に、町人や聖魔教会の信徒たちは大パニックに陥っていた。

 絶句した風香ちゃんが、ニコニコと走り寄ってきたパラディン後藤の胸ぐらを掴む。


「おい少年!! なんてとんでもないものを連れて来てきてくれたんだ! これでは私たちの町が丸ごと消し飛ぶぞ!」

「えー?」

「……くっ……今は言い争っている場合ではないか、人類の存亡をかけた未曾有(みぞう)の危機だ!」

「ふっふっふ……ならやはり、僕たち選ばれし者の出番という訳だ」

「ああもう、どうしてこんな所に魔王軍の四天王が!? どうすればいいの!」


 手枷を掛けられた姿のまま、私は漠然(ばくぜん)と空を見渡していた。


「タコ……こんなおっきいタコ……やっぱ外こええ、こんなろくでもねえとこ、出てくるんじゃ無かった」


 阿鼻叫喚(あびきょうかん)の始まった大混乱の荒野にて、そこに集った聖魔教会の信徒たちはタコに一斉攻撃を始める。


「くそッ巨大過ぎて全く攻撃が届いてねぇ!」

「〈司教〉を呼べ! 早くしろッ、町が呑み込まれるぞ!」


 デカすぎる化け物には攻撃の手立てがなく、いよいよと私たちの頭上に覆い被さると、だらんと無数の触手が垂れて来た。それは細く、無数に分裂して、眼下の人々に絡み付き始める。


「うわぁああ助けてくれ!」

「ヌメヌメする! なんだこれは、消化液なのか? ニュプニュプして、切る事も出来ない!」


 垂れ込めた無数の触手に(8本じゃねぇじゃねぇか)人々が絡め取られていく光景。人々はその災害に、なす術も無く悲鳴を上げていく。

 するとそこで、矢の様に走り出した3人の男たち――


「いくぞガドフ、ルディン――」

「ええ」

「いくど!」


 走り出したSランク冒険者に気付き、人々は手を打って彼等の快進撃を待った。


「すごい! Sランク冒険者のガドフとスライトとルディンだ!」

「なんてついてるんだ、俺たち助かるぞ!」

「来るぞ!! あの古龍を討伐したという、伝説の技が!!」


 雄叫びを上げ始めた彼等は、やはり例のフォーメーションを取り、光り輝いた――!


 「「「『龍殺地底魔獣神(マンモス)』!!」」」


 ――――べぃん!!


 そんな奇怪な物音で、空の彼方(かなた)にまで弾き飛ばされたマンモスを、人々は目を丸くして眺めていた。


「うわあああああマンモスーーーーー!!!!!」


 ミニカーが足にコツンと当たったから蹴り飛ばした、とでも言った具合に、彼等の神獣はまた呆気なく何処かへ飛んでいってしまった。パオオォンと遠くで声が木霊(こだま)している。スライトは泣いていた。

 怒り心頭の町人達がまくしたてる――


「うわあああ、あの冒険者共使えねぇえ!」

「何がSランクだ! しね!」

「なんで3人ともブリーフなんだよ、公然わいせつ野郎!」

「んだど〜!?」


 石を投げ始めた町人にガドフが振り返っていると、私は彼の背後にタコの触手が忍び寄っている事に気がついて――とっさに叫んだ。


「ガドフ、後ろ!」

「んぁっ! しまった!」


 ――迫り寄る触手が彼を絡め取らんとしたその時、とっさにガドフに体当たりをかまして身代わりになったのは――


「グゥああ〜!!」

「スライトさん!」

「スライトー! オラの身代わりに!」


 全身をヌメヌメの触手に絡み付かれ、空へと連れ去られていくスライトだった!


「ぬうぁ! ぬぅああ! なんだこのヌメヌメは!」


 なんだか際どい所に巻き付いて、頬を赤らめている彼に、各所から嗚咽(おえつ)の声が漏れ始める。(いや可哀想だなアイツ)


「はっ――!!」


 ぼんやりと、吐き気を(もよお)す光景を見上げていた私は、はたと自らが絶好の機会に遭遇(そうぐう)している事に気付く――


「触手……ヌメヌメ……ゲームや同人誌の中での妄想が……実体化している!!」


 ファンタジー世界との融合も、何も悪い事ばかりではないのかも知れない。

 閃光のような(ひらめ)きが私に走る――

 つまり私が今、なによりすべき事は――――!!!


「見なければ……風ちゃんのぬちょぬちょ触手シーン」


 ――なのである!

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