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【凶悪!おっさん少女】ある日突然、むくつけきオッサンになった私。  作者: 渦目のらりく
一章 最強“最悪”のオッサンがうちに来て、全てを奪い取っていった日
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16話 眠れる“タコ”を起こして来たクソガキ


「さぁ、降伏しろ」

「――……っぁ」


 長く項垂れ、気配に気付いて見渡すと、私を取り囲んでいたのは、所狭しとひしめき合った町人と、聖魔教会の信徒たちだった。その数ゆうに1000は越えている。今に石でも投げ出さんばかりに目の色を変えている。


「もう無理なのかなぁ……」

「白狼……私を助けるのだと思って、どうかここは穏便に済ませてくれないか?」

「風ちゃん……」

「いや本当に助けてくれ。もうにっちもさっちもいかんのだ。私を借金地獄から助け出すと思って……ホラ」


 いやアンタの私情かよ……

 風香ちゃんの胸元から取り出された手枷(てかせ)が(あったかい)、膝を着いて降伏の意志を示した私の両手首にガチャリとはめられたその時だった――


「おーいみんなぁー! 悪モノを見つけたぞー!」

「んぁ? さっきの可哀想なガキ、戻って来たど」

「見つけたって何言ってんだ? デタラメな方角に追っ払っただけなのに、何言ってやがる」


 緊迫した空気に切り込んできた少年――パラディン後藤は。遠くから大手を振って、私たちの元に駆け寄って来ている。純真な目をした少年に期待しても無駄だろうが、全く空気が読めていない。


「こいつは僕一人では無理だー! おーい、力を合わせてこの悪を討とう!」

「やれやれ、すっかり仲間意識を持たれていますね。……まぁ仕方が無い、庶民のガキに倒せぬ敵など、そこらの魔獣か何かでしょう。ちょっと私が行って――」


 ――その瞬間。パラディン後藤の背後にそびえた巨大な山岳より()()()は、嘘みたいにデカく、禍々(まがまが)しい姿で空を埋め尽くしてら私たちに影を落とし始めた。


「ナ――――!」

「が――――っ!!!!」

「ハ――――ッッッ!!!!」


 一瞬で顔を凍り付かせた面々が、目が飛び出すのでは無いかという程に驚愕(きょうがく)しながら、下顎を落とした。

 町の全土に影を落とす、円盤型の浮遊した巨大獣――タコの様なその化け物は、無数の触手で大地を引きずるまま、一心不乱に少年の後を追い続けていた。


「なな、ななぁオイ!!! そ、ソイツはぁアアアまさか!!!」

「う、嘘です。神話級の化け物が、なぜこんなぁ――!!」

「みんなの言ってた悪モノってこいつの事だろー? 今こそ力を合わせよう。大き過ぎて攻撃できないんだー」

「んがぁあー!!!! そ、ソイツは魔王軍四天王の『町喰い』じゃねえのかどおお!! そんな奴どこで見つけて来たんだど!!?」


 何やら危機感もなさそうに満面の笑みを浮かべているパラディン後藤。彼の後を追って来ている災害レベルの巨大獣は、ガドフの言うように、未だこの世に混沌(こんとん)を落とそうとする“魔王”の配下――四天王の『町喰い』で間違いが無かった。


「何処って、10キロ先って言ってただろー? そこで洞窟を見つけて、禍々しい妖気が出てたとこに剣を突き刺したら出て来たんだー」


 その巨大な図体で、町毎壊滅させる事からついた異名『町喰い』――恐怖の象徴が今、私たちの町にUFOみたいに飛来して来ている。(とんでもねぇ事してくれたな馬鹿ガキ!)

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