4
こんな時間に女一人で出歩いているだけでも変なのだが、自分もそうなのでその点については何も言えない。
女はその女の横を通り過ぎることにした。
するとその女が一瞬で女の前に来た。
――!
そして女は気づいた。
その女は首だけで、その下にはあるべき体がないということに。
また感じた。
邪悪なるものの気配。
野上は見ていたテレビを消した。
午後九時過ぎ。
たしか前も同じ時間だったような気がした。
――何なのかしら?
野上は探った。
その感じたものは、前と同じものだった。
それがなんであるのか、どこにいるのかがわからないという点も同じだった。
しかし野上は探るのをやめなかった。
この感じ。
とにかくただごとではない。
きちんと探って細かく把握しておく必要がある。
野上はそう思った。
しかしいくら探ってみても、それ以上のことはまるでわからないのだ。
――ほんと、何なの。まったく。
野上は強い疲労を感じ始めていた。
探ることで野上がこんなにも疲れたことは、まだ二十一年の人生の中では、一度も感じたことがなかった。
それほどに集中したのだ。
それでも探るのを止めなかったが、やがてそれの気配が薄く小さくなっていった。
野上は前回もそうだったが、そこで諦めた。
夜に呼ばれた。
刑事はもしかしてとは思った。
そしてその通りだった。
首無し殺人事件。
そして前回と同じように路上で見つかった死体。
夜中に裏路地を封鎖して捜査が始まった。
死体はもちろん検死官のもとに運ばれた。
これ以上はない自信を持って言えるほどの捜査が行われたが、結果は前回と同じ。
通行量は少ないとはいえ、いつでも誰でも通ることのできる路上。
そこから犯人だけの何かを見つけ出すことは前と同じくできなかった。
わかったのは被害者がここで首を切られたということだけだ。
その方法はまるでわからない。
もちろん犯人も。