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さまよう首  作者: ツヨシ
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滝田は驚きを通り越して困惑してしまった。

あまりにも意外過ぎる女性の言葉。

しかしこの女性からは詳しく話を聞く必要があると滝田は感じた。

「そのお話、詳しくお聞かせねがえませんか。こんなところで立ち話も何なので、どうぞこちらへ」

滝田は諸星を中へ案内した。

応接間で二人で向かい合って座る。

滝田はお茶を出すのも忘れて言った。

「ここの住職の滝田播磨と言うものです。ところであなたは?」

「諸星明美です」

「諸星さんですね。いろいろとお話があるようですね。ぜひ詳しく聞かせてもらえませんか」

「はい」

諸星は話した。

最初に目の前で少年が殺された時の様子から、時系列に沿って順番に詳しく最後まで話した。

滝田はしばらく黙っていたが、やがて言った。

「連続首切り殺人の犯人、ひょっとしたらさあやさんにとりついた悪霊なのではと考えてはいましたが、まさかそんな化け物になっているとは。諸星さんのおかげで確証を得ることができました。ありがとうございます」

「いえいえ、とんでもないです」

「それにしても諸星さん。あなたは本当に変わったお方だ。いやこれは誉め言葉です。何の関係もないうえに、あれだけ怖くて危険な目にあったにもかかわらず、自らそれに関わり続けるなんて」

「ええ、子供の頃からよく言われるんです。変わっている、おせっかいが過ぎるって」

「いえ、本当に素晴らしい長所ですよ。誇ってかまいませんよ」

そう言うと滝田は笑った。

それを見て諸星は思った。

なんてさわやかな笑顔なんだと。

これほどまでにさわやかな笑顔ができる人は、いままで見たことがなかった。

それによく見れば、けっこうなイケメンだ。

諸星は自分のほほが火照るのを感じた。

「それになんだか不思議な力もお持ちのようですね」

「野上さんにも言われました。でも結局どんな力なのかはわからなかったんですが」

滝田はじっと諸星を見つめた。

諸星は目を合わせることができなかった。

「ちょっと失礼します」

そう言うと滝田は、諸星の手を握ってきた。

諸星はほほどころか全身が熱くなるのを感じた。

滝田は驚きの色で諸星を見つめ、やがてその手を離した。

「これはこれは、あなたには本当に驚かされるばかりです」

「えっ?」

「あなたのおかげであの化け物に対抗する手段が思いつきました。そこで一つお願いがあるのですが」

「なっ、なんでしょうか?」

「今夜九時過ぎに、仲間を集めてあいつを除霊しようと思うのです。夜九時過ぎと言うのは、あの悪霊が人を殺す時間であり、あの悪霊が人間だった時に死んだ時間でもあるのですが。とにかく除霊に諸星さんも参加していただきたいのですが」

「えっ、私がですか。でも前に野上さんにも誘われた参加しましたが、私はなにをしていいかまるでわからず、結局何もしなかったんですが」

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