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さまよう首  作者: ツヨシ
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滝田は今までの知識と経験をもとに考えてみた。

二、三思い当たる悪霊がいるが、それはいずれも県外だ。

多くの悪霊は自分の死んだ場所からそれほど離れることはない。

しかし悪霊の中にはその場にとどまらず、大きく移動する奴もいる。

それなのだろうか。

滝田はいろいろと考えてみたが、どれも確信はもてなかった。

これだけのことをしでかす悪霊だ。

闇雲に動くことはあまりにも危険だ。

現にそれなりの力を持つ野上が命を奪われている。

どんなやつかある程度見極めて、事前に周到な準備をしておく必要がある。

滝田だって人間だ。

死にたくはない。

ましてや悪霊を除霊することもなく無駄に命を落としたくはない。

そして考え続けていると、ふと一人の女が脳裏をよぎった。

磯崎さあや。

若いながら滝田とは長い付き合いであった霊能者だ。

ある日強力な悪霊を激闘の末に自分の体の中に封じ込めたが、その翌日にバイクで走行中に前のトラックの荷台から飛んできた鉄板が首に当たり、そのまま首を切断されてしまった女。

おまけにその首が前日からの大雨で濁流となっていた川に落ちて、そのまま行方不明となった。

磯崎が死んだら、封じ込めていた悪霊が解放されてしまう。

ひょっとして今回の事件の犯人は、そいつなのではないだろうか。

もちろんなんの確証もない。

そう思いついただけだ。滝田が思いついたのは昨晩のことだ。

それからずっと滝田は磯崎さあやのことを考え続けていた。

――ふうっ。

ずっと考えて続けているとさすがに疲れる。

滝田は一息入れようとした。

その時、誰かが訪ねてきた。

滝田が出ると、そこには若い女性が立っていた。

 

住職が出てきた。諸星が想像していたよりもずっと若い。住職が言った。

「はい、なんでしょうか」

諸星が言った。

「お聞きしたいのですが、あなたは野上ちかという方とお知合いですか?」

その言葉に滝田は驚いた。

野上の名は全国ニュースで何度も取り上げられ、知っている人は多いだろう。

だがこの女性は滝田に野上と知り合いなのかと聞いてきたのだ。

後々面倒なことになりそうなので、警察にも言わなかったのに。

滝田は答えた。

「はいそうですが。あなたはいったい」

「私は野上さんが殺された時、その場にいました」

「……」

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