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さまよう首  作者: ツヨシ
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――えええええっ!

危険なのはわかっていた。

しかし諸星はどこかで、野上が何とかしてくれるものと思っていた。

ところが野上は今首を喰われて地に伏しているのだ。

首の女が諸星のすぐ前まで来た。

――ひっ!

首の女は諸星を見たが、明らかに怪訝な顔をすると、そのまま反転して闇の中に消えた。

――どうしよう。

諸星はもう自分にはどうしようもないことがわかった、本気で警察に通報しようとも思ったが、考えた。

警察に一体何を言えばいいんだ。

警察にいろいろと聞かれたら、なんと答えればいいのだ。

野上は考え悩んだが、そのまま寺を後にした。

――ごめんなさい、野上さん。あなたをほったらかしにして。でも警察にはこんなことは言えないの。朝になれば住職が見つけてくれるわ。それまで我慢してね。

諸星は大通りまで出ると、タクシーをひろって家に帰った。


朝のニュースでは何も言っていなかった。

まだ死体が見つかっていないのかもしれない。

諸星は昼まで待った。

昼のニュースでは言っていた。

六人目の首なし死体が見つかったと。

お寺に来た住職が見つけたのだそうだ。

死体の身元も判明していた。

野上ちか、二十一歳。

諸星よりも年下だった。

たしかに若くは見えたが、大学生なら大学に通っている年齢なのだ。

それなのにあんなひどい最期をむかえるなんて。

昼休みを終えてオフィスに戻る。

仕事をしている最中、気づけば涙が流れていた。

仕事そってのけで諸星ばかり見ている上司はすぐにそれに気づいたが、なにも言ってこなかった。

おそらく泣いている諸星を非難する言葉が思いつかなかったのだろう。

涙はいつの間にか止まっていた。

諸星はいつものように残業して家に帰った。


六人目ですね。

わかってます。

わかってますってば。

すみません。

すみません。

刑事は署長に何度も同じ言葉を繰り返していた。

いつもよりも説教が長い。

というよりもだんだんと確実に長くなっていっているのだが。

そのうちに終わるだろうと思っていたが、いつまでたっても終わらない。

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