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さまよう首  作者: ツヨシ
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どのくらい経ったのだろうか。

時間の感覚がおぼろげだ。

――あとどのくらいかかるんだろう?

諸星がそう考えていると、不意に野上が立ち上がった。

「来ます」

その短い言葉を言い終わるか終わらないうちに、現れた。

首だけの女が。

野上はいつの間にか手に細い棒を持っていた。

その棒で首の女を叩いた。

反応があった。

女の顔に苦悩の色が浮かんだ。

野上はもう一度、棒を首の女に叩きつけた。そして言った。

「さあや、呼んだら来てくれたのね。そこにいるんでしょ。今私はあなたを取り込んだ邪悪なものと戦っているわ。あなたもいっしょに戦って」

野上はもう一度棒を首に叩きつけようとした。

しかし首の女はさらりとそれをかわした。

野上が再び言った。

「さあや、いるんでしょう。助けてよ。私と一緒に戦ってよ」

野上は立て続けに首に向かって棒を振り下ろした。

が、首は野上から離れないまま、それを全てかわした。

「さあや、聞いてる。私の声が聞こえる。一緒に戦いましょう。この化け物と」

首の女が野上から離れた。

そして口を開けた。

前と同じく後頭部の一部の皮でつながっている状態で、女の頭が上下に分かれた。

さらに口は大きく広がり、そこには鋭角な歯がずらりと並んでいた。

諸星がそれを見るのは二度目だが、野上は初めてだった。

かつての友人の変わりように戸惑いながらも、野上が言った。

「さあや、聞こえる。聞こえてる、私の声。さあや」

すると首が野上に突っ込んできた。

野上は棒でそれを防いだ。

首の女の顔に、再び苦悩の色が浮かぶ。

しかしそれはほんの一瞬のことだった。

首は棒にかみつき、野上の手から棒を奪い取った。

そしてその棒を遠くへ吐き出した。

「さあや、お願い。一緒に戦って」

首がすうっと上に上がった。

しばらくとどまり怖い顔で野上を見ていたが、やがてすざましいスピードで野上に向かっていった。

野上はとっさに避けたが、首はそれを読んでいたかのように野上の頭に食らいついた。

――!

次の瞬間、嫌な音がして首の女が野上から離れると、野上の首がなくなっていた。

首をなくした野上は、ゆっくりと地面に倒れこんだ。

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