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刑事は知っていた。
世間もマスコミも、中年よりも子供、そして男よりも女に甘いのだ。
そしてその分だけ警察に厳しくなるのだ。
無能、役立たず、税金泥棒。
などといった声が今までもネットで飛び交っているのは知っている。
女子中学生が殺されたことで、それにより拍車がかかることだろう。
マスコミも直接そんなことは言わないが、遠回しに警察があてにならないと言っているし。
おまけに刑事の敵は外部だけではない。
身内にもいるのだ。
昨日、署長から結構なお目玉を食らったばかりだというのに。
――いったいどうするんだ、これ。
刑事はまた頭を抱えた。
ニュースを見た。
諸星は今度は女子中学生の首が首だけの女に喰われたことを知った。
男子高校生も悲惨だが、今度は女子中学生だなんて。
あまりにも悲惨すぎる。
まだ完全に少女の頭が、あんな化け物に喰われるなんて。
ここまで思って諸星はふと気づいた。
喰われる。
そう、今回の連続殺人事件。
首だけの化け物が被害者の頭を喰っているという信じられない事実。
それを知っているのは、あの化け物を見て生きているのはおそらく私だけなのだ。
他には誰一人いないだろう。
なんとかしないと。
そう強く思った。
諸星はわかっていた。
自分が周りから、正義感が強すぎる、おせっかいを焼きすぎる、と何度となく言われ続けていることに。
でも自分はそういう人間として生まれてきたのだから、今更変える必要もないし変える気もない。
――さてと。
諸星は考えた。
あのあまりにもぶっとんだ化け物。
自分一人でなんとかできるとは思えない。
誰かに助けてもらわないと。
誰に。警察。
そんなのだめだ。
友人。もちろんこれもだめ。
両親、親族。とんでもない。
近所の人、会社の同僚。そんなの論外だ。
諸星は考えた。
考えているうちに一つの言葉が脳裏に浮かんできた。




