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さまよう首  作者: ツヨシ
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心の底から嘆きながら、少女は学習塾を後にした。

学習塾の近くは少しだが人通りがある。

それが逆に怖い。

すれちがう人がみんな首切り殺人犯に見えてくるからだ。

そして家に近づくと、別の恐怖が待ち受けている。

道に誰もいないからだ。

人が周りにいない。

そこに殺人犯が現れて自分と犯人の二人きりとなったら、殺人犯には好都合だろう。

目撃者がいないのだから。

少女は自然と小走りになった。

――もう少し。家までもう少し。

突然、少女は止まった。

いきなりすぐ目の前に何かが現れたからだ。

――えっ?

女だった。

首しか見えなかったが、それは見間違いだと思った。

しかししばらく見て、やはり首しかないことに少女は気づいた。


野上はまた感じた。

――野上ちか、集中よ。集中。

野上は全神経を集中させた。

体が震え、暑くないのに汗ばむほどに。

野上はそれこそ必死だった。

相手を少しでも多く感じ取ろうと。

――?

その時、今までとは違う何かを感じた。

ほんの少しの善。

それは前から感じ取っていたのだが、その小さな善がなんだか自分が知っているように思えてきたのだ。

――これは、いったい?

野上はその小さな善に集中した。

そして神経をとがらせ時間をかけて探ったが、それ以上は何もわからなかった。

野上は考えた。

なぜ自分が小さな善を知っていると感じ取ったのか。

考えたがなにも思い浮かばなかった。

同時に何か大切なことを見落としているような、忘れているような気もしたが、それが何なのかはいくら考えてもわからなかった。


もう勘弁してくれ。

刑事は思った。

日本犯罪史上類のない猟奇殺人事件。

それが四件目だ。

おまけに一人目は中年男性で二人目は中年女性だったのだが、三人目は男子高校生で四人目はなんと女子中学生だ。

これははっきり言ってまずいことになる。

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