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エイリーンにライバル登場?隣国から王女が視察にやって来ました【前編】

「エイリーン、来週アメダス王国から視察団が来る事になっんだ。その際、第三王女も来る事になってね。悪いが、エイリーンも今回の視察に同行してくれるかい?もちろん、僕も一緒に居るから。」


貴族学院3年になって3ヶ月が過ぎた。私の事を慕ってくれる生徒たちも随分と落ち着いて来たようで、最近は追い回されることも無くなった。


そんな時、カルロ様から視察同行の相談を受けたのだ。


「もちろん、同行させていただきますわ」


他国の視察団が来る事は珍しくないし、そもそも王族が同行するのが一般的だ。カルロ様の婚約者でもある私が同行するのもある意味普通の事。


それに、次期王妃になるのだから、ある程度外交にも慣れておく必要があるし。



「それじゃあ、よろしくね。そうそう、第三王女の名前はルナ王女で、歳は僕達より1つ下らしい。僕も今回会うのが初めてなんだ。でも、きっとエイリーンなら仲良く出来るよ」


1つ下の王女か。会うのが楽しみね!う~ん、どんな事をしたら王女は喜んでくれるかしら?そんな事を考えながら、密かに初めて参加する視察同行を楽しみにしていた。



そしていよいよ、視察団が来る日を迎えた。


お父様と一緒に王宮へと向かう。ちなみにお父様は視察には同行しないが、王宮で仕事をする為一緒に登城したという訳だ。


「エイリーン、初めての外交だね!あまり張り切りすぎず、気楽に行きなさい。あそこは元々アレクサンドル王国とも友好的な国だからね」


「ありがとう、お父様!みんなの役に立てる様、頑張るわ」


お父様にも背中を押され、俄然やる気が出て来た。王宮に着くと既にカルロ様が待っていてくれた。


「エイリーン、よく来てくれたね。視察団は今日から1週間滞在する事になっているんだ。悪いが、明日からは学院が終わったら僕と一緒に王宮に来てくれるかい?」


「もちろんですわ!任せてください」


「そうそう、フェルナンドとニッチェル嬢も同行する事になったよ。どうやら向こうの視察団が、魔王を封印した聖女が見たいとの事でね。あの図々しい女の事だ、変な事を言わないか今から心配だよ」


明らかに嫌そうな顔をするカルロ様。さすがのリリーも、他国の王族に無礼は働かないと思うけれどね。


「カルロ殿下、随分な言いようですわね。あなたこそ、エイリーン様にべったりくっ付いて、相手国の方達にドン引きされない様、気を付けてくださいね」


フェルナンド殿下と陛下、王妃様と一緒にやって来たリリーが鼻息荒くして怒っている。


「うるさいな!別にいいだろ!僕とエイリーンは婚約者同士なんだ。仲良くして何が悪い!」


「限度ってものがあると言っているのよ!毎日毎日ベタベタくっ付いて気持ち悪い」


「何だと!」


「何よ!」


「お前たち、いい加減にしろ!もうすぐアメダス王国の視察団が来るんだぞ。こんな姿見られたら、恥ずかしいだろう!」


カルロ様とリリーの喧嘩を止めたのは、予想通りフェルナンド殿下だ。後ろで陛下と王妃様が苦笑いしている。


その時だった。

アメダス王国の紋章を付けた馬車がこっちに向かって走ってくるのが見えた。


いよいよね。初めての視察同行、緊張するわ。


馬車が止まり、中から国王陛下と思われる男性と、私たちと同じぐらいの少女が降りて来た。


美しい金色の髪に、グリーンの瞳をした少女は、周りをキョロキョロと見ている。可愛らしいわね。


「ようこそアレクサンドル王国へ、国王陛下、ルナ王女」


まずは陛下のご挨拶だ。


「わざわざ出迎えありがとう。しばらく見ないうちに、カルロ殿下は大きくなられたな。エイリーン嬢も、婚約発表以来だね。」


実は国王陛下には、婚約発表の時に会っている。正直あまり覚えていないが…


「アメダス王国の国王陛下、お久しぶりです。相変わらず元気そうですね。そうそう、こっちが弟のフェルナンドで、その隣がフェルナンドの婚約者で聖女のリリー・ニッチェル嬢です」


カルロ様がにっこり笑ってフェルナンド殿下とリリーを紹介している。


「君がフェルナンド殿下か、とても優秀だと話は聞いているよ。そして君が魔王を封印したという聖女だね。こんな可愛らしい子が魔王を封印したなんて、信じられないよ」


「まあ、可愛らしいだなんて」


嬉しそうに頬を赤らめるリリー。どうやら、アメダス王国の国王陛下はお世辞が物凄く上手らしい。


「そうそう、こっちは娘のルナだ。1週間という短い時間だが、仲良くしてやって欲しい」


アメダス王国の陛下が、ルナ王女を紹介した。


「ルナですわ。どうぞよろしくお願いします」


そう言うと、少し恥ずかしそうに頭を下げたルナ王女。あら?ルナ王女、さっきからずっとカルロ様を見つめているのだけれど、気のせいかしら?


そう思ったのだが、どうやら気のせいではなかったようだ。まっすぐカルロ様の元に進むと


「あの、カルロ殿下!私、一目見て、あなたを好きになってしまいました。どうか私をお嫁さんにしてください!」


そう言って、カルロ様の手を握ったのだ!


「えっ?あの…僕?」


動揺するカルロ様。皆も口をポカンと開けて固まっている。私も固まって…居られるものですか!


「ルナ王女、カルロ様は私の婚約者でございます。申し訳ございませんが、他を当たっていただいてもよろしいですか?」


さりげなくルナ王女からカルロ様の手を奪い、満面の笑みでルナ王女に伝えた。そもそも、王女なら私とカルロ様が婚約者という事を知っているはずよね。それなのに、こんな発言をするなんて!


「あら、まだ正式に結婚した訳ではないのでしょう?それなら、別にあなたと婚約破棄をして、私と結婚しても問題ないのではなくて?そもそも、自国の貴族と結婚するより、他国の王族と結婚した方が、お互いの国にとって利益が大きいですわよ」


何なのこの子!あり得ないわ!もう!カルロ様からも何とか言って!そう思い、カルロ様の方を見つめる。


「あの…ルナ王女。気持ちは嬉しいが、僕が心から愛しているのはエイリーンただ1人なんだ!だから君とは結婚できないし、そもそもするつもりもないよ」


カルロ様がはっきりルナ王女に向かって言ってくれた。やっぱり私のカルロ様ね。嬉しくてカルロ様にすり寄った。カルロ様もギューッと腰を引き寄せてくれる。これで諦めてくれるわよね。


「カルロ殿下、私たちは今日出会ったばかりですよ。今はこの令嬢が好きかもしれないけれど、明日には気持ちが変わる事もありますわ。私、諦めるつもりはありませんから!」


カルロ様に向かって叫ぶルナ王女。


「コラ、ルナ!いい加減にしないか!カルロ殿下とエイリーン嬢は深い絆で結ばれているんだ。お前が入り込む隙は無い。そもそも、婚約者の居る男性にアプローチするなんて、王族としてあるまじき行為だ!」


怒り狂うアメダス王国の陛下。


「まあまあ、いいではありませんか!好きにさせてあげたら」


満面の笑みでアメダス王国の陛下をなだめる王妃様。この人、絶対今の状況を楽しんでいるわ。そう言えば、カルロ様の従兄弟が私にアプローチしてきた時も楽しんでいたものね。


「ありがとうございます、王妃様!いや、未来のお義母様と呼んだ方が良いかしら」


ルナ王女が王妃様に向かって嬉しそうにお礼を言っている。何が未来のお義母様よ!ふざけないで欲しいわ!


「ルナ王女、あなたがカルロ様にどんな色仕掛けをしようと、私はカルロ様をあなたに譲るつもりはありませんから!」


私は前世からずっとカルロ様一筋だったのよ!こんなポット出の王女なんかに、取られてたまるものですか。元悪役令嬢の名に懸けて、絶対にカルロ様は渡さないわ!


おまけ含め、後3話ほど続く予定です。

よろしくお願いしますm(__)m

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