表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/94

真実を話す時間です

本日2回目の更新です。

少し短めになっています。

「そうそう、エイリーン様、ヒロインって一体何ですか?」

リリーが急に突拍子もないことを言って来た。


「リリー、何を言っているの?」

私は明らかに目を泳がせているのが自分でもわかる。


「魔王との戦いの時、私の前に現れたエイリーン様が言っていたの。そうそう、魔王との戦いの時、助けてくれてありがとう。エイリーン様がいなかったら、私きっと勝てなかったわ」


えっと…魔王との戦いの時?全く身に覚えがないのだけれど。


「ニッチェル嬢が急に震えだした時も真っ先に魔王という言葉を口にしたり、魔石を準備したりと、明らかに魔王が復活することが分かっていた様な口ぶりだったよね。エイリーン、君は何を隠しているのかな?」


カルロ様とリリーに詰め寄られる。フェルナンド殿下に目で”助けて”と訴えてみるが…


「確かに討伐メンバーに決まった時も、“この日の為”って、言っていたよね。俺も気になっていたんだ」


頼みの綱のフェルナンド殿下まで!3人に見つめられたら、もう逃げられないじゃない!


仕方がない。腹をくくった私は、7歳で前世の記憶が戻ったこと。この世界が、私が前世で好きだった漫画の世界にそっくりだったこと。自分が、悪役令嬢エイリーンだと気づいたこと。前世で推しのカルロ様の為に、命を懸けて戦おうと決めた事。フィーリップ様も同じ転生者だったことなどを、出来るだけわかりやすく、時間をかけてゆっくり説明していった。


全て話し終えたけれど、皆は目を丸くしたまま口を開けて固まっている。


「皆、黙っていてごめんなさい。これが私の秘密よ。私の事嫌いになった?」


もしかしたらもっと早くみんなに話していれば、未然に防げた事件もあったかもしれない。そう思うと、皆の反応が怖い…


「なんでエイリーンを嫌いになるの!あり得ないよ。でも、そんな事ってあるんだね。何より、前世から僕の事を思っていてくれていたなんて!めちゃくちゃ嬉しいよ!なぜここまで僕の事を好きでいてくれるか、正直不思議だったけれど、これで納得がいった」


カルロ様は嬉しそうに笑っている。


「そうよ、エイリーン様。たとえ前世の記憶があったとしても、エイリーン様は私の大切なエイリーン様よ。でも…私と友達になってくれたのは、やっぱり私が聖女だから?」

不安そうな顔をしているリリー。


「いいえ、違うわ。最初はリリーと仲良くならなきゃって思ったけれど、初めてあなたを見た時、なんて可愛い子なのかしら、素直に友達になりたいって思ったの。リリーを知れば知るほど、どんどんあなたを好きになっていったのよ。今では何でも話せる親友だと思っているわ!」


「エイリーン様!!」

私に抱き着くリリー。本当に可愛い!!


「それにしても、エイリーンが傲慢で性格が悪く、ニッチェル嬢をイジメていたなんて、信じられないな。その上僕がエイリーンを断罪?何よりこの図々しいニッチェル嬢を好きになるなんて、どうしても考えられない。エイリーン、本当にその漫画?ではそうだったのかい?」


「ええ、そうよ」


「私だって、こんな器の小さな男とフェルナンド様の間で迷っていたなんて、考えられないわ」


睨み合う2人を見て、あることに気が付いた。


「そう言えば、フィーリップ様が言っていたわ。リリーとカルロ様の性格が漫画の世界と全然違うって」



「なるほど、きっと漫画の世界では、君は図々しくなかったんだろうね」


「なんですって!あなただって、もう少し器の大きな男だったんじゃないの?」


結局こうなるのか…


「エイリーン嬢、フィーリップもエイリーン嬢が前世住んでいた日本?という国の出身者と言っていたね。一体いつ彼の正体に気づいたんだい?」


フェルナンド殿下が喧嘩をする2人を無視して、私に話しかける。


「初めて会ったときですわ。彼は私の事を“悪役令嬢”と言いましたから。私が悪役令嬢という事を知っているのは、漫画を読んだことがあると言う証拠。それに、フィーリップ様は“何で悪役令嬢のエイリーンがまだここにいるんだよ”て、言ったの。フィーリップ様に会った時期は、漫画の世界では既に私は断罪され、この世にいないことになっている。だから、もしかしてって思ったの」


「なるほど。でも、その段階ではまだ可能性があるって言うだけだよね?兄上からの厳しい監視の中、どうやって彼が日本人だっけ?ということを、確かめたんだい?」


「それはね。フィーリップ様に会った次の日に、手紙に日本語でメッセージを記載しましたの。日本語ならカルロ様には読めないでしょ。そのメッセージの返信が、日本語で返ってきたときに確信しましたのよ」


「なるほど…、それにしても見た目は男、前世は女で心は女だなんて、ややこしいな。だからエイドリアンに告白したのか。なんだか納得がいった」


「おいフェルナンド、納得するな!エイリーン、たとえ心が女だろうと、フィーリップは男だ!僕に隠れて連絡していたなんて!もう二度とそんなことはさせないからね。今すぐその魔道具をここに出すんだ!僕が預かっておくから!」


カルロ様、さすがにそれは…


「兄上、あまりエイリーン嬢を束縛すると嫌われるよ」

呆れ顔のフェルナンド様。


「カルロ様、あの通信型魔道具はフィーリップ様からお借りしたものです。いくらカルロ様でも渡すことはできませんわ。もう魔王も無事封印できたし、近々フィーリップ様にお返ししますから!」


私の言葉に、ものすごく不満そうなカルロ様。


「わかった、返すときは僕も一緒についていくから。あと金輪際、フィーリップとの通信は禁止だからね。エイリーン、約束出来るかい?」


カルロ様に念押しされる。


「わかった、約束するわ」

まだ不満げだけれど何とか納得してくれたみたいだ。



「でも前世の記憶があるって、なんか素敵ね。私の前世って一体何だったのかしら?」

リリーがうっとりとする。きっとリリーの事だから、どこかの国のお姫様とかを想像しているのだろう。


「君は図太くて図々しいから、ゴキブリか何かだったんじゃないのかい?」


「なんですって!!!!」


「なんだよ、本当の事だろう」


「なんて失礼なの!ならあなたはきっとハエか何かよ」


「おい、一国の王太子に向かってハエは無いだろう」


「あなたこそ、聖女に向かってゴキブリは無いんじゃないの!」


「もういい加減にしろよ2人共!ハエでもゴキブリでも何でもいいだろ」


「「よくない」」


フェルナンド殿下の言葉に2人が同時に反論する。何、この息の合いっぷり…


「アハハハハハハ」

つい笑ってしまった。なんだかこの平和な雰囲気がたまらなく好き。これからもこんな風に、4人で楽しく過ごせたらいいな。


その後も3人から色々と質問攻めに会いながら、久しぶりの平和な日々を噛みしめるエイリーンであった。



~カルロ様達に前世の記憶を話した後のエイリーンとフィーリップ様との通信~


「フィーリップ様、ごめんなさい。私に前世の記憶がある事、漫画の世界の事、全てカルロ様達にバレっちゃったの。もちろん、あなたの事も」


”あ~あ、何やってるのよエイリーン。まあ、いつかこうなるのかなって思っていたから別いにいいわよ”


「え、いいの。ありがとう」


”あなたも魔王討伐で、大変な思いをしたみたいだし。今回は許してあげる”


「それでね、カルロ様から通信機をフィーリップ様に返すように言われてしまって。その際、カルロ様も同行するって言うの…」


”なんでそんな面倒くさい話になっているのよ!通信機なんて、いつもの鳥に取りに行かせるからいいわ。今から向かわせるから”


「ダメよ、カルロ様の見ている前で返さないと、後でまたきっと怒られるわ」


”もう、面倒くさい男ね。本当に漫画の世界のカルロ殿下と全然違うわね。わかったわ。じゃあその通信機をカルロ殿下のいる時に繋いで。その時回収の鳥を向かわせるから。それでいい?”


「ありがとう。フィーリップ様」


その後、カルロ様立ち合いの元、無事通信機をフィーリップ様に返したのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ