ダンスパーティー当日を迎えました
本日2回目の投稿です
何だかんだであっという間に1ヶ月半が過ぎ、いよいよ今日はダンスパーティー当日だ。ダンスパーティーは夜会をイメージして、夜の学院で行う。
私たちは、学院が終わると会場の最終チェックを行う。
「特に問題なさそうだね。僕たちも一旦家に帰って準備をしよう。エイリーン、今日は僕がエスコートするから家で待っていて」
今回のダンスパーティー、パートナーがいる人は相手のエスコートを受けて入場するのが決まり。もちろん、相手がいない人は1人で来たり、友達同士で来ても大丈夫だ。このルールは生徒会メンバーにも当てはまる為、私はカルロ様、リリーはフェルナンド殿下にエスコートされて入場する予定になっている。
「カルロ様、お待ちしておりますわ。では後ほど」
私たちはそれぞれ家に帰った。
「お嬢様、お帰りなさいませ。もうあまり時間がありません。早速ダンスパーティーの準備に取り掛かりますね」
家に着くなりアンナに促され、すぐに湯あみをする。生徒会の準備で帰りが遅くなってしまった。特に女性は準備に時間がかかる為、アンナも焦っているのだろう。
湯あみ後は、いつもの様に香油をたっぷりつけられ、ドレスに着替える。今日もカルロ様から贈られた、青いドレスだ。
そして、金のネックレスとイヤリングを付け、髪をアップにしたら出来上がり。何とか間に合ったわね。
ちょっと準備に疲れたわ。一息付こうかしら。そう思っていたのだが
コンコン
「お嬢様、カルロ殿下がお見えです」
もうそんな時間なのね。
「わかったわ。すぐに行きます」
私は急いで玄関に向かうと、既にカルロ様が待ってくれていた。
「エイリーン、そのドレスとてもよく似合っているよ。さあ、行こうか」
私はカルロ様の手を取り、王宮の馬車へとエスコートされる。そう言えば最近忙しくて一緒にお出かけすることもあまりなかったわ。
こうやって2人で馬車に乗るの、いつぶりだろう。
「カルロ様、今回も素敵なドレスを贈ってくださり、どうもありがとう」
私がお礼を言うと、少し照れたような、でも嬉しそうに笑うカルロ様。
「エイリーン、とても奇麗だよ。本当はエイリーンとゆっくりダンスパーティーを楽しみたいんだが、生憎僕たちには生徒会の仕事が待っている。色々大変だと思うが、今日はよろしく頼むよ」
「もちろんですわ。一緒に頑張りましょう」
今日はとにかく皆に楽しんでもらえるように、頑張らなくっちゃね。
「もう学院に着いてしまったね。さあエイリーン、行こうか」
差し伸べられたカルロ様の手を取り、馬車から降りる。そして会場でもあるホールへと向かう。
学院のイベントとはいえ、本格的なダンスパーティーだ。私たちが入場すると
「カルロ・オブ・アレクサンドル殿下、エイリーン・フィーサー様。ご入場です」
ご丁寧にアナウンスしてくれた。その瞬間、既に来ていた生徒たちが、一斉にこちらを振り向く。王太子とその婚約者が来たのだから、注目されても当然なのだが、やっぱり緊張するわね。
私たちは、周りの注目を一身に浴び、ホールの中央へと向かう。
「エイリーン様、カルロ殿下。やっと来たわね」
リリーとフェルナンド殿下だ。この2人の顔を見ると、なんだかホッとする。
「兄上、そろそろパーティーが始まる時間です」
「わかった」
私たち結構ギリギリだったのね。だから注目されていたのかしら?
「皆さん、今日は貴族学院のダンスパーティーにご参加いただき、誠にありがとうございます。これよりダンスパーティーを開催いたします。楽しい余興なども準備していますので、今日は存分に楽しんでいってください」
カルロ様の挨拶で、ダンスパーティースタート。会場内には音楽が流れ、みんな思い思いに踊っている。
私たちも踊りたいのは山々だが、この後行う予定の“ダンスが上手なペア選手権”と“奇抜なファッション選手権”の準備を行わないといけない。
今回事前に参加者を募ったところ、ダンスが14組、奇抜が23人応募してくれた。早速応募者に集まってもらい、くじ引きで披露する順番を決めてもらう。
参加者集めと同時に、審査員たちを席へと案内する。今回審査してくれるのは、先生15名、各学級員15名、生徒会メンバー4名だ。審査方法はいたって簡単、参加者の中から一番よかった1人(組)を紙に書く方式だ。
司会を担当してくれるのは、放送部の人たち。彼らはしゃべりのプロということで、自ら志願してくれた。
「皆様お待たせしました、今日のメインイベント、“ダンスが上手なペア選手権”と“奇抜なファッション選手権”を行います。まずはダンスが上手なペア選手権から始めていきましょう。エントリーナンバー1番、アンドレア伯爵令息&ミリア伯爵令嬢です」
いよいよ余興が始まった。恋人同士はもちろん、兄弟姉妹、男同士、女同士など色々なペアが踊っていく。奇抜なダンスや、ちょっと変わったダンスを披露する人たちまでいた。
全てのペアが踊り終わると、投票用紙に気に入った1組の名前を書き、投票箱へと入れる。
続いて奇抜なファッション選手権だ。ほとんどが男性だが、中には女性も混じっている。下着だけ着た状態で、自分の体に絵の具で服を書いて来ると言った、ツワモノまで現れた。これは斬新ね…でもあちこちから令嬢の悲鳴が聞こえるわ。
まあ、これはこれで面白いか!あっという間に、全員の披露と投票が終わった。
私たちは急いで開票する。せっかくのダンスパーティーなのに、本当に忙しいわ。普段裏方として色々してくれている使用人や護衛騎士たちには、本当に感謝しかないわね。
何とか開票も終え、いよいよ結果発表だ。
「皆様、開票が終わりました。いよいよ結果発表の時間です!まずはダンスが上手なペア選手権の優勝者は………」
この何とも言えない間の開け具合、さすが放送部ね。
「エントリーナンバー8番、イカロス伯爵令息&マラノーラ男爵令嬢ペアです。呼ばれた2人はこちらに来てください!」
放送部の呼びかけで、大喜びでやってくる2人。
「景品はなんと、今王都で大人気、歌劇のペアチケットです!」
「これ中々取れないチケットだわ。本当にもらっていいのかしら!」
マラノーラ男爵令嬢が物凄く興奮していた。確かに女性にめちゃくちゃ人気の歌劇だもんね。チケット取るの苦労したんだぞ。
カルロ様から、2人にチケットが渡された。
「続いて、奇抜なファッション選手権の優勝者は、エントリーナンバー21番、アレックス男爵令息です!」
「え~~~~」
周りからブーイングが上がる。なぜなら、彼こそが下着に絵の具姿男だからだ。
嬉しそうにやってくるアレックス男爵令息。
「景品はこちらも今王都で超人気な、レ・セレーネのペアお食事券です」
「おおぉ!凄い!でも俺行く相手いないんだけれどな。誰か俺と一緒に行ってくれる優しい女性いませんか~」
この人根っからのお笑いキャラなのか、その場でお相手の女性を探し始めた。周りから笑いが起こる。
「相手はまた後で探してください!それではこれで終わります」
放送部の人に軽くあしらわれたアレックス男爵令息。めげずに女の子に声をかけまくっているわ。本当に面白い人ね。
「生徒会メンバー~、お疲れさん~。とりあえず後は踊って食って飲んでするだけだから、もうお前たちも踊ってきてもいいぞ~。今日は色々とよく頑張ってくれたな~。先生が出たダンスパーティーの中で一番よかったぞ~」
私たちの担任の先生から、嬉しい言葉を貰った。
「エイリーン、僕と踊ってくれますか?」
早速カルロ様が私をダンスに誘ってくれた。
「もちろん!よろこんで!」
2人でホールの真ん中に行き、踊りだす。久しぶりにカルロ様と踊る。相変わらずカルロ様はダンスが上手で、とても踊りやすい。周りからも歓喜の声が上がっているのが聞こえる。続けて2曲踊ったところで、今度はエイドリアンが誘いに来た。
家での練習相手はいつもエイドリアン。皆が見ている前で踊るのは初めてだ。双子ということもあり、息がぴったりな私たち。踊り終わると溢れんばかりの拍手を頂いた。
その後も色々な令息たちと踊る。そう、今回のダンスパーティーは、身分に関係なく色々な人と踊るがコンセプトだ。もう何人踊っただろう。さすがに疲れて来たわ。
「悪いがエイリーンをそろそろ返してもらえるかい?」
この声はカルロ様!ナイス!カルロ様。
私は急いでカルロ様の手を取る。
「エイリーン、疲れただろう。少し庭で休もうか」
2人でホールの外へと出る。貴族学院ということもあり、ホールの周りには色とりどりの花が植えられた美しい庭がある。もちろん、休める様ベンチもいくつか準備されている。
庭に行くと、既に何人かがベンチで休んでいた。私たちも一番奥の人けのないベンチに並んで座った。
「カルロ様、迎えに来てくれてありがとう。もう私クタクタで…」
足が棒の様だわ。
「違うんだエイリーン。君が他の男たちと踊っているのが、我慢できなかっただけなんだ」
少し寂しそうにそう言ったカルロ様。
「それでも私は嬉しかったわ」
周りに誰もいないことをいいことに、私はカルロ様の肩にもたれかかった。
「カルロ様、月がとても奇麗。そう言えば夜こうやって過ごすのって、シュメリー王国以来ね」
もうあれから随分時間が経つのね。メルシアお姉さまやライリー様、元気かしら?
「そうだね。ねえ、シュメリー王国から帰国する前日、エイリーンが僕に気持ちを伝えてくれたことがあったよね」
「そんなこともあったわね。思い出すと恥ずかしいわ」
「エイリーン、今度は僕が気持ちを伝えるよ。いつもどんな時も僕を好きでいてくれてありがとう。自分に全く自信が無くて、人の顔色ばかり見ていた僕が、エイリーンに出会って自分を好きになる事が出来た。
母上や父上、フェルナンドとの関係も改善できた。すべて君のおかげだ。僕の人生を明るく照らしてくれてありがとう。いつも僕の側で笑っていてくれてありがとう。僕もエイリーンを心から愛しているよ。だから、これからもずっと僕の側に居てください」
カルロ様が私の瞳をまっすぐ見つめる。いつの間にか、私の瞳から涙がこぼれていた。
「私もカルロ様が大好き!ずっと一緒に居たい!ありがとう、カルロ様」
カルロ様に思いっきり抱き着いた。
私が今までやって来たことは間違っていなかった。推しのカルロ様が、こんなにも私に感謝し、大切にしてくれているんだもの。
カルロ様の温もりを感じながら、ひと時の平和な時間を噛みしめるエイリーンであった。
~帰宅後のエイリーン~
今日はとっても素敵な日だったわ。カルロ様、本当に素敵!もう大好き!!!
ベッドに転がり、今日の出来事を思い出し頬を赤くするエイリーン。
そう言えばダンスパーティーにフィーリップ様の姿が見当たらなかったわね。どうしたのかしら。
通信型魔道具で確認してみるか。
”エイリーン、何か用?”
「用はないのだけれど、今日のダンスパーティーで姿が見えなかったから気になって」
”ああ、あんなくだらないイベント、行かなかったわ”
「ええぇぇ、来なかったの?でもあれ、強制参加だったはずよ」
”生憎お昼ご飯の後、急にお腹が痛くなって早退したのよ!体調が悪い人を無理に参加させたりしないでしょ”
「仮病を使ったのね…」
”何か問題でも?”
「…いいえ」
どんな時も自由なフィーリップ様です。




