表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/94

フィーリップ様の協力を得られることになりました

会話中心です。

よろしくお願いいます。

「お待たせしてごめんなさい」

私が声をかけると、ゆっくりこちらを振り向くフィーリップ様。私がブローチを外そうとすると


「そのままつけていて、僕には見えるから大丈夫。うまくここまでこれたみたいだね。とりあえずここに座って」


フィーリップ様はにっこり笑うと、自分の隣を指さした。やっぱりイケメンだ!とりあえず、指示された場所に座る。


「まずは自己紹介しないとね。僕はカルデゥース侯爵家の次男のフィーリップ。ちなみに前世での名前は、川崎杏よ。よろしくね」

フィーリップ様がまた爽やかな笑顔を見せてくれた。


「私はフィーサー家の長女、エイリーンよ。前世の名前は雨宮リン。ちなみに私は7歳の時に前世の記憶がよみがえったの」


「へ~、急によみがえる事ってあるのね。私は物心ついたときから、前世の記憶があったわ。だから自分がずっと女の子だと思っていたのよ。まあ、今でも心は女なんだけれどね…」


複雑そうな顔をする、フィーリップ様。そう言えば急に言葉遣いが女の子の様になった気もする。


「それにしてもカルロ殿下とヒロインのリリー、漫画とキャラ変わりすぎてない?大体カルロ殿下って、漫画ではどちらかというと自分の意見をあまり言わず、周りに合わせるタイプよね。唯一リリーに思いを伝えた時も、戸惑うリリーの為に“返事は後でいい”って、言ってたし」


確かに、漫画のカルロ様はずっと自分に自信がなく、自分の意見をはっきり言うタイプではなかったな。


「なのに今のカルロ殿下はどう?今日なんてわざわざ1年の教室まで来て、“エイリーンに近づくな”“エイリーンをこれ以上侮辱したら僕が許さないぞ”ってすごい剣幕で文句を言って言ったわ。まるで別人ね」

フィーリップ様は呆れた顔で言う。


「それにヒロインのリリー。漫画では物事をはっきり言うが、誰よりも優しく思いやりにあふれた女性だったのに…。そうそう、リリーも今日私の教室まで文句を言いに来たわよ!本当にどうなっちゃってるの?て感じだわ」


リリーまで文句を言いに行ったのか…


「それとなく周りに話を聞いたら、カルロ殿下はエイリーンを溺愛しているし、リリーはエイリーンを親友と思っているそうじゃない。あなたちょっと物語のストーリーかえすぎじゃない?」


物凄く不満げなフィーリップ様。


「そんなこと言われても、私だって命かかってたし。それに第一私の推しのカルロ様を絶対幸せにしたいって思って行動したら、いつの間にかこうなっていたのよ」


仕方ないじゃない!私も反論してみる。


「そう言えば、少し前に聖女を毒殺しようとして、令嬢が処刑されたって聞いたわね。てっきりあなたかと思ったんだけれど…一体だれが処刑されたの?」


フィーリップ様、あなたちょっと世間の情報疎すぎやしませんかい?


「私の友達のマリア・ベネフィーラよ。漫画では出てこなかったから、あなたは知らないかもしれないけれどね」


マリアの話をするのはやっぱりまだ少し辛いわね…


「あなた何言っているの?マリア・ベネフィーラと言えば、漫画でエイリーンに毒を渡し、リリー毒殺の手助けをした張本人じゃないの!まあ、彼女は非常に頭が良かったから、エイリーンに全ての罪をうまく擦り付けたけれどね」


えっ?何言っているの?そんな話知らないわ。


「ちょっと、そんな内容漫画にはどこにも書いてなかったわよ。一体何を言っているの?」


「確かに本編ではマリアは出てこなかったけれど、番外編ではばっちり出て来てたわよ!確かベネフィーラ侯爵が自分の娘を王妃にするため、エイリーンと聖女を一気に始末しようとしたって言う、裏設定にあったのよ。だからおバカなエイリーンに近づき、うまく聖女を毒殺しようとしたわけ。でも、漫画のエイリーンっておバカでしょ。結局計画がばれてしまって未遂に終わったのよ!」


それって今回マリアがしようとした事と、ほとんど同じじゃない。じゃあ、あの断罪事件はほぼストーリー通りに行われたってこと?て言うか、おバカおバカってい言わないで欲しいわ。漫画の世界とはいえ、結構傷つくんだけれど…


「そんな番外編が出ていたのね。全然知らなかったわ。もし私が番外編を知っていたら、マリアを助けられたかもしれないのね」

私はついそんなことを考えてしまう。


「あなた何言っているの?そんな過ぎたことをグチグチ言っていても仕方ないじゃない!過去は変えられないのだから、今更グチグチ言わないの!」


確かにそうね、過去は変えられないわ。この人結構ズバズバ言うけれど、言っていることは的確ね。


「でもどうしてあなたは番外編読んでいないの?ものすごく面白かったのに!」


フィーリップ様が不思議そうに首をかしげる。


「私、本編終了後すぐに死んじゃったのよ…」


「えっ、そうなの?病気?それとも事故?ねえ、何で死んじゃったの?教えてよ」

しつこく聞いて来るフィーリップ様。人の死因なんてそこまで気になるのかしら…


「笑わない?」

私の問いかけに、不思議そうな顔で「笑わないわよ」というフィーリップ様。


「絶対に笑わない?」

「しつこいわね!笑わないって言っているでしょ!」

少しイラついているフィーリップ様。覚悟を決めて、話すことにした。


「前世の私はとにかくカルロ様が大好きだったの。だから推しのカルロ様が魔族との戦いで亡くなったことが物凄くショックで…やけ酒飲んで飲みすぎて階段踏み外して頭打って亡くなったの…」


私の死因を聞いたとたん

「アハハハハ。何それ、バカじゃないの!」

と言って、大笑いし始めたフィーリップ様。だから笑わないか確認したのに!ご丁寧に涙まで流して笑っている。本当に失礼な人ね!


「推しと言えば、私前世でエイドリアン様が物凄く大好きだったの!あなたが無事ってことは、もしかしてエイドリアン様も、まだ学院にいらっしゃるのかしら!」


目を輝かせて私に詰め寄るフィーリップ様。


「ええ、もちろんいるわよ!」


「本当に!それ早く言いなさいよ!!そう、エイドリアン様がこの学院に居るのね!そうだ、まさかエイドリアン様もキャラ変していないわよね!していたら怒るわよ」


「エイドリアンはどちらかというと、漫画のままよ」


基本的にエイドリアンの性格は変わっていない。ただ女嫌いじゃないって事と、毛嫌いしていた私を溺愛している点を除いては…


「私転生したって気づいたとき、何で漫画に一切出てこないモブでもないキャラなのよ。それも1歳年下だし!私が入学する頃にはもうエイドリアン様は旅に出ていないじゃないって、めちゃくちゃショックだったの。なのに、エイドリアン様がまだいらっしゃるなんて!もう幸せすぎるわ!エイリーン、この点だけはあなたを褒めてあげる」


見た目は美少年なのだが、もう完全にオネエだ。


「ねえ、エイリーン、これでエイドリアン様の写真を撮ってきて。これは私が開発した画像印刷型魔道具よ。まあ、カメラみたいなものね」


そう言いながら、私に魔道具を渡してきた。見た目は確かにカメラだ。


「ずっと思っていたんだけれど、今日渡してくれた姿を消せるブローチといい、このカメラといい、一体何者なの?」


「私は天才魔術師よ!魔道具で私に作れないものはないわ!」


「そんなにすごいの?ブライアン先生より?」


ブライアン先生も王宮魔術師の中ではかなり優秀な方だ。彼よりすごいのかしら?


「ブライアン?あんなのと一緒にしないでよ。あいつ最近映像型魔道具を開発したって自慢していたけれど、私なんてあんなもの7歳の時に開発したわ」


得意げに話す、フィーリップ様。ならば!


「じゃあ、魔力を石に込めることが出来る?実は後1年もしないうちに魔王が復活するでしょ。だから私、自分の魔力を少しでも石につめて、魔王との戦いに備えたいの」


ブライアン先生にあしらわれたけれど、事情を知っているフィーリップ様なら協力してくれるかもしれない。


「魔力を石にねぇ。出来ないことはないけれど、結構大変よ。下手すると、意識とぶわよ!」


「それは覚悟のうえよ。私どうしてもカルロ様を守りたいの。そのためなら何でもやるわ。今回の戦いにはエイドリアンも出るだろうから、カルロ様・リリー・フェルナンド殿下・エイドリアン・私の分で5つは作りたいわ!」


「あなた、サラっというけれど5つってめちゃくちゃ大変よ。大体すぐに魔力を石に込められるかもわからないし。何度も何度も失敗を繰り返しながらになるから、きっと体力的にかなり辛いと思うわ。それでも作りたいの?」


真剣な表情で私に確認するフィーリップ様


「私は前世の記憶を取り戻してから、ずっとカルロ様をあの洞窟で死なせないことだけを考えて頑張ってきたの!できれば私も死にたくないわ。だからどんなに辛くても、死ぬ確率が減らせるなら、どんなことでもしたいの!」


私も真剣に答える。


「わかったわ!協力する!推しを守りたいって言うあなたの気持ち、私もすごくわかるもん!でも、あなたの大好きなカルロ殿下から接触禁止命令が出ているから、2人で会って作るのは難しそうね。」


そう言うと、フィーリップ様は考え込んだ。


「そうだわ、通信型魔道具を使いましょう。今手元にないから、明日朝一で今日魔道具を置いておいた場所においておくわ。使い方も書いておくから確認してね」


「ありがとう!フィーリップ様」


これで魔石が作れるわ!それに私と同じ前世の記憶をもつ、フィーリップ様とも仲良くなれたし。フィーリップ様の存在は本当に心強い。


とにかくこれから忙しくなるわね。頑張らなくっちゃ!!


物心ついたときから前世の記憶があったフィーリップ様。魔力がある世界ってなんて素敵なの!そう思ったフィーリップ様は、魔術師長の父親の影響もあり、3歳くらいから魔力に興味を持ってたいとのこと。


既に5歳の頃には、簡単な魔道具なら1人で作れるようになっていたとか…その後もほとんど外に出ず、魔道具の開発に精を出すフィーリップ様。


あまりにも魔道具の開発に力を入れていた為、世間の情報はとてつもなく疎いです。実際この世界が漫画の世界と気づいたのは11歳の時。


ちょうどカルロ様とエイリーンが正式に婚約したタイミングです。あれ?王太子カルロとエイリーンって、聞いたことある。それにアレクサンドル王国ってまさか!


こんな感じで気づきました。ただ、推しのエイドリアンは自分が学院に入学する頃には既にいないので、最初はショックを受けた様です。


ただ、彼はものすごく切り替えが早いので、いないならしかたないか!と、また魔道具の開発に力を入れていたそうです。


ちなみに、普段は男性の様な口調ですが、エイリーン(前世の自分を知っている人)には、地でもある女性口調になります。後、興奮すると、時々女性口調になるんだとか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ