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2年生になりました

本日2回目の投稿です!


リリーと一緒にマリアにお別れをした次の日、久ぶりに魔術師の先生、ブライアン先生と一緒に魔術アップの訓練を受けた。


「そういえばブライアン先生、エイドリアンと一緒に映像型魔道具を開発したんですってね」


「まあね、エイドリアンがどうしても開発したいっていうからさ。でも映像型魔道具はいろいろな場面で使えるから、今回の発明は王宮魔術師内でも評判がいいんだ」


得意そうに話すブライアン先生。


「先生、あのね!私もちょっと作ってみたいものがあるのですが」


「何だい?」


「実は、魔力を石などに入れられたらなって考えているんです。まあ、簡単に言うと魔石を作りたいなって」


そう、私はいろいろ考えた結果、もし自分の魔力を予め石に封印出来たら、魔王との戦いのとき、魔力をその石から補えるのではないかと考えたのだ。


「う~ん、それはかなり難しそうだね!第一この平和な時代に、なぜそんな物が必要なんだい?それに魔力を何かにため込む為には、自分の魔力を放出し閉じ込める必要があるから、かなりリスクも高い!メリットよりデメリットの方が大きいよ!うまく石に魔力を込められるかもわからないしね」


難色を示すブライアン先生。


「エイリーン嬢はすでに王宮魔術師並みの魔力を持っているんだ。そんな物作らなくても大丈夫だよ」


軽く流されてしまった…後1年もしないうちに魔王が復活するんだってば!と言いたいけれど、言えるわけがない。


仕方ない!魔石は諦めて他の方法を考えよう!


今日の訓練を終えて、湯あみをする。魔力量アップの訓練は体力も使う。結構汗をかくのだ。


さっぱりしたところで、私はアンナに話しかけられた。


「お嬢様、明日から新学期が始まります。たぶん大丈夫だと思うのですが、念のため制服を着用して頂いてもよろしいですか?」


そう、明日からいよいよ新学期スタートだ。漫画の世界のエイリーンは2年生になることなく命を落とした。でも今の私は無事2年生になれたのだ。漫画の世界とは全く違うストーリーが待っている。少し不安はあるが、楽しみの方が大きい。


私はアンナに言われるがまま、久しぶりに制服を着る。あの事件以来着ることのなかった制服。


うん?なんか、ちょっときつい!そう、バスト周りが少しきついのだ。そしてウエストが、緩い気がする…


「お嬢様、バストの部分がきつそうですね。ウエストは、少し緩そうですし…早速お直しをしておきますね」


さすが悪役令嬢エイリーン。どんどん理想的な体型になっていくわね。前世ではちょっと食べただけですぐに太っていたのに、一体この体、どんな作りになっているのかしら?


私は制服を脱ぎアンナに渡す。制服を持って急いで出て行ったアンナ。きっと今から仕立て屋さんに直してもらいに行くのだろう。


本当はもっと早くお直しをしたかっただろうに、私が精神的に病んでいたり、シュメリー王国に行ったりしていたから言い出せなかったのね。なんだか申し訳ないことをしてしまったわ。


それにしても2ヵ月なんてあっという間ね。まあ、前半は落ち込んでいたからほとんど記憶にないけれど。私たちの事、噂になっているかしら。結局あの事件以降、学院には行かなかったし。


まあ、仕方がないことだけれど、なんだか気が重いわね…カルロ様やエイドリアンがその点は何とかしてくれているのかな!

とにかく今日は早く寝よう。明日起きられないといけないから。


その後私は夕食を食べ終わった後、早めに自室に戻り眠ることにしたのだった。でも…最近夜更かしをしていたせいで、眠れないわ。


どうしよう…このままではまずい。寝ないと!寝ないと!ねな…いと…





「お嬢様、学院に遅刻しますよ!起きてください」


さっき寝たばかりなの!もう少し寝かせて…私は心の中でそうつぶやくが、アンナに容赦なく布団を剥がされる。


仕方ない、起きるか…私はぼーっとしたまま起き上がった。すぐにアンナに洗面台へ連れていかれ、顔を洗われる。そして、制服を着せられ、髪をハーフアップに結ばれた。

こういう時公爵令嬢って本当に楽よね。何もしなくても全部メイドがしてくれるんだもの。


「ほら、お嬢様、もう皆様食堂でお待ちですよ!早く行きましょう」


段々覚醒してきた私は、アンナに連れられて食堂へ向かった。アンナの言う通り、みんなもう席について食事を始めていた。


「お父様、お母さま、エイドリアン。おはよう」


「エイリーン、おはよう。今日から新学期だね。もし、学院に行くのがイヤだったら無理にいかなくていいんだよ」


お父様が不安そうな顔でそう言った。マリアの事件以来初めて行く学院。心無い噂で、私がまた傷つくのではないか、きっとお父様はそのことを心配しているのね。


「お父様、ありがとう。でも私は大丈夫よ。エイドリアンもいるし。それに新学期早々休むなんて良くないわ」


「それならいいんだが…無理だけはするなよ」


お父様はやはり心配そうだ。まあ、元々過保護なうえ、マリアの事件直後の私を見ていることもあり、かなり心配しているようだ。


「本当に大丈夫だから安心して!」


私はさらに念を押す。


「父上、俺も付いているし心配はいりません。」


「そうか?ならエイドリアン、エイリーンの事くれぐれも頼んだぞ」


「任せてください」


エイドリアンが胸をたたく。もう、本当にお父様は心配性ね!

いけない、早く食べないと本当に遅刻してしまうわ。私は急いで朝食を食べ、馬車へと向かった。


久しぶりにエイドリアンと2人で乗る馬車。なんだか変な感じね。

そうこういているうちに、学院に着いた。学院に付くと、もちろんカルロ様が待っている。今日はリリーとフェルナンド殿下も一緒だ。


「おはよう、カルロ様、リリー、フェルナンド殿下。待っていてくれたの?どうもありがとう」


「おはようございます!エイリーン様!私たち今年も同じクラスですよ!」


嬉しそうに私に抱きつくリリー。


「おい、気安くエイリーンに抱きつくな!エイリーン、僕がエスコートするよ、さあ、クラスに行こう」


すかさずリリーを引きはがし、私の手を取って歩き出したカルロ様。後ろではリリーが怒っているが、まったく気にしていないようだ。


「君も同じクラスだよ、エイドリアン」


フェルナンド殿下がエイドリアンに教えていた。そういえばフェルナンド殿下とエイドリアンが話しているのって初めて見たわ。


「今回の事件で、フェルナンドとエイドリアンはずいぶん仲良くなったみたいだよ」


私が不思議そうに2人を見ていたのに気づいたのか、カルロ様がこっそり教えてくれた。


クラスに入ると、ほぼ1年のときと同じ顔ぶれが。でも、その中にはマリアはいない…

いけないわ!もうマリアのことは考えないと決めたのに!


「エイリーン様、お久しぶりです!元気そうでよかったわ」


私は声をする方を向くと、そこにはあの噂好きの伯爵令嬢3人組が。ものすごく心配そうな顔をしている。


「本当に、あの事件以来ずっと休んでいらしたでしょ。私たち心配で…」


「友達に裏切られたエイリーン様を思うと、私たち胸が締め付けられる思いでしたのよ」


私の周りにはいつの間にか、たくさんのクラスメートが。


「エイリーン様、大丈夫ですか?」

「エイリーン様、心配しておりました」


次々と私のことを気遣う言葉が…私はずっとリリーやマリア、カルロ様やフェルナンド殿下しか友達がいないと思っていた。でも、私のことを心配してくれるたくさんの友達がこんなにいたのね。


そう思うと、胸の中が熱くなった。

「心配してくれてありがとう!もう大丈夫よ!またあなたたちと同じクラスになれて、本当に嬉しいわ。これからもよろしくね」


私は今言える精いっぱいの言葉を伝えた。これからは、クラスのみんなとも積極的に仲良くしていきたいな。だって、せっかくまた同じクラスになれたんだもの。


「おーい、お前たち!席に付け~」


担任の先生もどうやら1年のときと同じようだ。


私たちは慌てて自分の席に着く。今回もエイドリアンの後ろ。代わり映えしない教室内だけれど、なんだかとてもホッとするわ。


今日は新学期という事で、先生が簡単に挨拶をし、今後の予定を話して終わり。正直この程度ならわざわざ学院に来る必要ある?と思ってしまう。


ちなみに、1年生は今日が入学式。生徒会長のカルロ様は在校生代表の挨拶の為、今は不在だ。貴族学院では2年生が主に学校を仕切っていく為、王太子でもあるカルロ様は今年から会長なのだ。


「ねえ、エイリーン、せっかくだから4人でお茶をしていきましょう」

リリーとフェルナンド殿下が私を誘いに来てくれた。


「それはいいわね。じゃあ、いつもの中庭で…」

私はそう言いかけて、言葉に詰まる。そう、あの場所はマリアがリリーを毒殺しようとし、私に罪を擦り付けようとした場所だ。


「ねえ、今日は校舎裏のいつもフェルナンド様が愛用していたところにしましょう。あそこなら人も来ないし、ゆっくりできるわ」


リリーも察知したようで、すぐさま別の場所を提案してくれた。


「それにしてもカルロ殿下、おっそいわね!何をしているのかしら?置いていきましょうか?」


「兄上は今入学式に出ているんだ。もうすぐ終わるだろうから、少し待っていてあげよう。ね、リリー」

すかさずフェルナンド殿下がフォローする。なんだかんだでカルロ様に甘いフェルナンド殿下。




「遅くなってごめんね、さあ行こうか」

カルロ様が向こうから走ってやってきた。


「もう、遅いですわ!カルロ殿下は置いていこうと今話していた所でしたのよ」

リリーが頬を膨らまして言う。


「しかたないだろう!学院長先生の話が長かったんだから!これくらい待てないなんて、ニッチェル嬢はずいぶん器が小さいみたいだな!」


「なんですって!!!」


「おい、2人ともやめろ!ほら、お茶にするんだろ。行くぞ」


フェルナンド殿下の一声で、大人しくなった2人。相変わらずね…


私たちは校舎裏に向かって歩き出す。すると、向こうから美しい金髪を1つに束ねた美少年が、周りをキョロキョロ見ながら歩いてきた。


えっ、ちょっと危ない!

私がそう思ったときには時すでに遅し。私はその美少年とぶつかってしまった。

いたたた!


「エイリーン、大丈夫かい」

カルロ様がすかさず私に手を差し伸べてくれた。


「君、危ないだろ!」

カルロ様が美少年に向かって叫ぶ。なぜだか私を指さしてプルプル震えている美少年。何なんだこの人!


その時、急に美少年が叫んだ!


「何で、何で悪役令嬢のエイリーンがまだここにいるんだよ!!!」


無事2年生になったエイリーン!

しばらくほのぼのが続く予定です!

よろしくお願いしますm(_ _)m

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