表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/94

聖女リリーのお披露目が行われます

リリーが聖女と認められた次の日、私はいつも通り学院へと向かう。


学院に着くと、リリーが新しい聖女になったという話で持ち切りだ。

こんなに早く聖女が誕生したのだ。無理もない。


私が教室に入ると、マリアが走ってこちらにやってきた。


「エイリーン、ドラゴンが出たんですって!大丈夫だった?あなたとリリーが大変な時に熱なんか出して…側に居れなくて本当にごめんなさい」


マリアは今にも泣きだしそうな顔をしている。


「マリアのせいじゃないわ。それよりあなた、熱はもういいの?」


「ええ、もうすっかり良くなったわ」


マリアは本当に友達思いね。逆にマリアがいなくてよかったわ。

だって、きっとマリアがいたら、私たちのために無理をしていただろうし!


「エイリーン様!マリア様!」


2人で話していると、割って入ってきたのはリリーだ!


「もう聞いてくださいよ!あの落ち着かない王宮からやっと家に帰れたと思ったら、家にも護衛騎士やメイドたちが上がりこんでいたんです!それに聖女が暮らすにしては家が小さいからって、引っ越しまで決まっちゃって。

お父様なんか伯爵の爵位まで与えられて舞い上がっているし!もうめちゃくちゃなんです!今までの、のんびりした生活を返して欲しいわ」


リリーはものすごい勢いで不満をぶちまけた。

まあリリーにしてみれば、今までの生活が180度変わったと言っても過言ではない。

戸惑うのも無理はない。


「大丈夫よリリー、そのうち慣れるわ」


そもそもリリーは、王族でもあるフェルナンド殿下との結婚も決まっている。メイドや護衛騎士がいる生活には、慣れるしかない。


「そうよリリー、慣れればなんてことないわ。それより聖女になったんですってね!おめでとう、リリー」


マリアに祝福を受けたリリーは、恥ずかしそうに「ありがとう」とつぶやいた。


「でも慣れるかしら…」

不安げなリリー。



リリーが聖女になってからというもの、リリーの扱いも随分変わった。今までは嫌味を言っていた令嬢たちも、リリーに媚を売るようになった。


「もう、今まで散々私の悪口を言っていたのに!私が聖女になったとたんこの扱いなんだから!」


そう言って怒っていた。


そんな中、あっと言う間に1ヶ月が過ぎ、いよいよ今日は聖女リリーのお披露目と、フェルナンド殿下との婚約発表だ。


今回は、他国から王族を呼ぶことはないため、短期間で実現できた。


ちなみに私はカルロ様の婚約者なので、王族席で今回の式典を見守ることになっている。



「リリー、準備は出来た?」

私はリリーが着替えている控室へとやってきた。


リリーは聖女らしく真っ白なドレスに身を包んでいる。

傍から見たら、花嫁さんみたいね。


「エイリーン様!どうですか?」


リリーはくるりと回って見せてくれた。


「とっても素敵よ!よく似合っているわ!」


私がそう言うと、嬉しそうに笑うリリー。本当に可愛い!


残念ながら式典前にリリーに会えるのは王族のみ。そのため、リリーのご家族はここには入れないのだ。


まあ式典が始まれば貴族席から見ることができるため、リリー本人はあまり気にしていないようだけれどね。


「今日で正式にフェルナンド様の婚約者になるのね!私ね、エイリーン様と姉妹になれるのがとても嬉しいのよ」


そう言って嬉しそうに笑うリリー。



「私もこんな可愛い義妹ができるなんて、とっても嬉しいわ」


私がそう言うと、2人で笑った。


その時、急にドアが開いた。



「やっぱり、エイリーンおねいちゃまのこえがしたからきてみたら、ここにいたのね」


声の方を振りむくと、そこにはソフィア王女が。


ソフィア王女は私を見つけると、嬉しそうに駆け寄ってきて抱っこを求める。ソフィア王女を抱き上げると、すり寄ってきた。

なんて可愛らしいのかしら。


「この方がソフィア王女様ね。本当にフェルナンド様によく似ているわ!」


リリーがソフィア王女を見て、嬉しそうにそう言った。


するとソフィア王女はリリーをじっと見つめ


「あなたがせいじょなの?ふーん、わたしずうずうしいおんなきらい!はなしかけないで!」


えっ?今なんて言ったの?

あんなに可愛らしいソフィア王女が、図々しいなんて言葉を使うなんて!


リリーも固まっている。

「それにフェルナンドおにいちゃまとけっこんするのはソフィアなんだからね!」


そう言うと、リリーにそっぽを向いてしまった。


「あの?ソフィア王女。なんでリリーが図々しいと思ったの?」


私の問いかけに、一瞬キョトンとしたソフィア王女だったが、その後は得意そうに答えてくれた。


「カルロおにいちゃまが、おしえてくれたの。せいじょはずうずうしいから、ソフィアはまねしちゃいけないよって」


犯人はカルロ様か…

いくらリリーが嫌いでも、ソフィア王女にそんなことを言うのはさすがに良くない。


リリーも鬼の形相で怒っている。


その時


「コンコン」

誰かがノックする音が聞こえた。


「リリー、準備は出来たかい?入るよ」

そう言って入ってきたのは、フェルナンド殿下だ。後ろには問題のカルロ様もいる。


「フェルナンドおにいちゃま~!」

ソフィア王女は私の腕から抜け出すと、フェルナンド殿下に駆け寄り、抱っこをせがむ。

フェルナンド殿下も嬉しそうにソフィア王女を抱き上げた。


この1ヶ月の間に、どうやらフェルナンド殿下とソフィア王女は随分仲良くなったようだ。


「ちょっと、カルロ殿下、ソフィア王女様に私が図々しい女だって吹き込んだでしょ!おかげで王女様に嫌われてしまったじゃない!」


早速抗議の声を上げるリリー。

「だって本当の事だろう?」


悪びれることなく、カルロ様が答える。


「兄上、それはどういうことですか?それはさすがにリリーにも失礼だし、ソフィアの教育上良くないのでは?」


フェルナンド殿下も抗議の声を上げる。

まあ、当たり前だよね…


さすがにバツが悪くなったのか、黙り込むカルロ様。


「ちょっと、カルロおにいちゃまをいじめないでよ!いじわるせいじょ」


ソフィア王女がリリーに向かって怒っている。


「ソフィア、そんなことを言ってはいけないよ。リリーに謝りなさい!」


フェルナンド殿下に怒られたソフィア王女。「ワーン、フェルナンドおにいちゃまがおこった」ッと言って、ワーワー泣き出してしまった。


これはまずいわね…

そう思っていた時、


「失礼します。フェルナンド殿下、聖女様。そろそろお時間です」


絶妙なタイミングで、執事が呼びに来た。


フェルナンド殿下はカルロ様にソフィア王女を預けると、リリーと2人で出て行った。


とりあえずソフィア王女を2人でなだめる。ソフィア王女も落ち着いたところで、私たちも式典が行われる会場へと向かった。


会場へ向かう途中、血相を変えてソフィア王女を探している教育係にあった。

どうやら黙って私たちのところへ来たようだ。


ソフィア王女を無事?教育係に返し、私たちは王族席へと向かう。今回の式典は、両陛下とフェルナンド殿下、リリー以外の王族は予め席についているシステムの様だ。


しばらくすると教育係に連れられて、ソフィア王女も席に着く。ソフィア王女は今回私の隣。


「エイリーンおねえちゃまのとなりだ」

と嬉しそうにしているソフィア王女、まだ3歳だからじっとできるかな?ちょっと不安ね。



「皆様、お待たせいたしました。両陛下並び、フェルナンド殿下、聖女様のご入場です」


宰相の言葉で、4人が入場してきた。


リリー緊張してるわね。


「皆の者、もう知っているものも多いと思うが、今回新しく聖女になった、リリー・ニッチェル嬢だ。そしてその隣が、我が息子で聖女の婚約者でもある、フェルナンドだ。よろしく頼む。」


そして聖女の証でもある、ティアラが陛下の手によってリリーの頭への乗せられる。


ちなみにこの映像は魔道具によって、王国全土に生放送で伝えられている。その点は、私たちと一緒ね。


リリーの頭にティアラが乗せられた瞬間、盛大な拍手が起こる。


私たちももちろん、拍手をする。貴族席に目を向けると、リリーのご両親とお兄様は涙を流して喜んでいる!


そして、バルコニーへと出たリリーとフェルナンド殿下は、民衆に向かって手を振る。


「聖女様バンザーイ、フェルナンド殿下バンザーイ」


そんな声があちこちから聞こえてくる。その様子をしばらく見ていたのだが、なぜか次々と貴族たちが帰っていく。

なぜかしら?


「さあ、式典は終わったし、僕たちは戻ろうか」


ソフィア王女を抱いたカルロ様が私に声をかけてきた。


「えっ?もうおしまいですの?」


私は疑問に思い、カルロ様に聞く。


「そうだよ、そもそも貴族たちはもうニッチェル嬢の事を知っているからね。結局民向けのお披露目なんだよ。だから今からニッチェル嬢とフェルナンドが馬車で王都を一周して、お披露目はおしまい」


そんな簡単なものなのね…

私たちの方がもっと盛大だったのに。


「まあ、聖女自体が神聖なものだからね。あまり盛大に祝うのは良くないと言われているんだよ」


そうなんだ!

式典に関しては、あまり知らなかったわ。


でもとりあえず無事終わってよかった。

リリーもフェルナンド殿下も、民たちから歓迎されていたみたいだしね。


嬉しそうに手を振るリリーとフェルナンド殿下を見つめ、エイリーンも嬉しそうに微笑んで、その場を後にしたのだった。


~式典後のエイリーン達~

エイリーン 「ソフィア様、聖女のリリーはとってもいい子なのよ。仲良くしてあげてね」

ソフィア「いや、だってカルロおにいちゃまをいじめるもん。それにフェルナンドおにいちゃまもとっちゃうし」


カルロ「そうだよね、ソフィアは聖女が嫌いなんだよね」

エイリーン「カルロ様!」

ソフィア「それにエイリーンおねいちゃまにもなれなれしいわ。やっぱりせいじょきらい!」


ソフィア王女はそう言うとエイリーンに抱き着いて、それはそれは可愛い笑顔を見せる


エイリーン「(何て可愛いの!これ以上は何も言えないわ)」



~式典後のフェルナンド&ソフィア~

フェルナンド「ソフィア、今日は怒ってごめんね」

ソフィア「だいじょうぶよ。でもフェルナンドおにいちゃまはソフィアより、せいじょのほうがすきなの?もうソフィアのこときらい?」


ウルウル目で見つめるソフィア


フェルナンド「そんなことある訳ないだろ!俺はソフィアが大好きだよ!」

ソフィア「ほんとう?じゃあソフィアとずっといっしょにいてくれる?」

フェルナンド「もちろんだ!ずっと一緒だよ」


そう言うと、フェルナンド殿下はソフィア王女を思いっきり抱きしめた

いつの間にかフェルナンド殿下も、ソフィア王女にメロメロになってます!



※次回フェルナンド視点です


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ