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リリーが聖女として目覚めました

本日2回目の投稿です。

光が落ち着き、恐る恐る目を開ける。


そこには、光に包まれたリリーの姿が!

額には、牡丹によく似た花の紋章が浮き出ている。


あの紋章は、間違いない!聖女の紋章だ!リリーが聖女として目覚めたんだわ!


光に包まれたリリーは、ドラゴンに向かって手をかざす。


次の瞬間、ドラゴンの頭上に物凄い稲妻が!


「グワワワワワ」

ドラゴンは悲鳴と共に倒れこみ、その場から動かなくなった。


凄い!聖女の魔力量は半端ないって聞いていたけれど、あのドラゴンを一撃で倒すなんて。


光に包まれていたリリーから光が消え、その場に倒れこむ。

私は足を引きずりながら、何とかリリーの元へと向かう。


私がリリーの元へたどり着いたときには、額の紋章はもう消えていた。


「リリー、大丈夫?」


私はリリーをおこし、声をかける。

ゆっくり目を開けるリリー。


「私、どうしたんだろう。そうだ!ドラゴンは?」


「リリー、ドラゴンはあなたが倒したわ」


私は黒焦げになったドラゴンを指さす。


「私が?嘘…」


戸惑うリリー。まあ当然よね。


「リリー、まずお礼を言わせて!助けてくれてありがとう。」


私はリリーににっこり微笑む。

リリーは状況が呑み込めず、目をキョロキョロさせているが、まあ仕方ないだろう。



「エイリーン」

「リリー」

ん?この声は!


声の方を振り向くと、そこには崖から落ちたはずのカルロ様とフェルナンド殿下の姿が!


「カルロ様!」


私が叫ぶと同時ぐらいに、カルロ様に思いっきり抱きしめられる。

もちろん、私も必死にカルロ様に抱き着いた。


隣ではリリーとフェルナンド殿下も抱き合っている。


「カルロ様、無事だったんですね!本当によかったわ」


「ああ、フェルナンドが助けてくれたんだ」


今“フェルナンド”って言った?


「カルロ様、まさかフェルナンド殿下と」


「仲良しになったと言われれば、まだまだだけれどね」


恥ずかしそうにそう言ったカルロ様、でも嬉しそうだ!


良かった!2人は和解できたのね!

本当に良かったわ!


「そうだ!ドラゴンは?ドラゴンの炎が見えたから心配で飛んできたんだけれど…」


カルロ様は少し困惑しているようだ。

私は黒焦げのドラゴンの方を指でさす。


それを見たカルロ様は、信じられないと言った目で見ている。


「まさか、エイリーンが倒したのかい?」


「いいえ。リリーが倒したのよ」


「なんだって!そんなことはあり得ないだろう…」


驚くカルロ様。

まあ、当然と言えば当然よね。


「カルロ様、後フェルナンド殿下とリリーも大切な話があるの」


私は3人に向かって話し始める。


「みんな信じられないかもしれないけれど、ドラゴンを倒したのは間違いなくリリーよ。そして、今回の戦いで、リリーは聖女として目覚めたの」


「聖女だって!ニッチェル嬢が!!」


私の言葉にカルロ様が反応する。フェルナンド殿下もリリーも目を大きく見開いている。


「そうよ、ドラゴンを倒す寸前、リリーは光に包まれて、額には聖女の証でもある紋章が浮き出ていたわ」


そう、漫画でも見たことあるあの紋章は、間違いなく聖女の証だ。


「額の紋章はもう消えてしまっているけれど、きっとリリーの左腕には浮き出ているはずよ!聖女の証の紋章がね」


聖女は目覚めた時まず額に紋章が現れるが、この紋章はすぐに消える。そしてその後は左腕に浮き出るのだ。左腕に浮き出た紋章は、亡くなるまで消えることはない。


「リリーすまないが左の腕を見せてもらって良いかな」


フェルナンド殿下はそう言うと、リリーの服を軽くめくり、左腕を確認する。

そこにはやはり聖女の証でもある紋章がくっきり浮き出ていた。


「本当だ!ニッチェル嬢が次の聖女なのか」


驚きの声を上げるカルロ様!



その時だった。


「エイリーン!」


この声は、エイドリアンだ。

声のする方を向くと、やはりエイドリアンと先生、護衛騎士たちがこっちに走ってくる姿が目に入った。


「良かった、みんな無事だったんだな」


エイドリアンは嬉しそうに笑う。


「お前たち無事でよかった。それでドラゴンは?」


先生の問いかけに、私は黒焦げのドラゴンを指さす。もうこれで3度目だ。


「まさか、お前たちだけで倒したのか!」


驚きのあまり、目が飛び出るのではないかというほど見開いている先生。


「実はその件なのですが、どうやらニッチェル嬢が1人で倒したようです」


「ニッチェルがか?」


カルロ様の言葉にさらに目を見開く先生。エイドリアンたちも口をあんぐり開けている。


「今回ドラゴンとの戦いで、ニッチェル嬢が聖女として目覚めたようです」


「ニッチェル嬢が聖女だと!」


もう訳が分からなくなったのか、ついに固まってしまった。

まあ、仕方ないだろう。


「とにかく、このことを至急国王陛下に知らせてほしい」


カルロ様は護衛騎士の1人に指示を出すと、騎士は「承知しました」と言って、急いでどこかへ行ってしまった。


「とりあえず宿舎へ戻ろう。エイリーンも疲れただろ?宿舎でゆっくり休もう」


カルロ様の言葉に先生が反応する。


「そのことなんだが、今回ドラゴンが出たということで、俺たち以外の生徒と先生たちはみんな家に帰った。だからお前たちも今から家に帰れるよう、宿舎前に手配してある」


そっか!そうだよね。こんなことになったから、さすがに林間学校は中止だよね。

せっかく楽しみにしていたんだけどな…


「それになぜこんなところにドラゴンが出たのか、しっかり調査しないといけないしな」


エイドリアンが先生の言葉に付け加える。

確かにそうだ、なぜこんなところにドラゴンが出たのか、原因を追究しないとまた同じことが起こったら大変だ。


「エイドリアン、私も協力するわ。なぜかあのドラゴン、私たちを追ってきていたようだし」


なぜか私たちのいる場所を狙ってきていた。

でも私、ドラゴンに恨まれるようなことした覚えはないんだけれどね。


「そのことはまた後で調査しよう。早くしないと日も暮れる!エイリーン、立てるかい?」


カルロ様が私に手を差し伸べてくれる。

そういえば私足をくじいていたんだわ。それに木に激突したから背中もかなり痛いし。


私の様子にいち早く気づいたのは、エイドリアンだ!


「エイリーン、もしかして怪我をしているんじゃないのかい?」


「ええ、ドラゴンに吹き飛ばされて背中を強く打ったのと、その時に足をくじいてしまって…」


「なんだって!すぐに治療しないと!」


そう言うと、エイドリアンは私に治癒魔法をかけてくれた。さすがエイドリアン、痛みは見る見るうちに引いていく!


「ありがとう、エイドリアン!痛みは消えたわ!」


私の言葉にエイドリアンは満足そうだ。

でも…その隣で物凄く不満そうな顔をしている人がいるが、まあ気にしないようにしよう。


「エイリーン、怪我は治ったと思うがまだ心配だ、宿舎まで俺が運ぼう」


エイドリアンはそう言うと、私を抱きかかえようとしたのだが…


「エイドリアン、それは僕の役目だよ!エイリーンは僕の婚約者だからね!いくら兄でもあまり気やすく触るのは止めてくれないか!」


カルロ様はそう言うと、エイドリアンから私を奪い取り、抱きかかえた。


苦笑いするエイドリアン!

リリーも聖女として目覚めたばかり。体にあまり力が入らないようで、フェルナンド殿下が抱えている。



宿舎に着くと、先生の言った通り生徒たちは誰もいなかった。


その代わり、王家と公爵家の馬車が止まっている。


「聖女として目覚めたリリーは、とりあえず王宮へと連れて行くよ。先生、リリーのご両親へのご説明をお願いしてもよろしいですか?」


フェルナンド殿下はそう言うと、リリーを王宮の馬車に乗せた。


「俺たちも帰ろう。エイリーン疲れただろ、早く家に帰ろう。殿下、申し訳ないのですが、エイリーンを馬車に乗せていただいてもよろしいですか?」


「エイリーンが心配だから僕も公爵家まで行くよ!悪いが公爵家から帰るための馬車の手配を頼めるかい?」


護衛騎士に指示を出すカルロ様。


明らかに嫌そうな顔をしているエイドリアン、まあ、気持ちはわかるよ…


「フェルナンド、悪いが先に帰って父上に説明してもらってもいいだろうか?」


「仕方ないな。兄上はエイリーン嬢に夢中だからね。こっちは任せてもらって大丈夫だから!」


そう言うと、フェルナンド殿下は笑った。

2人の仲を知っている私たちは、このやり取りに目を丸くする。


まあ、喜ばしいことなんだけれどね。


満足そうなカルロ様は、私を抱いたまま公爵家の馬車へと乗り込んだ。


私とカルロ様、エイドリアンを乗せた馬車はゆっくり走りだす。

公爵家までは30分以上かかる。


今日は本当に疲れた…

馬車の心地よい揺れと、カルロ様の温もりに包まれて、私はそのまま夢の世界へと旅立ったのであった。


先生がリリーの家に今回の件を説明に行ったときの会話です。


先生「実は今日、ドラゴンが出たので林間学校は中止になりました。それと、リリー嬢が聖女として目覚めたので、今日は王宮に泊まるとのことです」


リリー家族「「「え~~~」」」


先生「では、私はこれで」


リリー父「あの、リリーが聖女として目覚めたってどういうことですか?」


先生「そのままの意味ですが」


リリー父「あの…リリーは一体どうなるのでしょうか?」


先生「詳しい話は王宮から連絡があると思うので。では私はこれで」


リリー家族「「「先生~~~」」」


※貴族学院の先生はとても淡白です。

けして悪気がある訳ではありません。

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