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リリーは私が守ります

リリーの手を引き無我夢中で走った、とにかく走った!

でも…

ここ、どこ?


気が付いたら、みんなとはぐれてしまっていたのだ。

とにかくどこか休める場所をと辺りを見渡す。すると近くに大きな木の下を見つけた。

とりあえずあそこで休むか。


リリーの手を引っ張り、木の下に行くと2人で座り込む。


「ごめんね、リリー。考えなしに走ったから、みんなとはぐれちゃったね」


本当に私、何やってるんだろう…


「いいえ、エイリーン様のせいじゃないです。私こそ何にも出来なくて…エイリーン様がいなかったら私きっと、ドラゴンに丸焦げにされていたわ」


そう言うと、リリーは笑った。でもその顔はとても寂しそうで…

きっとフェルナンド殿下が心配でたまらないのだろう…

私だって、カルロ様が心配でたまらない!私たちの為にあの場に残ったエイドリアンたちのことも!


そう思ったら、涙が溢れてきた。

それを見ていたリリーも泣き出す。


お互い抱き合って、ワーワー泣いた。

しばらく泣いていたけれど、だんだん落ち着いてきた。


その時


「グゥ~~~」


リリーのお腹が鳴った。

そういえばお昼ご飯食べていないもんね。


私たちは顔を見合わせて笑った。


「そういえばお昼まだだからお腹空いたね。みんなを探して歩く?それともここでみんなを待つ?」


私の問いかけに、リリーは少し考え込む。


「ここがどこだかよくわからないし、むやみに歩くよりここで助けを待ちましょう!ドラゴンにまた会ったら嫌だし」


確かに!リリーの言うとおりね。


「じゃあここで待とうか。そうだわ!」


私は誰かに気づいてもらえるように、ポケットに入っていたハンカチを出来るだけ高い木の位置に繋ぐ。


こんなことをしても無駄かもしれないけれど、やらないよりはいいわよね。


「エイリーン様、ありがとう!私ドラゴンが現れて、フェルナンド様が崖から落ちてしまった時、本当に頭が真っ白になってしまって!エイリーン様がいなかったらと思うと…私自分が情けないわ」



「そんなことないわ、私だって頭が真っ白になったもん。あの時エイドリアンがいなかったら、きっとあそこから動けなかった。それに、きっとカルロ様もフェルナンド殿下も無事よ。私はそう信じてるわ」


そうよ。カルロ様もフェルナンド殿下も、物語の世界ではかなり重要な役なんだもの。こんなところで亡くなるなんてことないわ!


「エイリーン様は強いね…私普段はびっくりするほどポジティブなのに、こういう時は本当にダメで…」


リリーはまた泣きそうな顔をしている。


「リリー、大丈夫よ!きっと大丈夫」



私はリリーを抱きしめる。



その時、すごい風が私たちを襲う!

この風ってまさか…


私たちの目の前には、あのドラゴンが!

嘘…どうしよう!


落ち着け、落ち着くのよエイリーン!

リリーが聖女として目覚めるのはまだ3ヶ月くらい後。今のリリーの魔力量はそんなに高くないはず。


だとすると、戦えるのは私だけね。

でも私の力ではとてもドラゴンを倒せないわ!


ならやることは1つ。


ドラゴンの皮膚はとても固いから、狙うなら顔!それも目!


「リリー、私がドラゴンを攻撃するわ。ドラゴンの気がそれたその隙に逃げましょう」


リリーはうなずく。


ドラゴンが口から火を吹こうとしている。

今だわ!


私はありったけの魔力を込め、ドラゴンの目を狙って氷を噴射させた。


私が噴射させた氷はドラゴンの顔に命中し、ドラゴンの顔が凍り付く。


「今よ、リリー。走って」


私はリリーの手を取り、走り出す。

きっとあの氷もすぐにドラゴンに溶かされるだろう。


その前に出来るだけ遠くまで逃げないと…

確かドラゴンは臭覚はそこまで良くない。仲間同士の臭いはかぎ分けられるが、人間の臭いにはそこまで敏感ではないと本に書いてあった。


ならば、ドラゴンに見つかりにくい木が生い茂っている場所。できれば洞窟なんかが良いわね。


特にドラゴンは空を飛んで移動するから、上空からでは見つけられないような場所が理想だ。


私は走りながら周りを見渡す。



魔力をたくさん使ったうえ、全力で走り続けている。そろそろ体力も限界だわ。


すると小さいけれど、ちょっとした洞穴を見つけた。

周りは木々が生い茂っている。

ここなら大丈夫だろう!


「リリー、あそこの洞穴に隠れましょう」


リリーもうなずく。

2人で洞穴に入るがやはり狭く、何とか2人が入れる程度だ。


上がった息を整える。

リリーも疲れたのか、ハーハー言っている。


ドラゴンに見つかりにくいということは、みんなにも見つけられにくい。でも仕方ないわね。


「リリー大丈夫?とりあえずここで休みま…」


私がそう言いかけた時だった。


“バキバキバキバキ”


木が折れる音が聞こえ、目の前にはあのドラゴンが…


どうして?

結構な距離走ったよね?もしかして人間の臭いもある程度認識できるのかしら?

もう!本の情報なんて当てにならないものね!


とにかく、今はそんなこと考えている場合じゃない。

ドラゴンを何とかしなきゃ!


このまま何もしなければ、間違いなく2人ともやられる!

とにかくリリーだけでも逃がさないと。


「リリー、私がドラゴンを引き付けるわ。その間に逃げて!」


「でもそれじゃあエイリーン様が!」


「大丈夫よ、私これでも魔力量の訓練を受けているから、ある程度は戦えるわ。私が時間を稼ぐから、誰か呼んできて」


さっきの氷魔法で結構魔力を使ってしまった。後どれくらい戦えるかわからないけれど、やるしかないわね。


ドラゴンは私たち目掛けて、炎を吹き出した。


私はバリア魔法を作動させる。

本当は炎で戦いたいところだが、今の私の魔力量ではドラゴンに吸収されて終わりだろう。


そう思っての判断だ。


私のバリアにドラゴンの炎がぶつかる。

凄い威力だ!


吹き飛ばされそうになるのを必死にこらえる。


「リリー早く!今のうちよ」


私は必死に叫んだ!

でも、次の瞬間、ドラゴンはさらに炎の勢いを増したため、私は吹き飛ばされた!


「きゃあ」


思いっきり木に激突してしまった。


「エイリーン様!」

リリーの叫び声が聞こえる。


とにかく立ち上がって戦わなきゃ!そう思って立ち上がろうとしたのだが


「痛っ」


どうやら足をひねったようだ。

ヤバい、動けない!

目の前にはドラゴン、絶体絶命の大ピンチだ。


さらにドラゴンは私目掛けて炎を吹こうとしている。


もうダメだ!

その時だった!


「エイリーーーン様!!!!」


リリーの叫び声と共に、辺り一面ものすごい光に包まれる。

私はもちろん、ドラゴンも目を瞑っている。


一体何が起こったの?


なぜかエイリーン達を追いかけてくるドラゴンに、苦戦するエイリーン!

ついにエイリーンはケガをしてしまいました。

絶対絶命のピンチを救ったのは…


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