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僕たちは似た者兄弟~カルロサイド~

本日2回目の投稿です。

基本的に会話中心、カルロ視点で話が進みます。

「う~~ん」

僕はゆっくりと目を開けた。

ここはどこだろう…


「気が付いたか?」


この声は第二王子。

そうだ、僕たち崖から落ちたんだ。


辺りを見渡すと、どうやら洞窟のようなところの様だけれど…


「ここは?」


「崖の下だ、とりあえず休めるようにと、ここに連れてきた」


あの崖から落ちて良く助かったな。それに体も痛くない…もしかして…


「君が運んで治癒魔法をかけてくれたのかい?とりあえず礼を言うよ。ありがとう」


「別に大したことはしていないよ。地面に叩きつけられる寸前に、魔法で衝撃を抑えたんだ。ただそれだけ」


なるほど、そういうことか。


「それより、なぜあの時俺を助けたんだ。俺を助けなければ、あんただって崖から落ちることもなかったのに…」


「なんでだろう…自分でもよくわからない。でも…君を見捨てることができなかったんだ」


そう、あの時は必死だった。絶対死なせたくないと思って、何が何でも助けたいと思った。


「なんか不思議だな、こんな風にあんたと話す日が来るなんて…」


「確かにね。僕は君が正直嫌いだった。何もかも完璧で、僕が持っていない物を何でも持っている気がして、悔しかった」


「それはあんたの方だろう?」


「僕が?僕は何をやっても平凡だ。瞳の色も父上に似なかったし」


そう、王家に伝わる赤い瞳。僕が引き継がず、第二王子が引き継いだことで随分母上に文句を言われた。


「この瞳の色か。俺はこの瞳の色で、あんたの母親にいつも酷いことを言われていた。それに、あんたには母親も可愛い婚約者もいるだろ?」


「そうだね、母上はともかく、エイリーンに出会えて僕は随分と変わったよ。あんなに嫌いだった自分も好きになれた。僕はエイリーンに会うまで、ずっと孤独だったからね」


「あんたが孤独?産まれた時から王妃の子供として大切に育てられてきたあんたがか?」


第二王子はかなり驚いているようだ。


「そうだよ、ずっと孤独だった。確かに周りは第一王子としてちやほやしてくれるけれど、陰ではいつも第二王子の君と比べられていたよ。母上にも随分君と比べられて、出来損ないって言われたこともあるよ」


「あの女なら言いそうだけれど、自分の子供にそこまで言うか?」


第二王子、めちゃくちゃ引いている。


「でも母上はエイリーンに会って、随分変わったよ。君のこともすごく心配しているよ」


「俺を?あの女が?」


目を丸くして驚く第二王子。

でも母上のこと、あの女呼ばわりって…

よっぽど嫌いなんだろうな。


「そうだよ、信じられないでしょ。エイリーンに会って、僕も母上も父上もみんな良い風に変わったよ。僕も君に抱いていたコンプレックスも随分無くなったしね」


「君も随分苦労したんだろ?僕を憎んでるんじゃない?」


「俺は別に…ただ…幸せそうにしているあんたを羨ましいと思ったことはある」


そう言うと、第二王子は俯いてしまった。


「そっか!僕たちってさ、育った環境は違うけれど、似た者同士なのかもね。孤独を抱えていたところとか」


「そうかもな…」



「でも、君がエイリーンを好きにならなくてよかったよ。もし君がエイリーンを好きになってたら、兄弟で争わなきゃいけないだろ?」


「そうだな…。でも…エイリーン嬢は何があってもあんたを選ぶよ!あの子はそういう子だ」


そうだね。エイリーンはどんな時でも、僕を好きでいてくれる。



「あのさ、ずっと聞きたかったんだけれど、何であのニッチェル嬢と付き合ってるの?」


僕はずっと疑問だった。あんな図々しい女のどこが良いんだ?僕なら頼まれてもごめんだ!


「ああ見えて可愛いところもあるんだよ。まあ、あんたがリリーに興味を持たなくて良かったよ」


「僕が?あの図々しい女に!あり得ないよ。あの女、いつも僕とエイリーンの仲を邪魔するんだ。わざわざ僕に、エイリーンのファンクラブ会員証を見せてきたときもあったな。あの時のニッチェル嬢の得意そうな顔!今思い出してもムカつく!」


しまった、つい本音が出てしまった。


彼女の事そんな風に言われたらいやだよな。

そう思っていたのだが…


「ブッ、ハハハハハハ」


何がおかしかったのか、急に第二王子が笑い出した。


「ごめん、リリーの得意そうな顔を思い出したら急におかしくなって」


そういって笑う第二王子。

そんな第二王子を見てたら、僕はあることに気づく。


「あのさ、以前エイリーンが言っていたでしょ。君が妹のソフィアに似ているって。君の笑った顔を見たら、確かにソフィアにそっくりだ」


「あんたの妹に俺が?」


「君の妹でもあるんだよ、ソフィアは!まあ、血が繋がっているんだから、似ていても不思議ではないよ。ねえ、今度ソフィアに会ってみない?きっと喜ぶよ」


「俺は子供が苦手だし…それにきっと懐かないよ…」


「それはどうかな?ソフィアはとても人懐っこいからね」


ソフィアならきっと懐く、理由はわからないけれど、なんとなくそう確信していた。


「まあ、そこまで言うなら会ってもいいよ」


そう言った第二王子はなんだか嬉しそうだ。


そう思っていた時だった。


崖の上の森の方から、ドラゴンのうめき声と炎が見えた。

そうだ!エイリーンは大丈夫だろうか!


「つい長々と話をしてしまったね、そろそろ僕たちも行こう。エイリーンたちが心配だ」


「ああ、そうしよう。兄上」


えっ、今兄上って呼んだ?


「なんだよ、なんか文句あるのか」


僕がぽかんとしていたからだろうか、第二王子、いやフェルナンドは耳まで真っ赤にして抗議の声を上げた。


「いいや、何でもないよ、行こうか。フェルナンド」


そう言うと2人は立ち上がり、エイリーンたちの元へと向かう。


エイリーン、君の言った通り、きっかけがあれば僕たちのような兄弟でも仲良くなれるんだね。


僕とフェルナンドの関係は、まだまだぎこちない。でもきっと、これからもっと仲良くなれるような気がするよ。


若干無理やり感は否定できませんが、何とか兄弟仲を改善できました。


ちなみに相変わらず、勉学、武力、魔力量はフェルナンド殿下の方がカルロ様より上です。

でも今のカルロ様は、あまり気にしていないよう。


もう1つ言わせていただくと、魔力量だけ見ると、フェルナンド殿下よりもエイドリアンやエイリーンの方がはるかに高いです。


フィーサー家の魔力量は王族をも上回るのです。

さらにフィーサー兄妹は、日々魔力量アップの訓練を行っています。もう王宮魔術師にでもなるのか?というくらい本格的に!


その点でも、2人の魔力量がずば抜けて高い理由でもあります。


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