2人の仲を取り持つのは中々難しいです
本日2回目の投稿です!
とにかく、何とかカルロ様をお茶の席に連れて行かないとね。
でも、どうやって?
私はっきり断られたわよね。
う~ん、週が明けたらリリーとマリアに相談してみるか。
そして週明け、早速マリアとリリーを呼び出した。
「そうか、断られちゃったか」
マリアは残念そうにつぶやく。
「実は…私もフェルナンド様に断られちゃったの…」
リリーもか!
これは前途多難だな!
落ち込む私とリリー。
「まあ、断られたなら仕方ないじゃない?何か別の方法を…」
マリアがそう言いかけたときだった。
「こうなったら強行突破よ!エイリーン様、カルロ殿下には2人でお茶をしようと中庭に誘い出して。私もフェルナンド様を誘い出すから」
リリーがマリアの言葉を遮り、ちょっと強引な提案をしてきたのだ。
「でも…そんなことをして大丈夫かしら」
弱気な私。
「エイリーン様、何を弱気なことをいっているの?とにかく2人を会わせないと!いい、絶対カルロ殿下を連れて来てね!絶対だからね!」
私はついリリーの迫力に負け、うなずいてしまった。
マリアも苦笑いしている。
本当に…大丈夫かしら…
そして迎えた決行日。
「カルロ様、今日は天気もいいし、中庭でお茶を飲みましょう」
「そうだね、そうしよっか」
よし、うまく誘い出せたぞ。
中庭に着くと、既にリリーとフェルナンド殿下が座っていた。
「あら~偶然ねリリー。せっかくだからご一緒してもいいかしら?」
かなり白々しいが、まあ許して!
「エイリーン!」
カルロ様が抗議の声を上げる。
ごめんなさい…カルロ様…
「ほんと偶然ね、ここ空いているから座って」
リリーが前の席を進めてくる。
「せっかくだから座りましょ、ねっカルロ様」
私はカルロ様を無理やり椅子に座らせると、自分も隣に座る。
フェルナンド殿下も明らかに不機嫌そうだ。
「エイリーン、これはどういうことかな?僕はこの2人とはお茶をしないっていったよね?」
ヤバい、カルロ様怒っている。
「ええっと…たまたまですわ。そう…たまたま、ねっリリー」
私はリリーに助けを求めた。
「もう、相変わらず王太子殿下は器が小さいですね。別にいいじゃないですか、お茶ぐらい。ほら、せっかくメイドがお茶を入れてくれたんだから飲みましょ」
さすがリリー、強いわ。
でも何かしゃべらないとまずいわよね。
「それにしても本当に今日はいい天気よね。そういえば先日王宮に行ったとき、ソフィア王女と一緒に遊んだのよ。ソフィア王女って、本当に可愛いの。そういえばソフィア王女とフェルナンド殿下ってよく似ているわ!」
そう、瞳の色とかね。
「まあ、エイリーン様、ソフィア王女とフェルナンド様ってそんなに似てるんですか?私もあってみたいですわ。ねぇ、フェルナンド様」
「…」
フェルナンド殿下に話を振るが、全く反応はない。
カルロ様も明らかに不機嫌な顔をしている。
「王太子殿下も俺がいると嫌みたいだから、もう行くわ」
そう言うとフェルナンド殿下は去って行った。
「まって、フェルナンド様~」
リリーも追いかけていく。
2人残されてしまった…
どうしよう…
ものすごく気まずい…
私は俯いたまま固まってしまった。
「エイリーン、これはどういうことかな?」
カルロ様に無理やり上を向かされる。
カルロ様、笑顔なのに目が笑っていない…
「ごめんなさい…」
とにかく謝ってみた。
「は~、君の気持は嬉しいけれど、僕は第二王子とは仲良く出来ないよ」
「どうしてですか?腹違いではあるけれど、兄弟なんだからきっと仲良くできるわ」
だって、漫画ではあんなに仲良くなっていたじゃない。
「兄弟仲の良い君にはきっとわからないよ。とにかく僕は第二王子と仲良くするつもりはない!」
カルロ様はそう言うとそっぽを向いてしまった。
「カルロ様、確かに私は今はエイドリアンと仲が良いです。でも…私たちだって最初から仲が良かったわけではなかったのよ」
「それってどういう意味?」
カルロ様は不思議そうに私の方を見た。
「私ね、昔は本当にわがままで傲慢で嫌な子だったの。使用人にも嫌われてたし、エイドリアンなんて私を毛嫌いしていたのよ。でも私ね、このままじゃいけないって思って…何とかエイドリアンと仲良くなりたくて、いっぱい話しかけた」
そう、餌付けしようとして失敗したり、ストーカーの様に観察したり、あの時は大変だったわ。
「でも中々うまくいかなくって、ずっとエイドリアンに無視されていたの」
「あのエイドリアンが!信じられない…」
「でもね、あるお茶会がきっかけで、エイドリアンとの仲も改善できたの。だから、カルロ様もきっとフェルナンド殿下と仲良くなれるわ。だって血のつながった兄弟なんだもの」
「君たちはそうだったかもしれないが…僕たちは無理だよ」
カルロ様はそう言うと俯いてしまった。
「そんなことはないわ!ねぇ、一度でいいからフェルナンド殿下と話してみて、そうすればきっと…」
「もういい加減にしてくれ!僕はあいつと仲良くするつもりはないって言ってるだろ!」
私の言葉を遮るように、カルロ様は怒鳴った。
カルロ様に怒鳴られたのは初めてで、私は驚いて固まってしまう。
「怒鳴ってごめん、でも、もう放っておいてほしいんだ。ごめん、エイリーン、頭冷やしてくる」
そう言うと、カルロ様は立ち上がりどこかへ行ってしまった。
私、やりすぎてしまったんだわ…
カルロ様を傷つけてしまった…
何度もフェルナンド殿下と仲良く出来ないって言っていたのに、その気持ちを無視して、自分の気持ちばかりを押し付けて…
私…
最低ね!
そう思ったら、涙が込み上げてきた。
ダメ、泣いてはダメ。
きっと泣きたいのはカルロ様の方よ。
私に泣く資格なんてないわ。
でも…涙が込み上げてくる。
私は椅子に座りながら、声を殺しながら泣いた。
自分の行いを反省しながら…
ついついやり過ぎてしまったエイリーン!
カルロ様を怒らせてしまいました。
中々上手くいかないようです。




