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やっぱり僕の婚約者は最高だ~カルロ視点~

本日2回目の投稿です。

エイリーンとの婚約が決まってから、5年の月日が流れた。

初めて会った時のエイリーンはとっても可愛らしい女の子だったが、どんどん美しくなっていき、今では誰もが認める絶世の美女へと変わった。


そんなエイリーン、見た目だけでなく性格もとても優しく、周りの人を幸せにできる力を持っている。


僕自身もエイリーンと出会って、人生が180度変わった。もちろん、良い風にだ。

そんなエイリーンを僕は心から愛している。そしてエイリーンも僕のことをかなり慕ってくれている。


僕たちの関係は貴族学院に入っても、決して変わらないと確信していた。


だから僕は少しでもエイリーンが楽しく学院生活が送れるように、王妃教育も一旦休みにしてもらう様に母上にも頼んだ。


でも…

実際は違った…


エイリーンは入学早々、あの図々しい女、男爵令嬢のニッチェル嬢と友達になると、四六時中彼女といるようになった。


あの女は本当に図々しい。


僕とエイリーンがたまにお茶をしていると、割り込んでくる。


普通友だちが婚約者と一緒にいたら、遠慮するだろう!

あの女には、その遠慮という言葉が存在しないようだ。



さらに、僕がエイリーンを誘っているにも関わらず、無視して自分とお茶をしようと無理にエイリーンを連れて行こうとしたりもする。



もちろん僕も譲るつもりはない!

そんな僕たちに困ったエイリーンは


「では3人でお茶をしましょう」


なんて言う始末。


どうしてエイリーンは僕を選んでくれないんだろう。

もう僕の事は好きじゃなくなってしまったんだろうか…



さらに僕を悩ませたのは、男子生徒たちの視線だ。


エイリーンは顔が美しいのはもちろん、出るところはでて引っ込むところは引っ込む、まさに理想的な体をしている。


そのせいでいやらしい目で見ている男どもが多いんだ。


たまに


「エイリーン嬢の体みたか?14歳であのバストはすごいよな~」

「エイリーン嬢を一度でいいから抱いてみたい」


なんて下品な言葉を耳にすると、腸が煮えくり返る思いだ。

幸い妹大好きエイドリアンによって、その男たちはコテンパンにやられるのだが…


当の本人、エイリーンはそんな視線を全く気付いていないのも考え物だ。



さらに追い打ちをかけるように僕は王太子ということで、無理やり生徒会に入らされた。そのせいで必要以上に忙しくなり、どんどんエイリーンとの時間が奪われていく。

くそ…何とかしなければ!



そんなある日、あの憎たらしく図々しい女、ニッチェル嬢が嬉しそうに僕のところにやってきた。


きっとろくな話ではないのだろう…


「カルロ殿下、これ見てください!」


ニッチェル嬢が持っていたのは、何かの会員証だ。

よく見ると、「エイリーン・フィーサー様公式ファンクラブ会員証」と書いてある。

何なんだ!これは一体!


「これはどういうことかな?ニッチェル嬢」


「見ればわかりますよね?エイリーン様のファンクラブの会員証ですよ」


「なんだって?一体誰の許可を得てこんなものを作ったんだ!」


僕は感情が抑えられず、ニッチェル嬢に詰め寄る。


「誰にって、学院長の許可を得てですよ。見てください!私が会員No.1番なんです。すごいでしょう。ちなみに私がこのファンクラブを立ち上げたんです」


嬉しそうに会員証を見せてくるこの女に、さらにイライラが増す。


「カルロ殿下も早くファンクラブに入った方がいいのではないですか?既に100人以上が入会していますよ」


「ふざけるな!エイリーンは僕の婚約者なんだ、なぜ僕が婚約者のファンクラブに入らなければいけないんだ!」


僕はついに怒鳴ってしまったが、これは仕方がないだろう。


「お~怖!まあ別に私はどうでもいいですけれど、実験室で会員募集していますよ。では、ごきげんよう」


ニッチェル嬢は、それはそれはヘッタクソなカーテシーを決めて去って行った!


くっそう!何なんだあの女は!でもこうしちゃいられない。僕もすぐにファンクラブに入らないと!


僕は実験室に行き、すぐに会員証を発行してもらう。


でも…発行してもらった会員証を見て絶句する。

会員番号が125番?婚約者の僕が125番だって…


あの図々しい女が1番で僕が125番だなんてあり得ない…


もう我慢できない!


僕はすぐに王宮に戻り、母上の元へと向かった。


「母上!大切なお話があります!」


「あらあら。どうしたの?そんな怖い顔をして」


母上はクスクス笑っている。

エイリーンと婚約する前の母上はいつも不機嫌で、顔を見ると胃が痛くなるくらい苦手だったが、今は人が変わったかの様に穏やかになった。


父上曰く、今の母上が本来の性格らしい。

ちなみに、父上と母上の仲が改善してからは、父上ともよく話すようになった。


それもこれも全部エイリーンのおかげだ。

おっと、話がそれてしまった。


「母上、エイリーンの王妃教育の事なのですが、今からでも再開させることはできないでしょうか?」


「どうして?エイリーンちゃんには学院生活を楽しんでもらいたいからって、カルロが言い出したことでしょ?」


母上はこてんと、首をかしげる。


「そうなのですが…エイリーンとの時間が中々取れなくて…王妃教育を再開させれば、また昔の様にエイリーンと一緒に過ごすことが出来ると思うんです」


我が儘なのはわかっている。でも、僕は何とかエイリーンとの時間を確保したいんだ。


「それに、エイリーンは男爵令嬢なんかと仲良くしています。いずれ王妃になるのに、そのような身分のものと一緒にいるのはいかがなものかと!」


母上は身分を人一倍気にする性格だ。男爵令嬢と仲良くしていると聞けば、きっといい顔はしないはず。

侯爵令嬢のマリア・ベネフィーラとも友達だが、それはとりあえず伏せておこう。



「いいじゃない?男爵令嬢とお友達でも。エイリーンちゃんはとっても優しいから身分なんて気にしていないのよ!それよりカルロ。いずれは国王になるのよ。身分で人を判断するのは良くないわ」



えええ~~~


母上、いつも第二王子の母親は身分が低いってバカにしてたじゃん!


あっ、あれはエイリーンと出会う前の母上だったな…

そういえば最近第二王子の事も全く悪く言わないし…

むしろ気にかけている節があるくらいだからな…



「カルロ、あなたの気持ちは分かったけれど、自分が会いたいという理由だけで王妃教育の再開はできないわ。一度エイリーンちゃんと話してみなさい。大丈夫よ!エイリーンちゃんはカルロが大好きなんだから」


母上はにっこり微笑む。


「それにしてもカルロの独占欲の強さときたら…シリル様の変なとこばかり似ちゃうんだから困ったものね」


そう言うと母上はクスクス笑っていた。



母上はああ言っていたけれど、エイリーンは本当に僕の事今でも好きなのかな…


エイリーンは僕より友だちの方が大切なんじゃないのかな…


だからと言って、エイリーンを諦めるなんて出来ない。

明日の放課後にでも話してみよう!


そう思っていたのに…

エイリーンは授業が終わると急いで帰っていく。

次の日も、その次の日も…


もしかして僕に隠れて誰かに会っているのだろうか…

本当に僕はエイリーンに捨てられるのかもしれない…


ネガティブな感情ばかりが出てしまう。


そんな日々が続いたある日の朝。


「カルロ様、おはよう!あの、今日お昼一緒に食べたいんだけれどいいかしら?」


エイリーンが久ぶりに話しかけて来てくれた。

それもお昼の誘いだ!

舞い上がる気持ちを抑え、極力冷静に返事をした…つもりだ。


それにしても、何でエイリーンがお昼に誘ってくれた時に限って生徒会の仕事が残っているんだ。

僕はすぐに終わらせるから、教室で待っていて欲しいとエイリーンに伝えた。


お昼休みになると僕は猛ダッシュで生徒会室へ向かい、一気に仕事を片付ける。

こんなに集中したのは久しぶりだ。


急いで終わらせ、すぐに教室へと向かった。


「待たせてごめんね、行こうか」


そう言いながら手を差し出すと、嬉しそうに僕の手を握るエイリーン。

本当に可愛い!


2人で中庭へと向かい、隣り合わせで座る。


「実は今日カルロ様にサンドウィッチを作ってきましたの。お口に合うといいけれど」


エイリーンは少し恥ずかしそうにバスケットからサンドウィッチを取り出した。


僕の為にわざわざサンドウィッチを作ってきてくれるなんて、相変わらず優しい。

ちなみにエイリーンの料理は格別だ。


今日はカツサンドという新しいサンドウィッチを作ってきてくれたらしい。

早速口に含むと


うまい!

こんなうまいもの食べたことない。特にこのソース、めちゃくちゃ美味しいんだけれど。


「エイリーン、めちゃくちゃおいしいよ、中のお肉とキャベツにソースがとても合っている。卵サンドも美味しかったけれど、これはまた格別に美味しい。でもこのソース初めて食べる味だね。エイリーンが作ったのかい?」


僕の問いにエイリーンが恥ずかしそうに答える。聞けば僕にカツサンドを食べさせたくて、毎日放課後ソース作りに精を出していたとのこと。


そうか、僕の為に早く帰っていたのか!

あぁ、エイリーンは変わらず僕を大切に思っていてくれてたんだ!


そう確信した瞬間、僕は無意識にエイリーンを力いっぱい抱きしめていた。


久しぶりに抱きしめるエイリーンはとても柔らかく、相変わらずいい匂いがする。


つい強く抱きしめすぎてしまったようで、エイリーンから背中を叩かれてしまったが…それはまあ、許してほしい。


そしてさらにエイリーンから嬉しい言葉が!


「あの…カルロ様、これから生徒会の集まりが無い時は一緒にお昼を食べない?もちろん、忙しいのは知っているけれど、中々会えないから寂しいわ」


エイリーンは頬を真っ赤にして伝えて来てくれた。

あぁ、エイリーンも僕と一緒だったんだ。



僕はずっとエイリーンが変わってしまったと思っていた。

でも、エイリーンは何一つ変わっていなかった。



エイリーン、君は本当に最高の婚約者だ。

これからも、ずっと一緒にいてね、エイリーン!


カルロ様は、不器用で残念な王子です。

でも、そんな残念っぷりも含め、エイリーンはカルロ様が大好き。


ちなみにカルロ様、あまり伝わっていないかもしれませんが、顔はかなりのイケメンです!






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