カルロ様との時間をもっと増やしたい
いつの間にかブックマークが100超えてました!
星評価もつけていただいているようで、とても嬉しいです。
ありがとうございます!
新しい友達が出来て、ますます学校生活が楽しいものとなった。
お昼休みや放課後はもちろん、休日も3人でよく町にでて、ショッピングを楽しんだりカフェでお茶をしたりしている。お互いの家に遊びにもいったりする。
今までは王妃教育があったので、ほとんど遊べなかったこともあり、本当に楽しい!
とても楽しいんだが…
女友達との時間が増えると、必然的にカルロ様との時間が減ってしまう。
今まではほぼ毎日王宮に通っていたため、ほぼ毎日カルロ様とのティータイムを楽しんでいた。
でも今は王妃教育もお休みで王宮へ行くこともあまりないうえ、貴族学院ではリリーやマリアといることも多いため、カルロ様と過ごす時間があまりとれないのだ。
さらに王太子でもあるカルロ様は、基本的にとっても忙しい。その点も、あまり一緒に過ごせない理由の1つでもある。
「どうしたの?エイリーン、さっきからずっと黙ったままで。何か悩み事?」
マリアが不思議そうに聞いてくる
ちなみに今は貴族学院の中庭で、お昼ご飯を食べているところだ。
ここは漫画の世界でエイリーンが断罪された場所だけれど、今は私たちの憩いの場所にもなっている。
「うん…実はカルロ様とあまりお会いできてなくて…」
「王太子という立場上、忙しいから仕方がない面もあるんじゃないかしら?でも学院内でなら、会えるんでしょ?なら私たちは良いから、カルロ殿下と一緒にお昼ご飯食べたら?」
「うん、そうしたいんだけどね。カルロ様生徒会にも入れられちゃったでしょ。お昼は生徒会の仕事もあるから、中々一緒に食べられないのよね…」
そう、カルロ様は王太子ということもあり、1年なのに生徒会に入れられてしまったのだ。
そのせいもあり、かなり忙しくなってしまった。
「でも毎日生徒会の集まりがある訳ではないでしょ?一度お昼に誘ってみたら?」
言われてみたらそうだ。さすがマリア、頼りになるわね!
「ありがとう。一度カルロ様に聞いてみるわ!」
私はマリアにお礼を言うと、マリアは微笑む。本当によく出来た令嬢だわ。
そういえば、いつもなら間違いなく食いついてくるリリーがやけに静かね。
「リリー、どうしたの?あなたも悩み事?」
私は隣に座っているリリーに問いかける。
「えっ、あっ、ごめんなさい、私ボーっとしていたみたい」
「悩みがあるなら聞くわよ」
リリーが黙り込む。
マリアと2人でリリーを見つめていると、リリーが重い口を開いた。
「実は…フェルナンド殿下の事なんだけれど…」
フェルナンド殿下と言えば、漫画の世界でリリーが恋に落ちた相手。私の知らない間に2人に何かあったのかしら!これは気になるわね。
「フェルナンド殿下がどうかしたの?」
「どうってことはないんだけれど…ずっと1人でいらっしゃるじゃない?お昼もどこかへ行ってしまわれるし…それに、とっても寂しそうな瞳をしているの。私…気になって仕方ないんだ」
なるほど!要するにフェルナンド殿下が気になるが、どうしていいかわからないということか。
「リリー、あなたはどうしたい?」
私の問いに、リリーは少し戸惑っている様子。
「私は…フェルナンド殿下を放っておけない…何かしてあげたい」
「じゃあしてあげればいいじゃない?リリーらしくないわ。いつものリリーなら、考えるより行動しているでしょ?どうしたの?」
そう、リリーはいつも考えるより行動が早いタイプ。
「エイリーン様は私がフェルナンド殿下と仲良くしても、平気なの?だって…カルロ殿下の事もあるし…」
私はリリーの言葉に目を丸くする。彼女はカルロ様とフェルナンド殿下の関係を知っていて、私に遠慮したのか!だから言いにくそうにしていたのか!
「リリー、私に気を使ってくれたのね、ありがとう。でも私もフェルナンド殿下の事は気になっていたのよ。だから私の事は気にせず、あなたが思うように行動して!あなたならきっとフェルナンド殿下の支えになれるわ」
だってヒロインなんだから。
ここはさすがに言えないが…
私はリリーの手の握り目をしっかり合わせて伝える。
「ありがとう、エイリーン様、私、自分が思うようにやってみるわ!」
意気込むリリー。さすがヒロイン。
その後はいつものようにご飯を食べながら、話に花を咲かせた。
午後の授業が終わると、私は一目散に家に帰り、厨房へと向かった。
実は今、カツサンドを考案中なのだ。カツサンドの命と言えるソース、そのソースが中々うまくいかないため、ここ数週間毎日ソースづくりに精を出している。
一生懸命前世の記憶を思い返しながら作っているが、中々コレだ!という味にたどり着かない。
「お嬢様、待っていたんですよ!」
私が厨房に着くと、料理長がニコニコしながらやってきた。
「このソース、ちょっと味見してみてください!」
差し出されたソースを一口なめてみる。
「コレ、この味だわ!料理長これどうしたの?」
私は料理長に興奮気味に聞いた。
「実はこの前お嬢様の作ったソースを私なりにアレンジしたんです。」
「まあ、あのソースを!なんて素晴らしい料理長なのかしら!これでカツサンドが作れるわ」
私は嬉しくて料理長に抱き着く。
「お、お嬢様!」
いけない、嬉しくてつい…
私は慌てて料理長から離れる。
料理長は顔を真っ赤にしていた。
30過ぎた男性が14歳の小娘に赤くなるなんて、料理長も可愛いわね。
そうだわ、このソースを使って、明日カツサンドを作ろう。そしてカルロ様に食べてもらおう!
きっとカルロ様も喜んでくれるわよね。
明日が楽しみだわ!
そして次の日の朝、いつもより早起きしてカツサンドを作った。
料理長や料理人たちにも味見をしてもらったが、大好評だった。
きっとカルロ様も喜んでくれるわよね。
ちなみに味見をしに来たエイドリアンたっての希望で、エイドリアンのお昼ご飯用にもカツサンドを作った。
学校に着くと早速カルロ様の元に向かう。
「カルロ様、おはよう!あの、今日お昼一緒に食べたいんだけれどいいかしら?」
自分から誘うなんてなんだか恥ずかしいわ。
「お昼に?エイリーンが誘ってくれるなんて嬉しいよ!大丈夫だよ!一緒に食べよう。でも生徒会の仕事が少し残っているから、教室で待っていてくれるかな?ごめんね」
「わかったわ、じゃあ教室で待っているわね。生徒会の仕事頑張ってね」
よし、何とかカルロ様とお昼を食べる約束ができたわ。
その後もお昼が楽しみすぎて、ソワソワする私。
早くお昼にならないかな
そしていよいよ待ちに待ったお昼の時間だ。
「エイリーン、今日はお昼どうする?」
優しいマリア。昨日私が悩んでいたから、聞きに来てくれたのね。
「ごめんね、今日はカルロ様とお昼を食べる約束をしているの」
「そう、わかったわ!頑張ってね!」
マリアは頑張れのポーズをして去って言った。
後はリリーにも伝えないとね。
「リリー、今日なんだけれど、カルロ様とお昼食べることになったの。ごめんね」
私がそう言うと
「大丈夫よ。私も…フェルナンド殿下のところに行こうと思って、お弁当作ってきたんだ」
頬を赤らめて言うリリー。
「ついに行動に移すのね!頑張ってね、リリー」
私がそう言うと更に頬を赤くしたリリーが「ありがとう」と言って、フェルナンド殿下の元へと、向かっていった。
リリーを見送っていると、カルロ様が生徒会室から戻ってきた。
「待たせてごめんね、行こうか」
そう言うとカルロ様が手を差し出してくれたので、私はその手を取った。
こうやってカルロ様と手を繋ぐのも久しぶりだ。
「今日は天気もいいし、お外で食べましょ」
「それはいいね、じゃあ中庭に行こうか」
2人で中庭に向かい、隣合わせに座る。
「実は今日、カルロ様にサンドウィッチを作ってきましたの。お口に合うといいけれど」
「エイリーンが作ってくれたのかい?それは楽しみだな」
カルロ様が嬉しそうに答えてくれた。
私はバスケットからカツサンドを取り出す。
「カツサンドを作ってきましたの。どうぞ食べてみて」
カツサンドを手に取ったカルロ様「へ~おいしそう、いただきます」
そう言ってパクっと口にれる。
緊張の瞬間だ。
「エイリーン、めちゃくちゃおいしいよ、中のお肉とキャベツにソースがとても合っている。卵サンドも美味しかったけれど、これはまた格別に美味しい。
でもこのソース初めて食べる味だね。エイリーンが作ったのかい?」
「はい、うちの料理長に手伝ってもらって作ったの。かなり時間がかかったけれど、やっとカルロ様に食べてもらえる味になったと思うわ」
「もしかして最近学院が終わるとすぐに帰っていたのは、このソースを作っていたのかい?」
「はい、恥ずかしいんだけど、中々思う味ができなくて…」
私は照れながら答えた。
その瞬間、カルロ様に抱きしめられた。
「エイリーン、僕の為にありがとう!君は本当に最高だよ」
そう言いながらギューギュー抱きしめられる。
抱きしめられるのは嬉しい!でも…ぐ、ぐるじい…
私はカルロ様の背なかをバシバシ叩いて訴えた。
「ごめんごめん、エイリーンがあまりにも可愛くて、ついきつく抱きしめてしまったよ」
そう言いながら手の力を緩め開放してくれた。
そうだ、カルロ様に伝えたいことがあったんだわ!
「あの…カルロ様、これから生徒会の集まりが無い時は、一緒にお昼を食べない?もちろん、忙しいのは知っているけれど、中々会えないから寂しいわ」
勇気を出して言ったけれど、やっぱり恥ずかしい。
私は真っ赤な顔をして、下を向いてしまう。
「エイリーン、ありがとう。エイリーンがよければ一緒に食べよう。僕も出来るだけエイリーンと一緒にいたい。だから、これからは時間を作るようにするから、その時は会ってくれるかい?」
「もちろんよ!嬉しいわ、カルロ様ありがとう」
学院に入学してから、すれ違うこともあったけれど、これからはもっとカルロ様との時間が持てる。
やっぱり思ったことは口にしないとダメね。そう改めて思うエイリーンであった。
アレクサンドル王国では、男性が女性を誘うのが一般的。
そんな環境でも、カルロ様を誘えるエイリーンはやっぱり素敵です。
~お昼ご飯に関する豆知識~
学院には、食堂3つに売店もあります。
なので、お弁当を持ってくる子、売店で買う子、食堂で食べる子など様々。
ちなみに食堂は、とてもお高い食堂・まあまあ高い食堂・比較的安い食堂と分かれています。
これは、生徒のお財布事情に合わせてある為なんだとか。
次回、王太子視点です!
よろしくお願いします。