表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢ですが前世で推しの当て馬王太子は私が絶対守ります!  作者: Karamimi
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/94

カルロ様の従兄弟が来ました

私は今、王宮のお庭を散歩しながら、先日のピクニックで新たな課題となった、“蛇”問題について考えている。


やはり克服は難しそうだから、もし大蛇が現れたら魔力を一気にこめて跡形もなく焼き尽くす形で行こう。早速魔術師のブライアン先生に相談してみなくっちゃ。


カルロ様の婚約者に内定したばかりの頃は、王妃教育が忙しくておろそかになっていた魔力量アップの訓練。少し前から週1ペースではあるものの、魔力量を上げる訓練を再開し始めたのだ。


魔力量は高ければ高いほど、魔族との戦いに有利になる。この訓練だけは、欠かせないのだ。


そんなことを考えながら歩いていると、金髪の少年が何やらウロウロしている。年齢的には、私より少し上かな?困っているようなので、声をかけてみた。



「どうかされましたか?」


私の声掛けに、ビクッとした少年がこちらを振り向く。サラサラの金髪に、グリーンの瞳。どことなくカルロ様に似ている。



「別に、迷子になったわけではない。ちょっと庭を散歩していただけだ」


あ~、迷子か…


「私今から宮殿に戻りますの、よろしければ一緒に戻りませんか?」


私がそう声をかけると、少年は少し照れたように


「まあ、一緒に行ってやってもいいぞ」


そう答えた。

素直じゃないわね。


しばらく歩いていると、少年が足を引きずっていることに気が付いた。

怪我をしているのかしら。


そう思い、引きずっている方の足を見ると、ズボンの膝の部分が破れ、そこから血が出ていた。


さては、転んだのね。


「失礼ですが足を怪我されているようですわね、少しじっとして下さいね」


そういうと、傷口に手をかざし“治れ”と念じた。


うん、きれいに治ったぞ。


私が治癒魔法をかけたことが珍しかったのか、大きく目を見開いて固まっている。


っと、次の瞬間。


「女神様…」


そういって抱きしめられた。


一瞬何が起こったのかわからず、固まる私。


腕から解放されると、今度は両手を握られた


「あぁ、心優しい女神よ!どうか私の妻になっておくれ」


え~~、何言っているのこの人


私がどう答えようか困っていると




「エイリーーーン」


遠くの方から、ものすごい勢いでカルロ様が走ってくるのが見えた。


私たちのいる場所に到着すると、有無を言わせず私と少年の手を引きはがし、私を背にかばった。


「ジーク、一体何をしているのですか?彼女は私の婚約者です。気安く触らないでください!」


「へ~、この女神はお前の婚約者か」


2人は無言でにらみ合っている。

この少年は一体誰なんだろう?意を決して私が口を開く。


「あの…カルロ様、このお方は一体どちら様ですの?」


「ああ、ごめんね。この人はジーク、アマリア王国の王太子で僕の従兄弟なんだ。」


従兄弟でしたか。なるほど、それでどことなくカルロ様に似ていたのか。そう考えていると、今度はジーク殿下が私に話しかけてきた。



「挨拶が遅れてしまったね。私は、ジーク・ロベルト・アマリア。アマリア王国の第一王子だ。美しい女神様、ぜひ私と共にアマリア王国に来てください」


そういうと、ジーク殿下はカルロ様の後ろに回り私の手を取ると、甲に口づけを落とす。

完全にフリーズする私。


カルロ様がすかさず口づけされた手をとり、ハンカチで拭いてくれた。


でも…カルロ様。ごしごし擦っては痛いですわ…


「ジーク、さっきも言ったけれど彼女は僕の婚約者だ。アマリア王国に行くことは絶対ない!」


カルロ様の叫び声に我に返った。いけない、私いつまでフリーズしていたのかしら。私も挨拶しないと。



「ジーク殿下、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。私はカルロ様の婚約者、エイリーン・フィーサーと申します。私はカルロ様をお慕い申し上げておりますので、アマリア王国へはいけません。申し訳ございません」


渾身のカーテシーを決めながら、はっきりと自分の意思を伝えた。これで諦めてくれるかしら。



「エイリーン嬢というのか、名前も素敵だ!でもこれは運命なんだ。カルロより俺の方が絶対君を幸せにできる。どうか俺と一緒にアマリア王国へ来てほしい!!」



だ~か~ら~

私はカルロ様が好きって言ってるでしょ!

さすがにイラッと来て、言い返そうとしたとき



「あらあら、ジークもエイリーンちゃんが好きになっちゃったの?それは大変ね、カルロ」


王妃様がほほ笑みながらやってきた。

王妃様、まさかこの状況を楽しんでる?


「とにかく、エイリーンは僕の婚約者です!ジークに渡すつもりはありません!行こう、エイリーン」


そういうとカルロ様は私の手を掴んで、宮殿へと向かって歩き始めた。

私は王妃様とジーク殿下に軽く頭を下げ、カルロ様に引かれて歩いていく。


後ろで王妃様が

「あらあら~」

という生暖かい声が聞こえた気がしたが、まあ気にしないようにしょう。


しばらく歩くと、カルロ様が急に立ち止まった。


「エイリーン、従兄弟がごめんね。ジークは言い出したら聞かないところがあるんだ。もしかしたら、エイリーンにしつこく付きまとうかもしれない。10日間くらい滞在したら国に帰る予定だから、それまで我慢してくれるかな」


「あと、念のため王宮では1人にならないように気を付けて。僕もなるべくエイリーンのそばにいるようにするから」


カルロ様がなるべくそばにいてくれる!それはオイシイわね。

でも10日もいるのか…

人の話あんまり聞かなさそうな人だし…


何事もないと良いんだけどな…


ジーク殿下は王妃様の兄の子供です。

年齢は12歳、エイリーンたちが10歳の設定なので、2歳年上です。

ちなみに王妃様は5人兄妹の4番目。

姉2人、兄1人、弟1人で、兄妹仲はまずまずの様です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ