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カルロ様とピクニックに行こう

今日はいよいよカルロ様と初めてのお出かけ。私は昨日練習した卵サンドを作るため、朝早くから厨房に来ている。


料理長はじめ、料理人たちはとってもいい人たちばかり。卵を切るのを手伝ってくれたり、マヨネーズを作ってくれたりする。そのおかげもあって、昨日よりずっと早く完成した。


出来たての卵サンドをバスケットに丁寧に詰めていく。たくさん作ったので、卵サンドが余ってしまった。せっかくだから手伝ってくれた料理人たちに食べてもらおう。


そう考えていると


「エイリーン、卵サンドを作っているのかい?」


エイドリアンが、厨房を覗きに来た。


「ええ、もう完成したわ。」


「そこに置いてある分は、残った分だよね?」


言うが早いか食べるのが早いか…

エイドリアンはお皿に乗っていた卵サンドを次々と口の中に入れていく。

それを残念そうに見つめる、料理人たち…あっという間に全てエイドリアンのお腹の中に。


「エイリーンの卵サンドは本当においしいね。また作って。じゃあ、俺は騎士団の稽古に行ってくるから」


そういうと、エイドリアンは去って行った。


残念そうにしている料理人たち。申し訳ないので、卵サンドのレシピを料理長に渡しておいた。



「お嬢様、そろそろお着替えを」


メイドのリラが呼びに来たので、部屋に戻り着替える。今日はピクニックということもあり、シンプルなワンピース。ちなみにこの国で女性がズボンを履くことはあまりない。前世の記憶がある私はズボンの方が好きなんだけれど、その点は仕方ないと割り切っている。


髪も邪魔にならないよう、ポニーテールにした。歩きやすいブーツを履いて、日よけの帽子をかぶれば完璧だ。よし、準備OK。後はカルロ様が迎えに来てくれるのを待つだけだ。



待ち遠しくて玄関まで来てしまった。ウロウロ歩き回る私に、使用人たちも苦笑い。

しばらくすると


「お嬢様、王太子殿下がお見えになられました」



使用人に案内され、カルロ様がやってきた。



今日のカルロ様は白いシャツに、黒のズボンを履いている。いつもきっちりした服を着ているカルロ様も素敵だけれど、今日みたいにラフな格好をしているカルロ様も素敵!


「ごめんね、待たせちゃったかな?」



少し申し訳なさそうに言うカルロ様。


「いいえ、大丈夫ですわ。私が楽しみすぎて、玄関で待っていただけなので、気にしないでください」


「じゃあ、行こうか」


カルロ様のエスコートで馬車に乗り込む。

カルロ様と馬車に乗るのも初めてだわ。なんだか緊張しちゃう。

さすが王宮の馬車。公爵家の馬車も結構立派だけれど、さらに広くて立派だ。


カルロ様と向かい合って座る。馬車の揺れが心地いい。


「今日はとっても良い天気でよかったですわ。絶好のピクニック日和ですわね。」


私がそういうと、カルロ様も嬉しそうにうなずいてくれた。今日行く予定の森は、馬車で15分くらいの場所にあるらしい。


カルロ様とたわいもない話をしていると、あっという間に森に着いた。

馬車から降りると、王都中心部とは比べ物にならないほど空気がおいしい。

ついつい私は深呼吸をしてしまう。




周りを見渡せば、美しい木々に可愛らしい花々たち、奥の方には大きな湖まである。

王都にこんな美しい場所があったなんて。



「どうだい?エイリーン。とても素敵な場所だろ」


「はい、カルロ様、なんて素敵な場所なんでしょう。空気もとっても美味しいし。連れてきてくれて、どうもありがとう」


「あっちには大きな湖もあるんだよ。行ってみよう」


カルロ様に手を引かれ、湖の方へ行く。

湖には白鳥やカモなど、様々な野鳥たちもいた。


「せっかくだから、ボートに乗らないかい?」


ボート?素敵だわ。


「はい、ぜひ乗りたいわ」


2人向かい合わせでボートに乗る。湖の水は透き通っていて、底まで見えそうだ。


「ほら見てごらん、エイリーン、あそこに魚がいるよ」


カルロ様が指をさした方向を見ると、小さな魚が泳いでいた。


このほのぼのとした雰囲気。とっても心地いいわ。特に王妃教育が始まってからはとにかく忙しくて、こんなにゆっくり出来ることなんて無かったしね。


それに何より目の前には前世で推しのカルロ様がいる。あ~、幸せだわ。


カルロ様とボートを楽しんだ後は、花を摘んだり森を散策したりした。


「エイリーン、お腹空いてない?そろそろお昼にしないかい?」


あら、もうそんな時間なのね。

そういえばお腹もすいてきたわ。


「そうですわね。お昼にしましょうか」



私がそういうと、カルロ様の指示でメイドがシートを敷いて、ご飯を食べられるスペースを作ってくれた。



「そうだわ、私、今日の為にサンドウィッチを作ってきましたの」


「エイリーンが作ってくれたのかい?それは楽しみだな」


カルロ様は嬉しそうに笑ってくれた。


シートに2人で並んで座る。私は卵サンドをバスケットから出し、カルロ様に手渡した。

カルロ様は不思議そうに卵サンドを見つめて



「エイリーン、このサンドウィッチはちょっと変わっているね。何が入っているんだい?」



「これは卵サンドというものですわ。茹でた卵をマヨネーズで和えたものですの。お口に合えば良いのですが…」



私は卵サンドを簡単に説明した。使用人やエイドリアンからはかなり評判だったけれど、カルロ様のお口には合うかしら…


カルロ様がパクっと一口口に含む。


「おいしい!初めて食べたけれど、とっても美味しいよ!エイリーンは料理の天才だね」


そういうと、次々とカルロ様の胃袋に卵サンドが収まっていく。


私も1つ手に取り、口に含む。うん、我ながらおいしいわ。


せっかくなので、今日付いて来てくれたメイドや護衛騎士たちにも卵サンドを配った。私たち2人だけ食べるなんて、なんだか悪いもんね。



「エイリーンは相変わらず優しいね…」


そう言ったカルロ様は、少し不満そうな顔をしていた。なぜだ…



ちなみに卵サンドはメイドや護衛騎士たちからもかなり好評だった。



食後はメイドが入れてくれたお茶を飲み、カルロ様が持ってきてくれたお菓子を食べる。

空気がきれいな場所で食べるお菓子はまた格別よね。



そんなことを考えていると、何やら横でニョロニョロと動いているものに気が付いた。


ん?


「ぎゃ~~~ 蛇~~~」



私は思わずカルロ様に抱きつく。護衛騎士やメイドも何事かと、駆け寄ってきた。


私は前世から蛇が大っ嫌いなのだ。前世では田舎で育ったため、夏になるとよく蛇に遭遇した。


一度近所の男の子に大きな蛇を持って追いかけられてから、もうトラウマレベルだ。転生してからは王都で育ったため、蛇と遭遇することはなかったが、まさかこんなところで出会うなんて…


そういえば、魔族の中には大蛇がいたわよね。カルロ様たちが最後魔族と戦った洞窟の中にも、後ろの方に描かれていた様な…



「エイリーン、大丈夫かい?もう蛇は向こうに行ってしまったよ」


カルロ様の声で我に返った私。そういえば、私今カルロ様に抱きついている…


「ごめんなさい」

そういって、すぐにカルロ様から離れた。もちろん、顔は真っ赤だ。


「大丈夫だよ、でもエイリーンにも苦手なものがあるんだね」



カルロ様がクスクス笑っている。ええ、蛇だけは無理なんです、私。



蛇のせいでなんだか疲れたわ



その後もカルロ様とティータイムを楽しんで、そろそろ帰る時間になった。

行きとは違い、今度は2人並んで馬車に乗り込む。


「今日は連れて来てくれて、どうもありがとう。とっても楽しかったですわ」


「こちらこそ楽しかったよ。エイリーンの作ってくれた卵サンド、とってもおいしかったし、また食べたいな」


「あの程度のものなら、いつでも作りますわ」


そんな会話をしているうちに、公爵家に着いてしまった。


「それじゃあ、また明日王宮で」


そういうとカルロ様は、王宮へと帰って行った。


初めてのお出かけ、とっても楽しかったわ。王都にあんな素敵な場所があるなんて。

今度エイドリアンも連れて行ってあげようかしら。



それにしても、私の蛇嫌いは転生しても改善されていなかったようだ。来る魔族との戦いに備えて、何とか克服しなくては!


でも…やっぱり無理かも…


新たな壁にぶち当たったエイリーン、果たしてカルロ様を守ることが出来るのだろうか…


筆者もエイリーンと同じく蛇が大の苦手です…

テレビで映像が出ただけで悲鳴を上げます。

家は田舎なので、暖かくなるとたま~に我が家のお庭に遊びに来ますが、見つけると猛ダッシュで逃げます。

母親も同じ感じなので、多分遺伝ですかね。


爬虫類好きの方、すみませんm(__)m

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