3/5
図書館のひと
珍しいそれがとても気になって、図書室に行った。
いくら本を読んで調べても、書いていない。
気がついたら外は真っ暗になっていた。
下校の時間をとうに過ぎているここに、彼女はいた。
僕と同じ本を持って。
彼女も真剣に何かを調べていた。
毎日野原に行って、毎日図書室に行った。
彼女は毎日図書室にいた。
こんなに調べても何もわからなかった。
珍しいそれは、ただそこにあり続けるだけだった。
僕は今日、初めて彼女に話しかけた。
毎日図書室にいて、毎日僕と同じ本を持っている。
彼女なら知ってる気がして、珍しいそれについてだけの質問をした。
いっぱい話しかけた僕に、彼女は真剣に答えてくれた。
毎日の日課に、彼女との会話が加わった。