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おーまいがっ!

作者: リッチー

 「俺、何でこんなところに?」

 達也は足元を見た。

 まるで、撮影用のスタジオに居るみたいだと思った。

 一面ドライアイスでも炊いたのか、乳白色の煙りに閉ざされて、ひざから下が見えなかった。

 何か重要なことを忘れているかのような奇妙な焦りが心の奥の方にあるが、頭が考えることを拒否しているかのようになにも考えられない。

 「何だったっけ・・・」

 ただ口にしているだけの言葉。思考は停止している。

 達也の職業はカメラマンであった。ただ、今はもうカメラマンらしい仕事はしていない。

 頼まれれば撮影もするが自宅兼スタジオも引き払い、中古で安く買い取った事務所に寝泊まりしてゴシップ記者と探偵の中間のような仕事を主にこなしている。

 先週も、元アイドルと、政治屋のスキャンダルを撮影したばかりだった。もっとも、まだ売り込みには行っていないが。

 この頃のシノギはもっぱらこの手のゴシップネタが多かった。

 達也はそう言う仕事を喜んでしているわけではなかった。

 食っていくためと割り切っていたが、腹の奥にはなにか重たいものが詰まっているような感覚であった。

 立ちつくしていても仕方がないと、達也はボウッと麻痺したような頭で考え、歩き出した。

 すると、前方に何か陰のようなものが見えて来た。

 巨大な建築物であった。上方は雲なのか霧なのか煙っていて見えない。

 その建物の玄関ホールは広く取られていた。どこか自動車の展示場を思わせる造りのビルであった。

 達也は一瞬迷ったが、中に入ってみることにした。

 「いらっしゃいませ。」

 右手に受付が有る。女性が二人席について居て、どちらかが、達也に声を掛けたのであった。

 顔は見えない。ビルの中も、霧のせいで煙っているのである。

 「空調設備でも壊れてんのかな?」

 達也はひとりぶつぶつと口の中で言いながら受付に近づく。

 「どうかなさいましたか?」

 霧で煙っているせいか、受付嬢の顔色はよくなかったが、それでもニッコリとほほ笑んでいるその笑顔は、なにかしら人を安心させるものがあった。

 「いや、べつに・・・」

 達也は困った。理由があって入ったビルではない。道に迷ったとでも言うか?

 そう達也が考えたとき、先を制してもう一人の方の受付嬢が口を開いた。

 「お客様の待合室は1896号室ですよ。」

 「あ、あ、そうですか・・・ど、どうも・・・」

 ここへ来る予定だったっけ?そもそもここは何処だっけ?頭の中にまで霧がかかっているようだ・・・

 考えながらも、ホール突き当たりの、エレベーターのドアの前に立つ。

 「1896号室ってことは、多分18階ぐらいだな。」

 音もなく開いたエレベーターの中に入り、達也は階数のボタンを押そうと、探したが、見当たらなかった。

 「あれっ?」

 言ってる間にドアが閉まる。

 「あ・・・。」

 微かな重力変化でエレベーターは上に向かって上がって行くことが達也には解ったが、今何階あたりに居るのかはさっぱり解らなかった。

 ドアを見ると、完全な鏡面仕上げになっており、達也のくたびれた白いジャケットとスラックスの姿が写って居た。

 「相変わらず、さえない面してるな。」

 何時のころからか、達也は鏡を見るのを嫌っていた。

 髭を剃る時と髪をとかす時ぐらいである。

 鏡を見るとついカメラマンでスタジオを構えていた頃の自分と比べてしまうのが惨めだった。 

 正直、今の仕事の方が費用対が高い。スタジオを構えていたときよりも維持費が減ったのと、撮影だけでない付加価値が付いている分、一本の単価も破格に上がっている。

 達也はそれでもカメラマンの仕事に執着があったのだった。

 「いつからかなぁ・・・こんな仕事をするようになったのは・・・」

 もちろん達也自身、いつからかは分かっている。口に出してそうつぶやくのは自分をだますようなものだ。

 達也は正面の鏡から目をそらした。と、正面の鏡がドアが開いた。

 「何号室だったっけか?たしか・・・」

 達也はとりあえず、エレベーターから出ることにした。

 と、正面にドアらしきものがある。やけに大きいのが気になるが、間違いなくドアらしい。

 「1・8・9・6・・・ここか?」

 達也は正面やや上方にかかっているプレートを読んだ。

 ためらいがちにも、ドアをノックする。

 「どうぞ、お入りください。」

 ドアの中から男性の声が聞こえる。

 「・・・」

 達也はドアを恐る恐るドアノブに力を込め押し開いた。

 中には事務机と呼ぶには立派な、よく弁護士の事務所なんかに置いてあるやつに向かって、何やら書き物をしているらしき男の姿があった。

 「あの・・・」

 達也はためらった。どう声をかけたものか・・・

 「そこのソファーででも、お休みになっていてください。すぐ行きますから」

 部屋の中を見回すと、確かに応接セットが置かれている。さっきは気が付かなかったなと、思いながらも腰を下ろした。

 ソファーに腰掛けると軽い頭痛と共に頭の中から霧が晴れていくように思考が戻ってきた。

 達也は2、3回頭を左右に振ってみた。

 間もなく、机から離れた男が達也の前に座った。

 男は、20代から30代まで、どの年齢をいっても通用するような風格で、青年実業家タイプの、さらに言えば達也の一番嫌いなタイプだった。

 「藤岡 達也さん?」

 男は言った。

 「ええ、あんたは?」

 「申し遅れました。」

 男はそう言いつつ達也に名刺を差し出した。

 「案内人・・・?」

 「そう。案内人です。あなたを案内します。タバコいいですか?」

 「え?ええ、どうぞ」

 案内人は高そうなスーツの内ポケットから細巻きの葉巻を取り出し、鼻の下に持って行くと香りを楽しみゆっくりと口にくわえた。そしてテーブルの上から重そうなライターを取ると火をつけた。

 達也はその仕草にイライラしながらも、声を押さえて言った。

 「私を何処に案内するって言うのですか?」

 案内人はゆっくりと葉巻の煙を吐き出すと言った。

 「貴方には3つの、道が用意されています。」



 案内人はまたゆっくりとした仕草で、葉巻をくわえては、紫煙をくゆらせた。

 「どういうことです?」

 「やれやれ、貴方もそうですか・・・」

 「・・・は?」

 「この頃多いんですよ。別に貴方を非難してる訳じゃありません。こういう仕事をしていると、色々な人に出会いますから・・・」

 「話が見えないんですがね・・・。もっと具体的に言ってくれませんか?」

 「私は出来る限り優しく言ってるつもりですよ。こういうことは、ちゃんとしとかないと後で困るんですよ。貴方も、私も・・・」

 案内人はテーブルの上のゴツい灰皿に葉巻の灰を落とした。

 その態度に達也はさらにイラついた。

 「だから、何なんです?」

 「では、結論から言いましょう。3つの道のことです。先ほど私は言いましたね?貴方には3つの道が選択できると」

 「えぇ。」

 「これを聞けば貴方も納得すると思うんですが、たまに納得できないとおっしゃる方々がいらっしゃるんで、そういう人の場合1つしか道が選べなくなってしまうんですよ。そこを良く理解してから私の言葉を聞いてください。いいですね?」

 もったいの付け方がしつこい。達也のイラつきはピークに達していた。

 「何の話だか良く解らんが、あんたの言うことを全て信用しろということか?それで良いんだな!?」

 「ま、そういう訳です。」

 肩をすくませたように言うその仕草が脳を沸騰させたが、押し殺すように達也は言った。

 「納得はできんが、それしか方法がないようだな。で、何なんだ?」

 案内人は葉巻をゆっくりとした仕草で、テーブルの上の灰皿に押し付けて火を消すとおもむろに言った。

 「ひとつ、天国に行く。ふたつ、地獄に行く。みっつ、迷う。」

 「・・・へ?」

 意表を突かれた達也は自分でも思いつかないような情けない声を漏らした。

 「あぁ、やっぱり理解してなかったようですね。」

案内人は大袈裟に落胆の仕草で言った。

 「つまり、貴方は死んだんですよ。ま、気持ちは解りますがね。」

 案内人はつまらなそうにまた内ポケットから葉巻を取り出し火をつけた。

 「俺は死んだのか?どうして?どこで?何時何分何秒に?」

 「貴方、そんな子供みたいに・・・ははーん、解りました。貴方パニクってますね?」

 「あたりまえだ!偉そうな若造に訳の解らなん事を言われたあげくに、『死んでます。』だぁっ!?そんな話、納得できるかっ!!」

 達也はバンとテーブルを叩きながらまくし立てた。

 「貴方の目に私がどう映るかは、貴方自身の見識にあります。『偉そうな若造』と映ったのなら、それは貴方があのドアを開けたときに、イメージした私なんですよ。ま、貴方のようなケースは、一番嫌いなタイプをイメージする人が多いようですが・・・。で、どうします?」

 言うと案内人は葉巻をくゆらせて間を置いた。

 「何がだ!?」

 「天国ですか?地獄ですか?それとも迷います?」

 案内人はプカリと煙りを吐き出した。

 「ちょっと待て!・・・俺はフリーのカメラマンで名前は藤岡達也、36歳、独身、納豆とキュウリが嫌いで、好物はかけソバ。好きな女のタイプは適度に太った笹団子のような・・・」

 「もしもし、自己診断で正気を取り戻そうとするのは勝手ですが、貴方は間違いなく、死んでるんです。だから、今年で36歳と言うのは間違い。享年36歳です。」

 案内人は面白そうに、達也の間違いを訂正した。

「やかましい!くっそーっ!やっぱり死んだのか?」

 「間違いなく。」

 案内人は間髪を入れず、保証した。

 達也は視線を灰皿へ落とした。さほど短くならない葉巻の先が押し消されているのが見える。

 「貴方はましな方ですよ。3つの選択肢が残されている。」

 「本当に、俺は、死んだんだな?」

 視線をあげて案内人を見る。

 「しつこい人ですねー。で、どうします?」

 案内人は事務的な言い方で達也の身の振り方について尋ねた。

 達也はふと思い当たった。歯車がカチリとかみ合った感覚だ。

 「・・・どうして、俺は死んだんだ?」 

 「それは、言えません。」

 案内人の答えは素っ気ない。

 「どうして?死んだ本人が聞いてるんだぞ!」

 「きまりですから、第一なぜ覚えていないと思いますか?」

 「そりゃ、死んだからに決まってるじゃないか。死んだから覚えていない。」

 「そうでしょ?だから知らなくてもいい事なんですよ。」

 「俺は知りたい。なぜ死んだかも解らないで、身の振り方を決めろってのが無理がある!」

 「しょうがない人ですね・・・。じゃ、とりあえず3つのうち、どれにするかだけだけでも決めておきましょうよ。」

 「だから!俺は死んだ原因を・・・」

 「わかってますって。だから、こういうのはどうです?天国、地獄、迷うっていうのを体験してみるってのは?」

 「出来るのかそんなこと?で、死んだ原因はどうなる?」

 「ご自分で調べたらいいじゃないですか。迷ってる間に。」

 「なるほど、そういう手があるか・・・。」

 「ちょっとお待ちください。体験は1回につき24時間です。それを越えると・・・。」

 「・・・どうなるんだ?」

 「それは越えたときのお楽しみ。」

 何が嬉しいんだか、案内人はにやにやと笑みを浮かべている。

 「ふん、まあいい。とりあえず迷って原因を調べる。」

 「言っときますけど、死因を知って3つの選択肢が2つ、もしくは1つになっても私は知りませんからね。」

 そう言うと案内人は席を立った。達也にも立つように促す。

 「じゃ、行きましょうか。」

 案内人はドアの前で達也に向き直った。

 「24時間ですよ。それ以内に目的を達成して下さい。そうすればここに戻れます。では。」

 言い終わると、案内人はドアをゆっくりと開けた。



 ふと、気が付くと達也は見慣れた町角に立っていた。

 「ここは、事務所のビルの前・・・戻って来たのか。日の陰りから見ると午後5時頃か・・・ん?さっきのが夢で、俺はやっぱり生きているんじゃ・・・」

 達也は自分の手を透かして見た。別段変わった所はなさそうである。

 「事務所へ行ってみるか・・・」

 達也は事務所兼自宅に向かって歩きだした。と、見かけた顔が前を通った。

 「よお、和美じゃないか今から仕事か?」

 常連のスナックの女である。達也とも顔見知りで、何回か食事をしたことがある。

 和美は素知らぬ顔で達也の前を通り過ぎて行った。

 「ちぇっ、何が気にいらないんだか・・・見えてないのか?」

 達也は考えた。当たり前だな・・・幽霊がいちいち見えるわけないもんな・・・俺だって見たことがない。

 事務所への階段を上ると4つ同じようなドアがあり、一番奥の右側が達也の事務所になっていた。

 「カギが掛かってるのか?」

 確かにドアにはカギが掛かっていた。

 「カギ、カギ、カギはっと・・・」

 達也はポケットをまさぐったが、生憎とカギは出て来なかった。

 参ったな・・・

 「あ、そうだ・・・確か・・・」

 達也はゴソゴソと、ドアの横にある配電盤の扉の内側を手探りで探した。

 「あった、あった。」

 それは、事務所の合鍵であった。

 「これで、中へ入れるな。」

 達也はカギを開け、事務所に入った。

 「何だ?この匂いは?」

 達也は薄暗い事務所の中で奇妙な匂いを嗅いだ。

電気をつける。

 「し、し、し・・・」

 達也は腰を抜かした。

 「誰か、死んでる!」

 男が一人、達也の足元にうつ伏せに倒れている。

 頭から血を流している。

 「冗談じゃないぜ!俺の事務所で殺人事件か!?」

 倒れている男はどう見ても、死んでいた。

 「コ、コーヒーでも入れよう・・・」

 達也は立ち上がり、男をまたぎ、奥の簡易キッチンへ向かった。

 湯を沸かしている間に、もう一度、倒れている男の方を見る。

 「なんか、見覚えのある奴だな・・・」

 達也は、死体に近づいた。そして、よく見る。

 「あっ!こいつ、よく見たら、俺じゃねえか!?」

 男を裏返してみると間違いなく自分、つまり達也だった。

 「冗談じゃねえぞ・・・死体の第1発見者が自分自身だなんて・・」

 とりあえず、ケトルの湯が沸騰してきたので、キッチンに戻る。

 コーヒーを入れ、自分の死体を見ながら、一口すすった。

 「ひどく苦いな・・・」

 死体を見ていると、何だか後頭部が痛くなってきそうなので、目をそらした。

 「警察に電話するか・・・まてよ、俺は今、俗に言う幽霊ってやつだから、電話しても通じるのか、俺の声が・・・」

 ひとしきり考えたあげく、とりあえず、誰かに電話をしてみることにした。

 「でも、やっぱりここの電話を使うのは良くないよな・・・今後の捜査に影響が出る。このコーヒーカップも洗っとくか・・・」

 達也はカップを洗い、死体の達也のポケットから財布を取り出し、テレフォンカードを抜いてから、もとに戻した。

 「さて、どこに電話ボックスがあったかな・・・」

 事務所のドアにカギをかけながら考える。

 「向かいのビルにあったな、たしか。」

 達也がビルを出ようとすると、後ろから声がかかった。

 「あまり、目立った行動は控えていただけませんかね。」

ビクッとして振り向くと例の「案内人」が立っていた。

 「何しに来た?まだ24時間も経っちゃいないぞ。」

 「言ったはずでしょう?目的が達成したらって。死因は解ったでしょ?後頭部の打撲による脳内出血ってとこですか?もう気が済んだでしょう?」

 「ありゃどう見ても事故じゃない。他殺だ。そうなれば犯人がいるはずだ。それが解らないと死因が解ったとは言えないがな。」

 案内人は肩をすくませ、人生の渋みを出しつつ言った。

 「藤岡さん。知らない方が幸せなことだって世の中にはあるんですよ。犯人を知ってどうするんです?復讐・・・ですか?」

 「べ、別にそこまで考えてはいないが・・・」

 「今、あなたの心を縛り付けているものがないから、3つの選択権があるのです。犯人を見つけてしまうと、この世への結び付きが強くなって、あの世へ帰れなくなる可能性もありますよ。」

 「あの世へ帰る・・・」

 「この世に落ち着いていらっしゃるようですがよく考えて下さい。あなたは既にあの世の住人なんですよ。」

 「・・・そうだったな。」

 「もう、帰りましょう。藤岡さん」

 達也は迷った。たいして未練のあるこの世じゃないし、別に死んだからといって泣いてくれる家族もいない。

 「ちょっと待ってくれ。せめて俺の死体が誰かに発見されるまで・・・」

 「しょうがないですね・・・未練を残しても知りませんよ。」

 言うと、案内人は例のキザな仕草で内ポケットから葉巻を出して、ライターで火をつけた。

達也と案内人は事務所で待つことになった。第1発見者を。

 「なかなか来ないな・・・」

 「もう2時間は経ちましたよ。あなた交流関係なかったんですか?」

 「ふん、事務所には来ないように言っといたんだ。」

 「嘘ついても判りますよ。エンマ帳持ってるんですから。」

 「嫌みな奴め・・・」

 突然、事務所の電話が鳴った。

 達也はかなり驚いた。

 電話はしばらくして留守番電話に切り替わった。

 『ただいま、電話に出れません。御用の方は発信音の後にメッセージを録音しておいてください。折り返しご連絡します。・・・ピー』

 「言い得て妙ですね。“電話に出れない”ってのは」

 「いちいち、うるさいよ!」

 電話からは応答相手のメッセージが聞こえ始めた。

 「もしもし、藤岡さん?スナック・セントールの和美です。今日来てくださるって言ってたのに、お見えにならないので電話しました。メッセージを聞いたらいらしてくださいね。それでは・・・」

 「へー。結構もてるようですね。」

 「ふんっ!ツケが溜まってるんだよ。しかし悪いことしたな・・・結局飲み逃げになるんだもんな・・・」

 なんとなく、ばつの悪い達也だった。

 「どうします。もうあきらめますか?天国でも行ったらどうです?良いところですよ。」

 「天国ね~。知ってるよ。映画でやってたやつをTVで見た。霊界ってやつだろ?」

 「あぁ、あれね。あれ嘘です。だいたい、生きてる人間がどうして天国のこと知ってるんです?変じゃないですか。」

 達也は考えた。何か矛盾している。

 「でも考えてもみろ、いいか?そもそも何で俺たちが天国だ、地獄だって知ってるんだ?それこそ死なないかぎりは知ってること自体おかしくなる。」

 「これはその・・便宜上の問題で、そもそも私が日本語を話してること自体、変だとは思いませんか?本当の意味での天国と地獄はあなたがたの考えているものとは違いますよ。天国とは完璧に秩序の整った世界のことを表します。また地獄とは、秩序もなく混沌とした世界のことです。地獄では全ては煮立ったスープの様になってまして、常に動き融合し分離する。その逆に、天国では全てが結晶化し、均整のとれた動くもののない世界。安定した世界です。」

 「なんのこっちゃ?まったくわからん!ズルズルかカチコチかって訳か?」

 「・・・簡単に言えばそうですかね。」

しばし考えて達也は

 「どっちも嫌だな・・・そんなとこ・・・。」

 「住めば都って言うじゃないですか。」

 案内人はしらっと言ってのけた。

 「迷うってのは、どうなるんだ?固まるのか?溶けるのか?」

 「それは秘密です。迷った人だけが体験できることなので・・・。」

 「いまのこの状態も迷ってるんじゃないのか?」

 「そうですね。ま、体験版と言うことで・・・。実際、迷うのとは異なりますね。」

 達也はフンっと鼻を鳴らし

 「どうでもいいがな・・・。」

 その時、事務所のドアを誰かが叩いた。

 「藤岡さーん。居るんでしょ?開けてくださいよ。NHKです。受信料払ってくださいよ。」

 案内人と達也は顔を見合わせた。

 「ろくな客が来ませんね・・・どんな付き合い方したんです?」

 「ちっ、見てもないようなもんに金なんか払えるか!」

 「払うのがTVを持ってる人の義務なんでしょ?」

 「別に罰則規定がある訳じゃない。罪にはなんないんだよ。」

 「確信犯ですね。」

 言ってる間にもドアは叩かれている。

 「あんまり叩くとあのドア、カギが壊れてるから、開いちゃうんだよ。」

 バキッと音がしたかと思うと、ドアが開いた。

 「あ・・・壊れた・・・藤岡さーん。あなたが受信料払わないから、ドアが壊れちゃたじゃないですか。私のせいじゃありませんからね。」

 達也は顔をしかめながら毒づいた。

 「なに勝手なこと言ってやがんだ!お上がついてる奴は言うことが違う。全部人のせいだ!」

 「まあまあ、これで、晴れてあなたの死体が発見されるじゃないですか。結果オーライですよ。」

 案内人はいたって冷静である。

「いやな第一発見者だ」

 NHKの取り立て人は事務所に入り込んだ。

 「不法侵入罪だな。さすがNHKだ。やることが大胆だ。何をしても許されると思ってやがる。」

 「何か恨みでもあるんですか?NHKに・・・。」

 「別に恨みはないけど、営業努力しないで金を稼いでいる奴を見ると、無性に腹が立ってくるだけだ。」

 これだけ取り立てに苦労しているなら、これも営業努力なのではと、案内人は思ったが、口にはださなかった。

 事務所に侵入したNHKの職員は当然の結果として、達也の死体を発見した。

 「藤岡さん。こんなとこで寝てる場合じゃないですよ。他の人ならいざ知らず、百戦錬磨のこの私には通用しません。さ、起きて払うもん、払ってもらいましょう。」

 「こいつは救い難いバカだな。誰が頭から血流して寝てるんだ?」

 「あんまり突飛なんで、正確な状況判断が出来ないんですね。」

 何を言ってもNHK職員には聞こえない。

 やっとのことで、NHK職員は現実の状態を把握し始めた。

 「ふじ・・おか・さん?どうしました?」

 達也の死体に触ろうとして手を止めた。初めて頭部に付着する固まり始めた血液に目が留まったからだ。

 「し、し、し・・・」

 NHK職員は後ろにペタンと尻餅をついた。

 「ま、まずいぞ。このままでは、俺が犯人にされちまう!ど、どうしよう。ドアを壊したときに指紋も残ってるし、大声で叫んだから近所の人に聞かれたかもしれない。そ、そうだ!死体を隠さなきゃ!死体がなけりゃ、殺人事件にはならないって、聞いたことがあるぞ!そうだ、そうするしかない!」

 「おいおい!どうなってんだ!?第一発見者が死体を隠してどうすんだ?!それだけで死体遺棄って罪になるぞ。」

 「パニックになってるんですね。どうします?このままでは、余計に警察の捜査に支障があるのではないでしょうか?」

 「いったい俺に何が出来るってんだ!」

 案内人はそれには答えず、パニックになっている男に近づくと、その耳元に何かささやいた。すると、男はその場に崩れるように倒れた。

 「何をしたんだ?」

達也の問いに案内人は一言言った。

 「秘密です。」

 達也は途方に暮れていた。足元を見ると達也本人の死体と気絶したNHK職員が倒れている。視線を横に向けると、案内人が驚く達也を尻目に内ポケットから取り出した、ウエッジウッドのカップに注がれたエスプレッソを飲んでいた。

 「厄介事が増えただけじゃねーか・・・。」

 達也はグリグリとこめかみの辺りを右手の人差し指で圧しながらつぶやいた。

 「まあまあ、落ち着いて、まだあの世に帰るには19時間ほど残ってますよ。また誰かくるかも知れませんよ。これでも飲んでゆっくり待ちましょう。」

 そう言いながら、案内人はまたもや、内ポケットからバカラのグラスに注がれた上質のコニャックを達也に差し出した。

 「どうなってんだ、そのポケットは?お前はどらえもんか?」

 不審そうにグラスを受け取りながら達也は言った。

 「それは・・・」

 「秘密ってか?」

 「その通りです。」

 「ふんっ、まあいいけどな。」

 コニャックを一口すする。本物のコニャック、しかも30年は寝かしてある。達也は感心した。

 「こんな旨いブランデーは、生まれて初めてだ・・・。」

 「生きているうちに飲みたかったですねぇ。」

 ふんっと達也は鼻を鳴らした。

 「で、おまえ、いったい何者なんだ?案内人って何なんだ?あっと、秘密ですってのはなしだぜ。」

 「困りましたね。」

 案内人はカップに残っていたコーヒーを飲み干すと、また内ポケットへしまい込んだ。

 「案内人は案内人ですよ。あの世への。人は皆死ぬでしょ?だから迷わずにあの世へ行けるように、私のような案内人がいるんですよ。私の姿は案内する人によって変わります。そうですね・・あなたはあのビルの私のオフィスのドアを開ける瞬間、どんな人物が中に居ると思いましたか?私のような人物を想像しませんでしたか?」

 「・・・そうだったかな?」

 「そうですよ。その結果、私はこのような格好をしている訳です。」

 「じゃあ元々のおまえはどんな奴なんだ?」

 「私には元々ってのはないんですよ。存在した瞬間から案内人で、亡くなった人に合わせて姿・形・性格が決まります。ちょっと話過ぎましたかね。久しぶりに人間と長くいたせいでしょうか。」

 「・・・・」

 事態は好転していない。達也は半分どうでもいい気分になりながら、タバコを取り出し火をつけた。

 「こいつが目を覚ますまで待ってみるか・・・起きたときにパニックになってなければいいんだがな。」

 達也はタバコの煙りを吐き出した。

 達也がタバコを吸い終わるころ、再び電話が鳴りだし、留守番電話に切り替わった。

 『もしもし、藤岡さん?いらっしゃらないんですか?セントールの和美です。もうお店が終わりますから、そっち寄りますね。では。』

 「ちょうどいいじゃないですか。これで、ちゃんとした第1発見者が現れますね。」

 案内人はいたって楽観的である。

 「あっそうだ!和美にゴシップのネタ、預けてあるんだった。なんか、やばいことに巻こんじまいそうだな・・・」

 「運命ですね。」

 「そう言うのは信じない主義だ。ついでに神もな。」

 言っていると、廊下に足音がした。

 「和美か?やけに早いな・・・いや、2人居る・・・男のようだ。」

 達也と案内人は黙って辺りをうかがっていた。

 足音は事務所に近づいてくる。

 「おい。ドアが壊れてるぞ!へまばっかりしやがって!」

 「すいません、兄貴。でも、こりゃ俺じゃないっス。ちゃんと奴のポケットからカギを抜き取って、カギを掛けたっス・・・」

 達也と案内人は顔を見合わせた。

 「馬鹿野郎!現に壊れてんじゃねぇか!言い訳するな!」

 「・・・すんません」

 事務所に2人の陰が侵入した。

 1人はいかにもチンピラといった風体の男で、もう1人はその兄貴分らしい。

 「なんでぇ、2人倒れてんじゃねぇか。どうなってんだ?」

 兄貴の方が言った。

 「へぇ、そのようっスね。」

 チンピラは、まぬけな返事を返す。

 「あいつらが俺を殺したのか・・・」

 達也は身を乗り出した。と、案内人に止められる。

 「どうする気です?あなたは、実体が無いんですよ。」

 「せめて一発ぶん殴ってやらないと気がすまん!」

 達也は案内人を振り払い、兄貴に向かって渾身の力で殴り掛かった。

 やばい橋は幾度となく渡った達也である。切れのある右パンチが全く隙だらけの顎の急所めがけて炸裂した。

 しかし、達也の拳は虚しく空を切り、達也はバランスを崩した。

 「どうなってんだ!?」

 いつの間にか達也のすぐそばに居た案内人は言った。

 「だから言ったじゃないですか。生身の命あるものには触れることが出来ないんです。」

 「聞いてなかったぞ!そんなこと!」

 「言ってないですから。」

 案内人はしれっと言った。

 そんな達也たちを尻目に兄貴とチンピラは、事務所のデスクの中を引っ掻きまわし始めた。

 「ないっスよ、兄貴」

 「馬鹿野郎!よく探せ、あんなのが有ると、後々センセイが困ったことになるんだよ!」

 達也は殴り掛かるのを諦めて、もとのソファーに座り直した。

 「あいつら何を探してんだ・・・先生? 例のゴシップネタか!」

 「何です?」

 「いや、多分1週間ほど前に取ったチンケなゴシップでな、ゴロツキ政治屋の小澤次郎と元アイドルの松下幸子との密会の写真だ。確か、あの後、松下幸子はどっかへ雲隠れだ。にしても、ただの女性スキャンダルぐらいで、普通、人を殺すか!?」

 達也は手出しが出来ないのが心底悔しかった。

 「ほーそうですか。で、松下幸子とは、この方ですか?」

 案内人は、一枚の写真をイライラしている達也に示した。一人の女性がにっこりと微笑んでいる。

 「ああ、そうだ・・・?なんでお前がそんな物もってんだ?」

 「いえね、生前アイドルをしていたと聞いて、話のネタにもらっといたんですよ。本人から。」

 「ふーん。・・・それって!死んでるってことか!?」

 「そうですよ。あなたが来られる1週間程前でしたね。今は地獄におられますが。おっと、プライバシーに関することは言っちゃまずかったんでした。」

 案内人は舌を出した。

 「なんてこった。それで、証拠隠滅にヤクザ雇ってこの騒ぎか!」

 達也は右の拳を左手に打つ付けながら、悔しがった。

 「ま、死んだら、選択の道は1つしか有りませんね。彼らには。」

 「地獄へ一直線ってか?」

 「いいえ、ただの消滅です。魂も残りません。」

 「・・・やばいな。もうすぐ和美が例の証拠写真、持ってやってくるぞ」

 今日ほど達也は生きていたかったことはなかった。自分のしくじったことで人が、特に女が危険にさらされるなど、達也には我慢が出来なかった。

 身よりもなく一人で生きてきた達也のたった一つの矜持とも言えることだった。

 「何とかして、和美に危険を知らせることはできんのか?」

 「案内人は民事不介入の鉄則がありますからね。残念ですが。」

 「こりゃ、民事じゃないぞ!刑事事件だ!なんとかしろ!」

 案内人は首の後ろを撫でながら言った。

 「弱りましたね・・・。あんまり首は突っ込みたくないのですが。」

 そう言いながら、床に落ちているシャープペンシルをひょいと摘まみ上げた。それは事務机の上に有ったものだが、チンピラが家捜ししているうちに床に落ちたものだ。

 「・・・?・・・そうか!命のあるものには触れることは出来ないが、命の無い物には触れることが出来る。そうだな?」

 「・・・。」

 案内人は否定も肯定もしなかった。

 達也はおもむろに、足元に転がっていたクリスタルの灰皿をつかみ、フリスビーのように投げた。

 重い灰皿は、達也の狙い違わず、チンピラの後頭部を直撃し、チンピラは「ぐっ」とも「ぎゃ」ともつかない妙な声を上げてその場に崩れ落ちた。

 「ど、どうした!」

 焦ったのは兄貴の方である。何が起こったのかさっぱり解らない。

 「ふん、次はお前の番だぜ」

 言いながら、達也は床から拾い上げた紙きれに案内人から取り上げたシャープペンシルで走り書きをしていた。

 「おいっ!信治!おい!」

 兄貴はチンピラを揺り動かすが、彼は完全に気絶している。

 紙きれを案内人に押し付け、達也はキッチンの方から鉄アレーを持って来た。

 「ふ、藤岡さん。それはまずいんじゃないですかね。死んでしまいますよ。」

 「そう思うか?じゃあ、これにしよう。」

 鉄アレーを置いて、十円玉がびっしり詰まった2リットルのペットボトルを手に取った。

 「一緒だと思いますけど・・・まあ、いいですけどね・・・。」

 兄貴分はチンピラに折り重なるように倒れた。



 「あら?何かしら。」

 まさに水商売っぽい原色のスーツを身につけた和美は、達也の事務所のビルの入り口で足を止めた。

 紙きれが飛んで来たかと思うと、スーツの胸ポケットに入り込んだ。いかにも不自然である。

 和美はまた、歩きだしながら紙きれを広げてみた。

 そして、立ち止まり、深呼吸をして駆け出した。事務所の方へ。

 「あらー。行っちゃいましたよ。」

 「・・・・ばか。」

 達也は回れ右をして、和美の後を追いかけた。

 一足先に和美は事務所の前に着いていた。

 ドアは壊れたまま、明かりはついていない。

 「藤岡さん・・・」

 入り口から見えるところに倒れて居る人影が2人。その内1人は見覚えがあった。

 和美は音をたてないようにゆっくりと事務所に入った。

 薄暗さに目がなれてくると、部屋中が荒らされ、机の向こうに折り重なるように人が倒れて居るのが見えた。

 和美は慎重に達也の身体に近づくと、ゆっくり首に手を当てた。

 「!・・・冷たい・・・」

 「そりゃそうだろうな。死んでからかれこれ半日は経ってる。」

 追いついた達也と案内人はその姿を後ろから見ていた。

 「あなた、メモに何書いたんです?」

 案内人の問いかけに達也は素っ気なく答えた。

 「殺される。事務所に来るな。フィルムを警察に。」

 1時間後、警察が到着し、事務所に居た4人は和美も含めて参考人として、警察へ向かった。

 そして、事務所は警察に閉鎖され、入り口を固めた警官以外は達也と案内人だけが残った。

 鑑識が到着するとすぐに現場検証が始まるのだろうが、今はただ静かだった。

 「さて、私たちも戻りますか?あの世へ・・・。」

 「ちょっと待ってくれないか。10分でいい。手紙を1通書きたいんだ。」

 「本当は、だめなんですがね・・・ま、いいでしょう。今回だけは目をつぶりますよ。」

 10分後、事務所には誰もいなくなった。



 「さて、やっと帰って来ましたね。犯人もわかったことですし、ちゃんとした第1発見者も現れました。満足しましたか?」

 「・・・」

 「では、もう決まりましたか? 天国、地獄、迷う、さあ、どうします?」

 「あの先どうなったのか、知りたい。どうなったんだ?おまえは知ってるんだろ?」

 「それは・・・言えません。決まりなんです。」

 「知る方法は?」

 「それも、言えません。」

 「進むべき道は3つだけってことか?」

 「ええ。助言できるのはここまでです。最後の決断はあなた次第ですね。ただ・・」

 「なんだ?」

 「ただ、あなたはもう決めているはずです。運命がそう示していましたから。」

 「そうか。解った。じゃあ、もう行くぜ。迷いに・・・」

 「お気をつけて、新しい人生をまた、楽しんでください。また、死んだら合いましょう。」

 「神か・・・信じちゃいなかったがな、居たんだな、ホントに。」

 「信じるものは救われるって、言うじゃないですか。」

 「最後にいいか?」

 「何です?」

 「おまえ、結構いい奴だったぜ。」

 「それはどうも。」



 頭の上で電話がなっている。

 「うーん。もう朝?昼夜逆になってるから、朝は弱いのよね・・・」

 電話だと思ったのは目覚まし時計の音だった。

 手を伸ばしてベルを止める。

 「もう朝か・・・いろいろあったから、なんか疲れちゃったな。」

 和美はベットの上で伸びをした。

 「藤岡さんは死んじゃうし、なんか妙に気が合う人だったのに・・・そうだ、あのNHKの人。結局一緒に捕まっちゃったけど、何の恨みがあったんだろ。こわいわね。お上が付いてる営業努力の要らない仕事してる人って・・・」

 あの後、達也の事務所から和美あての手紙が出て来た。

 内容は全ての遺留品を和美に残すということであった。

 筆跡鑑定や、その他鑑定の結果、本人の物と断定され、事務所の権利といくばくかの貯金が、和美の持ち物となった。

 「別に欲しくは無いけど、藤岡さんの気持ちと思って、もらっといてやるか。」

 和美は、貯金の中から達也のスナック・セントールのツケを払い、達也の身寄りを探したが、結局誰も居なかった。

 「身寄りがないのは私と一緒か・・・」

 和美はもう一度伸びをしてベットを降り、バスルームに向かう。

 パジャマを脱いでシャワーをあびる。髪を洗っている時にふと手が止まった。

 「あれ?私こんなところに傷があったんだ・・・」

 後頭部に小さな傷の跡。

 「まっいいか。目立つもんでもないし。」

 事件の後、和美はセントールをやめた。今は経理関係の専門学校に通っている。いずれは自分が達也の事務所を継ごうと思っている。

 「さてと、そろそろ行くか。」

 身づくろいを終えた和美は、マンションにカギをかけ、隣にある配電盤の内側にカギをしまい込んだ。

 「よし、今日もいい天気だ。」

 バックを掛け直すと和美は軽い足取りで、町並みを走っていった。

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