ステータスと天使
俺が転生を果たし二年が経った。
鬼という種族は俺の想像以上に成長が早く、二年の月日で体は五歳相当に成長し、今では走ることは勿論、色んなことを自分で出来るようになった。
カーランド以下研究員たちにも俺のこの成長速度には驚いていたので、鬼の種族の成長が早いのではなく、俺だけが早いのかもしれない。
そしてこの世界は俺が考えていた以上にファンタジーな世界だ。
まず、人にはそれぞれ得意な魔法やスキルが存在する。自分のステータスを脳内で可視化できるみたいで、俺が言葉と話せるようになると、カーランドが教えてくれた。
カーランドは初見でみたマッドな印象が強すぎて初めはびびっていたのだが、予想に反して俺にはそういうマッドサイエンティストな面をいまだに見せたことがなかった。
しかし、絶えず他の実験体のものであろう悲鳴は聞こえてくるので心を改めるとか研究テーマを変えたりしたとかではないようだった。
カーランドが最初に教えてくれたのは自分のステータスを見る事だ。
やり方は簡単でステータスと発すると自然に脳内にウィンドウが現れる。
俺は定番の魔力操作などから練習するのかと思っていたので少し拍子抜けした。
まあ、それはいいが、驚いたのは俺のステータスだ。
アシュラ・レイオード
種族 鬼神
ユニーク 阿修羅
鬼神闘争
位階・熾天使
スキル 鑑定
黒炎の使い手
天稟
特殊 堕天使の加護
ユニークスキルだ!
漫画やアニメを少しでも見たことがあるやつは絶対に一度はこんな特殊な能力やユニークといったものに憧れたことがあるはずだ。
俺も例にもれず、自分にユニークスキルがあることに驚いたがとても嬉しい。
しかし、位階?
位階ってたしかヨハネの黙示録とかイザヤ書とかに出てくる天使の階級のことだ。
しかも、堕天使の加護?
なんでこれがユニークスキルなんだろう。
「アシュラ、どんなステータスだったかな?」
俺を膝に抱えたカーランドが俺の髪をいじりながら訪ねてくる。
「ユニークスキルがあった。」
「ユニーク!?」
やはりユニークスキルは珍しいのだろうか。
驚いた様子だったカーランドは何かに納得したように頷いた。
「まあ、お前は特別な生まれですからねぇ。ユニークスキルが発現してもおかしくはないでしょう。」
どんなスキルか尋ねてくるカーランドに俺は迷った。
素直に答えていい物だろうか?
行っている研究・実験に対し、カーランドの俺に対する態度は異様だ。
異様なまでに優しい。俺に対してまるで親や兄のように接してくるのだ。
まあそれはそれとして、俺の血を抜いたり、俺の
「…阿修羅ってやつと位階・熾天使ってやつ」
「…」
熾天使というスキルを聞いた途端カーランドの顔色が変わった。
「なるほど、彼女は認めないけれどその子は認めるということですか。…ふん、ずいぶん勝手な鳥どもですねえ」
「……カーランド?」
「ふふ、本当に虫唾が走るな。」
俺の声も聞こえていないのか徐々にその独り言に熱が入っていく。
「天使とは名ばかりの目障りな害虫が、彼女は俺がいなければ死んでいたというのに、力を秘めたアシュラは自分の勢力に入れようと?…今更出しゃばってきやがって、蠅が!」
俺を抱える腕にどんどん力が入って俺をのお中あたりを締め付けてくる。
「いっ、カ、カーランド!痛い!」
その声でようやく自分の腕が俺の腹を圧迫しているのが分かったのか、慌てて力を緩める。
「す、すみません、大丈夫ですか?」
「大丈夫だけど、カーランドこそ、どうしたの?」
「え?」
「俺のユニークスキルを聞いた途端、なんか様子がおかしくなった。」
口を噤むカーランドは、迷っているみたいだった。
何に対して迷っているのだろうか?これ以上の事情を俺に話すこと?それともさっきの独り言の中ででた、俺の母親らしき【彼女】のこと?
天使とか能力とか考えるの楽しい
ただ完結までもっていけるかどうか...