ティータイム 白魔道士マニエル
マニエルには姉が一人居る。
年の四つ離れた出来た姉。世間の評価は概ね姉を支持する声が多かった。
「お姉ちゃんは優秀ですねぇ」
「きっとお母さんに似たのでしょう」
「素敵なお姉ちゃんで妹さんも幸せでしょうに」
同じ夫婦の間に生まれた子であるにもかかわらず、何故にこうも評価が違うのか……年頃のマニエルは、次第に嫌気が差してきた。
勉学を熟し、運動神経も良好。周囲の期待も厚く、学校卒業後はギルドへ就職し、今では若くして副局長の座へと登り詰めた逸材だ。
両親は鼻が高く、自慢の娘として扱った。
しかし、決してマニエルをぞんざいに扱うことはしなかった。姉は姉。妹は妹と、比べたりする事も無く、マニエルを一個人としてとても尊重した。
しかし、マニエルにはそれが逆に申し訳なく思え、勉学は今一つ、運動神経はまるで無しの自分に嫌気が差し、ついには家を出た。
幸い、マニエルには友達が多かった。
ドジでマヌケなマニエルを放っておけない学友達がことある度にマニエルを心配し、その暖かさが彼女を屈折した人間へと向かわせることが無かったのだった。
「マニエルはマニエル。お姉ちゃんはお姉ちゃんじゃない?」
学友達が声を揃えて両親と同じ事を言うのだけが、マニエルの心を傷める要因ではあったが、だからこそ、マニエルは姉と同じ領分で挑みたかったのだった。
学校を卒業後、辛うじて適性とされた白魔道士としてギルドへと登録し、無事にパーティを組むことが出来たマニエル。しかし現実は醜く、そして凍てつく寒さよりも厳しかった。
マニエルに白魔道士としての出番は無く、そこに望まれていたのは女としての出番であった。
マニエルは闇に潜む魔物よりも恐ろしい男の目付きに、慌ててその場から逃げ出した。幸い直ぐ近くで女探索者に助けられ事無きを得たが、それ以降男だけのパーティに加入する事はしなくなった。
しかし白魔道士として駆け出しの彼女を入れてくれるパーティは無く、カフェテリアで紅茶を飲みながら、マニエルは途方に暮れていた。
「ねえ? 良かったら一緒にどう?」
マニエルが項垂れる顔を上げると、そこには白魔道士が三人立っていた。




