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ギルド編始まりです。宜しくお願い致す。
ダンジョンが変動期に入り、2カ月が過ぎようとしていた。
「おーい……いくら何でも長過ぎねーか?」
誰も居ない部屋に、男の乾いた声が響く。
デスクに置いたグローブを取ろうとして、ネームプレートが机から落ちる。
【ギルド局長 オズワルド】
男はそれを乱雑にデスクの上へと放り投げると、グローブをポケットへと押し込み、ゆっくりと、静かに、こっそりとドアを開けた。
「……誰も居ないな?」
閑散としたギルドの隅を、コソコソと歩く男の姿は、まるでコソ泥のようだった。
「──何処へ行かれるおつもりで?」
「グッ……!」
男が忍び足のままゆっくりと横を向くと、そこには腕を組んだスーツ姿の女エルフが立っており、スーツに付けられた腕章には『秘書』と書かれていた。
「……やあアイシア。ちょいと散歩にでもな、行こうかなって……」
「なりません」
「……ダメ?」
ビッと女エルフが指差した先には、盛りに盛った書類の山がいくつも出来上がっていた。
「なりません」
「分かった! 分かったよ! やれば良いんだろ!?」
男は諦めて書類の山の上から、適当に書類を掴み──
「後でな!!」
書類を女エルフに向かって投げ付け目眩まし! 足早に逃走した!!
男はギルドから逃げ出し、人が全く寄りつかぬ変動期のダンジョンの前へと来ていた。
「全く……アイシアの奴め。中央の命令だからって俺様を監禁監視しやがって…………」
「なりません」
「のわーっ!!!!」
男が一息着く暇も無いまま、女エルフは男の目の前へと突然現れた。
「ギルドの局長たる人物が、単騎突入とは何たる無責任で無謀で無茶で味音痴な事でしょう」
(……味音痴?)
「しかし、今回の変動期は些か長期化しており、このままでは探索者の生活に支障が出てしまうのも、また事実……」
「あー……つまり、二人で行こうって訳だな?」
「……いえ、三人です」
女エルフが指差した先には、全力で駆け寄る女性が居た。
「局長ー!! 置いていくなんてあんまりですー!!」
「……何でメイデアまで?」
「副局長ですから!」
「メイデア副局長まで来てしまったので、もし我々に何かあれば、ギルドはおしまいです」
「……さらりと怖いこと言わないでくれアイシア」
「すみません局長! 居ても立ってもいられず着いてきてしまいました!」
「まあいいさ。つまり、三人で変動期をさっさと終わらせれば良いんだな?」
「……そういう事です」
「きょ、局長! もし無事に戻ったら、わた、わたた、私とごは──」
「ダンジョン突入ーー!!」
「おー」
「ああ! 待って下さいー!!」
ギルド局長オズワルドと、秘書官アイシア。そしてギルド副局長メイデアは、変動期を終わらせるべく、ダンジョンへと突入した。




