はないちもんめ
夕方、マッチのようなドウダンツツジに囲まれた、アパートの小さな広場で遊ぶ。
近所の女の子と小さな男の子たちで、二つのグループに分かれ、繋いだ手を振りながら、声をそろえて前後に足ぶみする。
そこにめずらしく、りょうまくんがやってきた。宿題が終わったから遊びに来たのだという。私たちが
「はないちもんめ、してたんだよ」
と言うと、りょうまくんは微笑みながら、
「いいよ」
と応えて、あちらのグループに入った。
かーって うーれしーい はーないーちもーんめ
まけーて くーやしーい はーないーちもーんめ・・・
りょうまくんと目が合う。
「◯◯ちゃんが、ほしい」
りょうまくんが私の名前を呼んだ。私はびっくりして、急に耳が熱くなるのを感じた。
2022年4月12日 改訂