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第四話 再び戦闘

 彼女は自らブリタニア王国第一王女を名乗るソフィアである。たぶん本人で間違いは無いのだろうけれど、ブリタニア人でもないクルーに確証が持てないから自称になっているだけである。そのため、彼女の身分を証明出来るまで彼女の行動は制限されている。


「こんな狭い医務室に居るくらいなら、艦の中を散歩でもしてきたらどう?」【美里】

「と言われましても、今の私は行動が制限されているのですが。」【ソフィア】

「別に居住区くらいは良いわよ。ほら、丁度良いところに翔ちゃん発見。」【美里】


その開け放たれた医務室の扉の前には帰投してきた天野翔平の姿があった。


「山本一尉、翔ちゃんはやめて下さい。」【翔平】

「そんな事よりも彼女に居住区を案内してあげて。」【美里】

「誰なんです?」【翔平】

「艦内に迷い込んだブリタニアの姫様。」【美里】

「そんな方を何で俺が?」【翔平】

「そんなの暇そうにしてたからじゃない?あと年も同じなんだし。それに他の子達はまだ戻ってないんでしょ?」【美里】

「はぁ・・」【翔平】

「ほらほら、突っ立って無いで、案内してあげなさい。」【美里】


そうして翔平とソフィアの二人は医務室の外へと弾き出された。無言のまま二人だったが、まず口を開いたのはソフィアの方だった。


「ソフィアよ。よろしくね。」【ソフィア】

「どうも、天野翔平です。」【翔平】


そうしてお互いに握手をかわす二人であったが、ソフィアが翔平の顔を見たまま固まってしまった。


「どうかしました?」【翔平】

「本国では王族の私が手を出すと跪かれていたので、こうして人数(ひと)と握手を交わす事は初めてなんです。」【ソフィア】

「ブリタニア軍人ならそうするのでしょうけど、俺は日本人です。貴女がブリタニアの王女だと言われても手を出されたら普通は取りますよ。」【翔平】

「たがら私は嬉しいのです。こうして貴方が私の手を取ってくれたのですから。」【ソフィア】

「はぁ。そろそろ手を離して貰えます?」【翔平】


そう言われて、時間の経過に思い至ったソフィアはそっとその手を離すのであった。


「翔平さんでしたっけ?これからどこを案内してくれるのですか?」【ソフィア】

「翔平で構いません。」【翔平】

「そうですか。でしたら翔平も私の事をソフィアとお呼び下さいね。」【ソフィア】

「せめて『さん』を付けさせて下さい。」【翔平】

「日本には『郷に入れば郷に従え』と言う言葉があります。この艦の国籍は日本、公務で訪れている訳でも無い私は、この艦の中にいる間は只の一人の女の子です。でどこを案内してくれるのですか?」【ソフィア】

「わかりました。そこまで言うならソフィアと呼びます。居住区を見て回りましょう。」【翔平】


そうして二人で一通り居住区を歩きながら、翔平はソフィアをお手洗いとシャワールームに案内した後に、艦尾の展望室につれてきた。


「うゎ~、星が綺麗。」【ソフィア】

「戦闘の後はここが一番落ち着く。」【翔平】

「えぇ、私も日々のしがらみから解放されるかのような心地がします。ですが、地球が隠れているのはちょっと残念です。」【ソフィア】

「進路が進路なんで仕方ないですよ。なんなら休憩室に行きます?」【翔平】

「どうして?」【ソフィア】

「平常時ならあそこのモニターには常時、地球が写っているはずです。それにそろそろ他の奴等も戻って来ている頃なんで。」【翔平】

「そうね。ちゃんと紹介してよ。」【ソフィア】


そうして二人は展望室をあとにし、休憩室へと向かって行った。そうして、その扉を開くと予想通りそこには他のパイロットの姿があった。


「おい翔平!お前いつの間に彼女作ったんだ!」【利幸】

「誰が作戦行動中に女に現を抜かすか。」【翔平】

「彼女じゃないならお前がどうして女の子を連れ歩いているのさ?」【利幸】

「山本一尉に彼女に居住区の案内をするよう頼まれただけだ。紹介するよ、何故か艦内に迷い込んだブリタニア王国第一王女のソフィア姫だ。」【翔平】

「えぇ、私は正真正銘、現ブリタニア王国国王ヘンリー・A・ブリタニアが長子、ソフィア・E・ブリタニアよ。ソフィアって呼んでね。」【ソフィア】


しばらくの沈黙のあと、張り裂けんばかりの悲鳴?奇声?が鳴り響いた。次第に落ち着きを取り戻し、自分の名も名乗り終えた四人であったが、まだ信じられないようだった。


「貴女がブリタニアの王女だと言うのは理解しましたけど、これからどうするのですか?」【優美】

「この艦の目的地がイザヨイだと伺いました。多分そこのブリタニア軍将校さんに私は引き渡されることになるでしょう。」【ソフィア】

「それもそうよね。」【麗奈】

「ねぇ、このあと私たちの部屋においでよ。女の子が医務室で寝泊まりなんて可愛そうだよ。」【舞】

「本当によろしいのですか?」【ソフィア】

「もちろんよ。ベットも一つ余ってるから丁度いいわ。今から艦長に聞きに行きましょう。」【麗奈】

「麗奈さん、そんな時間は無いみたい。」【優美】


何故なら、目の前のモニターの映像が地球から敵艦隊の映像にかわり、艦内にアラートが鳴り響いたからである。


「総員に通達します。第一級戦闘配備が発令されました。パイロットは搭乗機にて待機してください。」


するとさっきまで明るかったその場の雰囲気が一瞬にして張り詰めた。


「ごめんねソフィア。私たち出撃しないといけないみたい。」【麗奈】

「えぇ、皆さんご武運を。私もこのモニターで見守らせて頂きます。」【ソフィア】


そうして彼らは自らの機体へと急ぐのであった。


 一方、敵艦隊の旗艦ではアマテラスの予想進路が的中し、マスクで目元は見えないが口元が緩み、得意顔になっているギャルドの姿があった。


「やはり、目的地はイザヨイであっていたか。ドリムスーツ発進急げ、イザヨイに入られる前にここであの艦を落とすぞ。」【ギャルド】

「了解。こちらアレックス。レッドナイト以下、小隊機五機、準備完了。」【アレックス】

「分かっているとは思うが、要はあの白い機体だ!アレックス、お前が相手をしろよ。」【ギャルド】

「了解。アレックス・ノーム、レッドナイト、出ます。」【アレックス】


そうしてギャルド隊のドリムスーツ小隊は随時発艦していった。その頃、アマテラスでも各機体の発進シークエンスが行われていた。


「超高圧バッテリー内電気量100パーセント、リニアカタパルト接続。バックユニットはメテオールを装備します。進路クリア、ヴァルキリー発進どうぞ!」【凜】

「白浜舞、ヴァルキリー行きます!」


そうして、両軍ともドリムスーツ隊が発進し、両軍の丁度中間地点で開敵した。


「あの赤い機体、また私をロックした。」【舞】

「全機散開、白いのは俺が引き受ける。他は好きにしていいが後方からの援護射撃には注意しろよ。」【アレックス】

「了解!」【隊員】


こうして、アマテラスとギャルド隊の戦闘か再び始まった。そんな中、アマテラスの休憩室では、ソフィアが一人、モニター越しにエールを送るのであった。

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