表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第一話 艦の仲間

 私たちが『タカマガハラ』についてからの三年間、テストパイロットとして戦闘シミュレーションを行い、今日私たちはようやく新型機の顔を拝むことができるのだ。


「みんな!もうすぐ新型の初披露だよ。」【舞】

「あんたさ、その前に艦長さん達に挨拶する事忘れてない?」【麗奈】

「私でもそれぐらいは覚えてます!」【舞】

「おい白浜、シャトルの中でまで、そんなに興奮しなくても良いだろう。」【翔平】

「昨日の夜に俺と全シチュエーションで模擬戦やってたお前がよく言うよ。お陰で朝から頭がガンガン鳴ってやがるぜ。」【利幸】

「えぇ~良いなぁ男子は二人で対戦できて。こっちは麗奈も優美も後方支援機だから、NPC相手の量産機としか闘えないんだよ!」【舞】

「ですがシミュレーションで再現できるのはこの第三世代のほんの一部の性能なんですよ。」【優美】

「あれよりもっと凄いの?」【麗奈】

「当たり前じゃないですか!例えばパイロットのパーソナルAIを搭載可能にした事。これまでの第二世代でもAIに姿勢制御を任せてパイロットは周囲に集中できるようになったんだけど、当時はコモンAIによるものでパイロットとAIの選択に差異があったの。だからそれを改善するために搭載するAIをパイロットのパーソナルAI、すなわち道標としての疑似人格をもつAIを搭載する事により機動性の改善に成功。そしてパーソナルAIを搭載するんだから各分野特化のワンオフ機を造ろうと言うコンセプトのもとに製造計画がスタート。そうした中で出来上がったのが、私たちがテストをしてきた機体なんです。・・・えっ?」【優美】

「置いてくよ優美~。」【麗奈】

「みんなちょっと待って下さい。」【優美】


私が乗ってきた民間のシャトルはもう港に到着したと言うのに永遠と喋り続けていた優美はもう少しでシャトルの中に閉じ込められるところだった。 


「もう、優美ったらいっつもコンピューター関連の事になると前が見えなくなるんだから。」【舞】

「それほどでも。」【優美】

「誰も褒めてないよ。」【麗奈】

「で、どこに行けば良いんだっけ?」【利幸】

「まずは格納庫!」【舞】

「だから、その前に艦長に挨拶だって。」【麗奈】

「・・・・・」【翔平】

「皆!こっちこっち。」【?】


と声のする方向に高々と『新人パイロット』と書かれたプラカードを掲げている軍服を来た人が手を振っていた。


「私は四谷凜。君たちがJ3RDシリーズのパイロットの5人だね。」【凜】

「はい。」【全員】

「まず、艦に案内するからついてきて。」【凜】


そうして私たちは今降りた港とは反対側にある工廠へと四谷さんが運転するジープで移動した。


 今この工廠で最終チェックを受けているのは、私たちのドリムスーツの専用運用艦のアマテラス級一番艦『アマテラス』である。


「楽しみは最後に取っておくとして、まずはブリッジね。」【凜】


アマテラスは大きく分けるとブリッジ、居住区、格納庫に分けることができ、格納庫からブリッジまで一本、格納庫から居住区まで二本のエレベーターが通っている。そのエレベーターを最上部まであがりエレベーターを降りたら両サイドの階段を降りたところがメインブリッジである。私たちを除いてそこには若い男女が数人いた。


「皆、このお姉さんがこの艦の艦長よ。」【凜】


その軍帽をとっている為に整っている顔がよく分かり、スタイルもよくて制服であるタイトスカートがよく似合う。そこから伸びる黒タイツが大人の色気を絶妙に醸し出しているその女艦長は、私が想像していた、白髪混じりの髭をはやしいい感じに腹が出ている壮年の男性と言う艦長像とは真逆だった。


「君たちが新型のパイロットね。私がアマテラス艦長の藤林美咲です。艦の事で分からないときは四谷二等兵に聞くといいわ。」【美咲】

「わかりました。その時は宜しくお願いします。四谷さん。」【舞】

「私の事は凜って名前でいいわよ。」【凜】

「この子達の方が階級が高いとは言え、名前を呼び捨てにさせるのは駄目よ。」【??】

「そんな堅苦しい事、パイロットとオペレーターの間には無いんですよ美琴一尉。そうそう、まだ言って無かったけど私この艦のオペレーターだから。」【凜】

「百歩譲って『凜さん』ね。私は副官の島岡美琴。CIC担当よ、よろしくね。」【美琴】


と言って私たち五人と順番に握手を交わす副官の島岡一尉は、欧米人か?ってなるぐらい日本人にしては色白で肩口で切り揃えられたストレートの黒髪がシャキッとした印象を与えてくれる。


「そしてあそこで作業をしてるのが操舵手の河田康治曹長と副操縦士で君たちと同じ新兵の矢島健太二等兵よ。」【凜】

「よろしく。」【河田】

「どうも~。」【健太】

「それから今は席を外しているけど策敵担当の井上響曹長が私の隣の席にいて、最後にこの人が整備士とオペレーターの次にパイロットがお世話になる船医の山村美里一尉よ。」【凜】

「一応船医だけど、私のお世話にならない様に心掛けるのよ。」【美里】


このおっとりとした船医の女性も美脚の持ち主でインナーの上から直接はおった白衣の開いた前からそのスラッとした脚が顔を出していた。そして艦長を始めたこの艦のブリッジは美形揃いである。


「そしたら次はお待ちかねの格納庫に行くわよ。」【凜】


そして私たちはブリッジをあとにして、エレベーターは格納庫の方に降りていった。


 私たちが格納庫に降りると後部ハッチが解放されてフォークリフトや行き交う中、第三世代の最新鋭機五機がその全貌を現した。


「お兄ちゃん。パイロットの皆を連れてきたよ。」【凜】

「分かった、今行く!」【凜兄】

「同じ艦に兄妹で配属されたんですか?」【舞】

「同じ艦のクルーなのは確かだけど、お兄ちゃんは歴とした四谷重工のメカニック。」【凜】


すると明らかに他の整備士とは服装が違う男が走ってきた。


「はじめまして、俺は第三世代の新型五機の運用アドバイザーとしてこの艦に同乗する四谷蓮だ。苗字だと凜と紛らわしいから名前で呼んでくれ。」【蓮】

「私は少し外してるから、じっくりその自分の機体の説明を聞きなさいよ。だけど、お昼前には解放してあげてね、お兄ちゃん。」【凜】


そうしてここまで私たちを案内してくれた凜さんは、もと来たエレベーターに戻って行った。


「昼までに一人で五機分なんて無理じゃん。・・・あっちょうど良いところに軍曹さん発見。手ぇ空いてるならちょっと手伝って。」【凜】

「蓮、お前は人に面倒押し付けんのが本当に好きだよな。で、何をしろって。」【軍曹】


蓮さんに軍曹と呼ばれてやって、髪を短く刈り上げた色黒で無精髭を生やしたラガーマンの様なガッチリ体格の男性がやって来た。


「あの二機の説明を頼んで良い?流石の俺でも昼までに五機分終わらせるのは無理だから。」【蓮】

「あの二機のパイロットはその坊主達か。俺は川崎武司、アマテラスの正規クルー整備班の班長だ。嬢ちゃん達も覚えておけよ。」【軍曹】


そう言いながら軍曹さんは利幸と翔平の二人を連れていった。


「君たち三人には僕が説明することになるんだけど、無難に手前の機体から説明していくね。まずはUUE-J3RD05コネクター、これは相良優美の機体だね。君の要望通り入力方法はタッチパネルじゃなくて、キーボードにしてあるから。情報戦仕様のこの機体は俺が説明するよりも自分で設定した方が早いかもしれないけど、初期設定は皆で進めるから中で待機してて。」【蓮】

「分かりました。」【優美】


そうして優美は自分の機体に駆け足で乗り込んでいった。


「次の機体はUUE-J3RD02ティラール、坂本麗奈の専用器だね。シミュレーションで散々テストしてる筈だから、知ってるとは思うけどこの機体は長遠距離射撃が売りの機体。シミュレーション段階では一切近接武器は無かったけど正式版には気休め程度にしかならないけどビームソードが追加してあるから。そしてこっちの機体がUUE-J3RD01ヴァルキリー。白浜舞の機体ね。日本の神アマテラスの搭載機に北欧神話を元にしたネーミングの事は気にしないでくれ。バックユニットはまだ調整中だからここには無いけど、起動する事は可能だから、とにかく君も立ち上げて。」【蓮】


そして私は戦乙女(ワルキューレ)の名が付けられた白銀の機体に乗り込んだ。


「五機とも俺の声が聞こえるね。まずはモニターの指示にしたがって、操縦桿の横にあるUSBプラグにデバイスを接続。そしたらモニターに『LINK』て表示が出るからそれを選択、それでもうその機体は君たちのデバイスを接続しないと起動すらしない状態だから出撃時には必ず持ってくる事。そしたら最後にパイロットスーツを渡して今日のところは終了するよ。」【蓮】


言われたままに操作をして、あっという間に今日出来る設定は終わってしまった。


「これが君たちのパイロットスーツとヘルメットだけど、機体のカラーと同系統の物を持って行ってくれ。ちなみに今日はスピーカーから音声を流していたけど、戦闘時はヘルメット内臓スピーカーから出るようになるから。」【蓮】

「皆~、お疲れ様。」【凜】


そしたらタイミングを見計らっていたかのように、凜さんが駆け寄ってきた。


「そしたら今日は最後に居住区を一通り回って終わりにするからあとは自由時間ね。」【凜】


それからブリーフィングルームとロッカーとシャワー室を覗いてから、自分達の部屋に案内された。そして、工廠周辺の宿泊施設は臨時でコロニーに上がってきた四谷の社員や明日の進水式の招待客に割り当てられているため私たちは今日からこの艦で寝泊まりする事になるらしい。もちろん男女別部屋である。一通り艦の案内を終えた凜さんはホテルの部屋番号がメモしてある紙を渡してきた。なんとこのホテルに私たちの家族が泊まっているらしい。今日の午後しか自由時間はとれないから、今日中に会ってきなさいと言うことである。私は部屋の荷物を整理して直ぐに向かうことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『用語集』『登場人物』は常時更新していきます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ