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【第4話】トラブる学園生活

ハッと目が覚めた。寝起きだというのに半端ではない疲労感が襲う。なんだかひどい夢を見ていた気がする。

ふと、異変に気付く。何故か俺はその場に直立していたのだ。

「あれ、今まで俺は夢みてたんじゃ...」

「新しい生徒さんだ!こんにちはっ!」

目の前に立つショートボブの少女が大きな声で挨拶をしてきた。

「えっと...こんにちは」

「あたしはセシル!先生に言われてあなたをお迎えにきたんだよー!西寺 煌斗くんだよねっ!それじゃ、行こっか?」

新しい生徒...先生...俺は学生なのか。

「お、おう」

ああそうだ、全て思い出した。9割のいい夢と1割の極悪夢を見ていたんだ。俺は最強と言っても過言ではない能力を手に入れて代償としてざっと12億円ほどの借金を背負った。夢だけど夢じゃなかったんだな。クソっ......やっぱり借金って後味が悪すぎて喜びが半減してるぜ。

記憶を取り戻し、悪態をつきながら元気発剌のセシルに付いて行くと、更衣室の前まで連れてこられた。

「この中にあなたの制服があるから、着替えて出てきてね。わたし、その隙に少しお花を摘んでくるわ。」

セシルの背中が曲がり角へ消えるのを確認してから、俺は部屋をまじまじと見直した。石造りの床と壁。松明の照明。こりゃほんとに異世界に来ちまったみたいだな。今になってやっと、少しずつ実感が湧いてくる。

自分のこれからの異世界ライフに僅かずつ希望が見え、少しウキウキしながら更衣室に入った。

「あっ」

2人の視線が、ぴったりと合った。

なんと、更衣室の中には1人の女の子がいたのだ。彼女はライムグリーンの下着の上から、シャツを着かけていただけで、その他の瑞々しい肉体は露わになっている。黒髪ロングヘアーの彼女のスラっとした体に、思わず見惚れる。

「ああっ...ううう」

女の子が涙目になってしまった。俺は急いでとり繕う。

「あああ!ごめんなさい!何も見てない、何も見てないからっ!あの、他の生徒さんに言われた通り入ったらこうなっただけで、俺別にやらしいこと考えてやったわけじゃないんだ!ほんとに!」

「だったら早く出てってよぉ!」

正論だ。

「はいっ!ごめんなさい!」

急いで更衣室から出るが、まだ動悸が収まらない。ゼェゼェと息をする胸を撫で下ろす。なんでこの更衣室の中に女の子が?てか当たり前のようにこの中で着がえろって言ってたはずだよな......ん?ってことはこれもしかしてあの子が知らないだけで更衣室は男女分けないシステムなんじゃないか?そうだ!そう考えれば説明がつく!あの子も俺と同じ新入生なのだ!

「やぁ、さっきは逃げ出してごめんね!実は俺も新入生で......」

「きゃああああああああああ!!!」

「どうしたの!この声は!」

セシルが駆けつけてくる。

「ええっ!ミリヤ?!どうしてこんなとこで着がえを......あちゃー!ああ!......そういうことか......」

「いやいやどういうことなの?!」

「ごめんね、案内するとこ間違えちった!テヘ!」

「てへじゃねえええええええええええええええ」

「だってしょーがないじゃーん!まず更衣室に案内しろって言われたらふつーいつも自分が使うところ行っちゃうでしょ!」

「お前な、そのせいで俺は学校で初めて会う子に変態としての第一印象を与えちまったんだぞ!」

「フッ」

「フッじゃねえええええええええええええええ」

「てかてか、それにしたって煌斗が女の子のいる更衣室の中でそんな堂々としてるのもおかしいよ?!どうしてそんな堂々としてられるのよ」

「いや、あまりにもスムーズに通されるもんでこの学校じゃ男女分けてないのかなーとか」

「ええっ!あんた馬鹿なの?!」

「うるせぇ!大体こうなったのだってお前が原因で......」

「うふふふ」

言い合いをするうちに着替え終わったミリヤが、こちらを見て笑っていた。

「2人とも仲良しさんだね。今日会ったばっかりなのに。それじゃ、私はもう行くからね。あと......煌斗くん?」

「あっはい」

「あの......そのっ、さっきの着替え見たこと、もう怒ってないから。だから、別にまた......今度見に来ても......いや、なんでもないですっ!じゃっ!」

今また見に来いとかわけわからんことを言ってた気が...いや、流石に気のせいだよな。でもハーレム展開に導かれる運命の星の下に転生してるわけだし...まぁいいや。気にしないでおこう。こうして俺はようやく着替えを済ませ、セシルと共に、次の学園生活の準備へ進んで行った。

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