前虎後狼(前編)
そしてその日の放課後、僕は桜さん(いくら僕の考えたことといえど、後ろのやつというのは失礼なので、こう呼ばせていただく)に、片手を拘束されて、ランニングを(物理的に)強制的にやらされていた。
これが僕だけなら、いちおうこの突然の行動に考察が出来たことだが、残念ながら僕のとなりには幼なじみくんがいる。ただでさえ意味がわからないのに、これ以上ややこしくしないでくれ。
この全くもって意味不明なこの動きが始まったのは、帰りのホームルームが終わったあとのことであった。
その時、僕は後ろから絶えず注がれる謎の視線に冷や汗を掻きながらも逃げるという選択肢以外は授業中に行った脳内会議で排除していたので早速教室から脱出しようとして構えていたが、左手を掴まれた時点でもう無駄だと悟ったので諦めた。
すると、今度は僕の腕を掴んだまま、帰宅の路」についていた幼なじみも強引に腕をつかみとりそれで僕達を誘拐した。
そして、今に戻るというわけだ。と、ふと桜さんが止まったので僕はスピードが落としきれなくて転びそうになったが、なんとか持ちこたえられた。上を見上げると、そこには、