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僕と彼女の交換日記:春  作者: 齋藤 一樹
2章
15/70

大驚失色(後編)

あ、そういえば、後ろにいる人の存在を忘れていた。でも恐ろしいオーラが感じられて、冷や汗がすごくでた。僕は、その人を見るのが怖かったけれど、頑張って(というより強制的に)そこを見た。予想どうりに桜さんが気が弱い人が卒倒しそうな笑顔を見せていた。ちょっと、これ、怖いんですけど。桜さんはそんな笑顔を見せながら、こう言い放った。

「あんた、まじで邪魔なんですケド」

おい、他人行儀かよ。しかも、なんか現代っ子みたいな危ないオーラ全開であると来た。このような変わりように僕は、少しこう考えてしまった。


彼女は、多重人格ではないか、と。


しかし、そんなはずないのだ。多重人格なんて存在するはずがない。だいぶ前に読んだ24人もの人格がある人の半生を描いた小説も、どうせ空想上の物語か何かと思うしな。だって、その人に、別の人格が芽生えるなんて、そんなはずないじゃないか。などと考えてえいるうちに、すこしばかり時間がたってしまったらしい。桜さんに睨まれているのに気づかなかった。

「早く、入れないからどいて!」

威圧感がすごい声なので、僕急いで場所をあけた。おい、彼女って、そんなに威圧感があったっけ?まぁいいか。と、僕が少し考えていると、突然部長氏が声を発した。

「ではーみなさん、これからは、新入社の歓迎パーティでもやりましょう!」

それは昨日もやったような気がするのだが。部長はえっへん、と咳払いしてから、

「そうえばそうだった。じゃあまずは、副部長のキックン、何か歓迎のあいさつを」

え、そのアダ名使うの?っていうかなんで俺がいつのまにか副部長になっているんだ!?その問というかツッコミというかどっちか分からない発言に、部長氏はいがいとしっかりした理由になっている言葉を吐いた。

「それは、キミが一番SFに詳しく、かつ一番しっかりしているからだ。ということで君は1年副部長、というか副々部長になった。ちなみに2年の副部長は彼女、中野優子さんだ」

といって、部長は本を読んでいる少女を指差した。と、桜さんが言った。

「ほら、あんたは早く挨拶をいいなさい」

そういえばそうだったな。そしてこの状態から逃げられそうにもなく、僕は短い溜息をしたあと、歓迎のあいさつとやらを言った。

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