000_ピンク色
冒頭にしてはかなり刺激的な内容ですので、苦手な方は読み飛ばしてください。
後半に同じシーンが出てきますが、その時にはすんなり受け入れられるようになっているはずです。
……たぶん。
「…………、施錠!」
水色のワンピースを着た女がそう言うと、拘束リングが青白く光り、俺の左右の手首が後ろ手にされた状態でくっつき、同時に左右の足首もくっついた。
「うぁっ!」
いきなり施錠された俺は、体勢を崩して前方に倒れそうになる。
が、ちょうど両脇にいた耳の長い種族の女二人がすっと進み出て、俺の体を両手で受け止め、支えてくれた。
……ふぅ、危なかった。
俺は転倒を免れてひとまずほっとしたが、何故かその後、二人は俺を放そうとせず、そのまま毛布の敷いてある方へと運んでいく。
「えっ、えっ!?」
驚いている俺を無視し、二人は毛布の上に俺を仰向けにして寝かせた後、一歩後ろに退いた。
……ど、どういうこと?
もう訳がわからず呆気にとられていると、水色のワンピースの女が冷然と見下ろしながら告げる。
「奴隷としての最後の仕事よ。しばらくそのままじっとしていなさい」
……これが最後の仕事?
すると、今度は猫耳の少女が近付いてきた。
真剣な眼差しを俺に向け、手には何故か抜き身のダガーが!?
「な、何を!!」
そう言うか言わないうちに、少女は素早くダガーを動かし始めた。
刃風が俺の体を何べんも叩く。
「ううっ」
俺は怖さのあまり目を閉じて堪えた。
「…………」
しばらくして刃風が止んだ。
……特に痛いところは、ないようだ。
でも、何となく体に違和感を感じる。
俺は恐る恐る目を開いた。
「なっ!?」
見ると、なぜか着ている服が切り刻まれてボロボロに!
「何でこんな――!!?」
俺は驚いて声を上げようとしたが、次の瞬間もっと驚いてしまった。
なんと彼女達が四人とも服を脱ぎ始めたのだ。
「…………」
俺は驚きのあまり声も出せず、ただ四人を呆然と眺めていた。
彼女達は皆、恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、瞬く間に一糸まとわぬ姿になった。
むっちりとしたやわらかそうな体、グラマーで漆黒の体、子供のように幼い体、スレンダーで色白の体、みんな個性的な体だった。
その後、四人は俺の周りに座り込み、俺の上に載っているさっきまで服だったボロキレを取り除き始める。
「あっ、やめ……」
拘束されて何もできない状態で裸にされるのは、何とも恥ずかしい。
鏡を見なくても自分の顔が真っ赤になっているのがわかる。
そんな俺を見て、彼女達はクスクス笑っている。
ボロキレを全て取り除くと、四人は俺に体を擦り寄せてきた。
……温かい。
彼女達の温もりを全身に感じる。
俺は彼女達の思いを悟り、彼女達に全てを委ねることにした。
やがて四人は、舌を使ってゆっくりと愛撫し始める。
……き、気持ちいい。
……何だろうこの感じ、……ピンク、そうピンク色だ。
薄汚れた天井や、石組みがむき出しの壁までピンク色に見える。
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……何時間経っただろうか。
俺は心地良い疲労の中にいた。
窓から見える外の景色は、いつの間にか真っ赤に染まっている。
もう日が暮れるようだ。
一通りの事を終えた彼女達は、俺の体の一部を枕にして幸せそうな顔で眠っている。
「…………」
俺は改めて部屋の中を見回した。
……思えば、ここからこの世界の冒険が始まったといってもいいだろう。
あれから色々なことがあった。楽しかった事も、辛かった事も。
そして、またここに戻ってきたのだ。
そんなことを考えつつ静かに目を閉じると、三ヶ月前の光景が、まぶたにありありと映し出された…………