四面楚歌
「ええと、どうやってお前は、ダンジョンマスターになったんだ。」
「わからないです。ただ気が付いたら神様がいて君、今からダンジョンマスターだからと言われて、 この世界に来てダンジョンを作れるようになったんです。」
首輪をつけられた僕は、狭い部屋の中にいた。そして、むさくるしいおっさんの前で、質問に答えていた。
「じゃあなぜ、人を殺した。冒険者に助けを求めればよかっただろう。」
「ダンジョンマスターは、冒険者に必ず殺されると神様に言われたからです。」
そういうと急におっさんは、僕の顔を殴った。びっくりして唖然としているととおっさんは、馬鹿にした目で僕をもう一回殴った。
「お前が出会った神様とやらの姿はどんな奴だ。」
また殴られるのかと思って必死に神様の姿を思い出した。
「キレンとか言ってました。緑色の髪で、女でした。目は黒でした。」
「やっぱりな、そいつは神様じゃなくて悪魔だ。有名な悪魔で、偽りのキレンてな、お前は騙されたんだよ。ダンジョンマスターでも全員が全員殺されるわけじゃない。現にお前が今殺されていないだろ。」
「じゃあ僕は騙されていたんですね。」
騙されていて浮かれている僕をみて笑っていた悪魔を思い浮かべるだけで屈辱で体が震えた。
「ふむ大体知りたいことは、わかった、道理で最近ダンジョンが増えた原因はそれか、きみは、もう用済みだから死刑なんだけど、お前に恨みがあるものがいるから、そいつらに任せるわ、まだ死ななくてすむぞ、よかったな。」
体が震えている僕を気にもせず、僕の肩をポンポンと叩いて出ていくと、見覚えのある顔が、一人、入ってきた。そいつは、化粧をして服を着ていたから、一瞬誰だか分からなかったが、俺が飼っていた奴隷のなかで一番気に入っていたレイだった。
「いろいろ言いたいことはありますが、これだけはまず言っておきます。覚悟しておいてね、ご主人様。」
僕は彼女に見惚れていた。彼女は、今まで見た中で一番きれいな姿で僕に微笑んでいたからだ。
ああ、神様いや悪魔、僕はどこで間違えたのだろうか、嘘でもいいから教えてほしい。そしてやり直させてほしい。今度は上手くやってみせるから。