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GM転生クソゲオンライン  作者: 地空乃いいちこ
アップフィールド

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両手をついて

 しまった。プロフィールデータは非公開にしておくべきだった。

 光司は今更そう思うが、もう遅い。


 『ゴンザ』に続き『†イノウエ†』も、『コウシ』をじっと凝視する。視線誘導でカーソルを動かしてキャラクターデータを確認したようだ。


「なんでGMがたかってんだよ。運営仕事しろ」


 †イノウエ†が叫ぶ。


「なんかの突発イベントですか?」


 ゴンザさんはあくまで丁寧口調のまま。


「GMならこの状況何とかして下さいよ。モンスターが近寄らない結界石って村の門のとこにしか無いんでしょ?

壁が壊れてるから村中モンスターだらけだし、クエスト用のNPCとかも死んでるし、家とか畑が燃えたせいで村の規模下がってるから、武器屋とか修理屋も居なくなってるじゃないですか。明らかにおかしいでしょう!」


 窓のそばでずっと弓を撃っていた、なりきりエルフ風のキャラクターが光司の方に振り向いてヒステリックに苦情を訴えた。もしかしてネタとしてではなく真面目にこのゲームをやっているのかもしれない。音声に合わせて表示された文字による会話ログによると、アリアという名前のようだ。


「リア友と一緒に遊ぼうって言ってるのに、村から出れないから合流すらできないじゃないですか。何とかして下さい!」


 そんな事を言われても本物のGMではない為、光司には何ともできない。


 返答に困った光司は、とりあえず汗をかくエモーションを出して困ったアピールをしてみると同時に、アリアの背後から爆発音が響き首がカクンと前に折れる。


 爆発音の発生源はアリアさんの後頭部に直撃した魔法攻撃らしく、一撃で倒れたアリアさんはそのまま半透明になり、ポリゴンを撒き散らして消えた。


「おい、今の『マジック・バズーカ』じゃねぇか。なんで初期のこんな村に、そんな強力な魔法使うヤツが湧いてんだよ」

「マジック・バズーカって、秘境グループホースとかソーンキャッスルの敵が撃ってくる奴ですよね?始まりの村ってアップフィールドの僻地ですよ!」


 異常事態に叫ぶ二人をそのままに、そっと窓に近づいて表を覗いてみる。

 宿屋の外に20体ほどの山賊ゴブリンが溜まっており、その中央に二周りほど大きい青い肌の『族長ゴブリン』が居るのを確認する。

 光司は族長ゴブリンと目があったのを感じ、即座にバックステップして射線を外す。そのまま見ていたら絶対撃たれる。


 光司は自分の見た族長ゴブリンが、以前だれかのブログで見た族長ゴブリンとは色が違う事から思いついた予想を口にした。


「たぶん、変異種だ。極低確率でフィールドのMOB(ザコ)がステータス5割増しで出てくるって言う、マクロ殺しのヤツ。

 ゴブリンのボスの族長ゴブリンが、変異種で出てきたんだ。あいつ手下の取り巻きを召喚する能力は持ってるけど、BOSS属性じゃないし、出現地域もフィールドだから条件に一致する。

 それに遠距離攻撃されると、なんか魔法使おうとしてMP足りなくて中断するっていう行動とるだろ?たぶんそれがマジ・バズで、変異種になって上乗せされたステータスでMPが増えたから撃てるようになってるんじゃないかな」


 すると、今まで会話に参加していなかった騎士風の青年が口を挟んで来た。この人の名前は『みなみ』と言うようだ。


「俺もそう思いますよ。マジ・バズのMP消費は60で、族長ゴブリンの最大MPは45だから計算上は合いますし。でもデータ知ってるはずのGMが、なんで『たぶん』とか『じゃないかな』なんですか、断言して下さいよ。そしたら攻略サイトに写真(スクショ)UPしますから。

俺、ゲートワールド・リークスっていう攻略サイトやってるんです。まだ情報スカスカですけど」


 光司も観た事のあるサイトだったが、たしかにスカスカだった。それでも数少ない攻略サイトだから助かってはいたが。

 その攻略サイト管理者が保証するのなら、アリアさんの頭を粉砕したのは変異種の族長ゴブリンなのだろう。

 問題は、それがわかった所で対処のしようがない事だった。

 ただし、この場にいるPCの協力を得られれば、光司が一度も倒した事の無い変異種の討伐ができるかもしれない。

 このままGMの振りをしても『運営仕事しろ』と責められるだけで何も良い事が無いと思うので、光司はここにいるメンバーに自分が偽物である事を明かす事にした。


「ごめんなさい!実は俺、GMじゃありません!激混み状態でログインしたら、GMアカウントにログインできちゃったので、そのままキャラ作って見ただけの一般プレイヤーなんです!」


 バンッ!と両手で床を叩くようにしてフライング土下座。

 実際には、変異種モンスターが村を蹂躙しているのは光司のせいではないので謝るのは筋違いなのだが、空想世界ゲートワールドは、サービス提供会社に代わって謝りたい位のクソゲーだった。


 何しろ、この宿を囲んでいる族長ゴブリンは1体では無いのだ。


ゲーム開始早々の雑魚モンスターが最強クラスの魔法を使ってくるゲームは実在します。

ファミコン時代のRPGですが……


今回のクソゲポイント:「モンスターの配置が酷い」

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