表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GM転生クソゲオンライン  作者: 地空乃いいちこ
アップフィールド
4/29

既にサブタイに統一感持たせるのが面倒な件について

 光司はとりあえずチュートリアルクエストを進める事にした。


 初心者用ナイフ……ナイフに初心者もへったくれもないと思うのだが、最初に手に入る装備品だ……これが手に入れば、アイテムの詳細情報ウインドウを開いてアイテム番号を見る事が出来る。

 なにはともあれ、アイテムのクリエイト機能を試してみたいのだ。


 確か、村長の浮気を奥さんに暴露すると夫婦喧嘩が始まり、奥さんが『初心者用ナイフ』を投げるはず。

 村長宅の書斎に入れば自動的にメイドとの昼間の情事を目撃できる。

 誰もが最初にやるであろうクエストがこれなのに、酷いシナリオだ。

 大怪我した村長の頼みで、回復薬を買いに行くクエストもここから派生するから、それも受けよう。

 それで『クエストの引き受け方』『落ちてるアイテムの拾得』『買い物』『NPCへのアイテムの使用』などがわかるようになる仕組みだ。わずかだが経験値も入る。


 そう思って村長宅に向かった光司だが、村長宅が炎上しているのを目撃して、即座にターン。全力で逃げる。


 この『空想世界ゲートワールド』は、今までにない斬新過ぎる新機能!「Full object interference system」略してF・O・I・Systemを搭載!とか謳っていた。

 つまりは全てのオブジェクトになんかできますよ、というだけの事なのだが。

 これはプレイヤーがMAP上のあらゆる物を破壊できるという事で、山にトンネルを掘ったり、森を切り開いて道を作ったりもできる!という趣旨なのだが、普通のゲームでは背景に過ぎない樹木や岩にまでヒットポイントが設定されている為、村を囲む防壁がプレイヤーの手によって頻繁に壊される。


 主に魔法の試し打ちの流れ弾や…酷い時には邪魔だからという理由で。

 そうして防壁の壊された村には、モンスターが当然のように入って来るし、火を使うモンスターが居れば当然村は灰塵となる。


 NPC村人は死んでも一日後に湧いて(リポップ)来るし、農夫は低レベルながら大工スキルを持っているので、しばらくすれば家も防壁も建て直してくれるのだが、モンスターが退治されない事にはまた焼け落ちるだけなのだ。


 こう言う時は、ヒットポイントが固定されている施設のある建物…宿屋や店に逃げ込むのが、とりあえずは安全だった。

 そして誰かがモンスターを倒してくれるのを待つ。

 待っている間、建物の二階などの安全な場所から、弓キャラがちまちまと削ってセコく経験値を稼ぐ様子は、モンスター侵入後の風物詩とも言える。

 ゲーマーというのは、楽して安全に稼ぐ方法を考え付く事に関しては天才的な連中が多い。

宿屋の二階から撃つ為にわざと村の防壁を壊す事も一時期頻繁に行われた。労力に大して得られる経験値が少ないのですぐに流行らなくなったが。


 一階が酒場、二階が宿になっているというファンタジー定番の宿屋に入り、二階に駆け上がる。

 そこには既に四人のキャラクターが避難していた。


 窓のそばには、若草色の短いワンピースを着た耳の長いアーチャー(弓士)らしき女性が居て既に撃ち始めている。

 このゲームのプレイヤーキャラクターは種族が人間しかいないので、エルフでは無くただ付け耳を装備しているだけのなりきりエルフだ。

 ふざけた外見だが、戦士から派生するアーチャー(弓士)に転職しているのならばそこそこレベルも高いはず。

 プロフィールを非公開にしているので職業はわからないが、戦士や探索者なら鎧が着れるので防具制限のあるアーチャー(弓士)と思われる。


 その隣に眼鏡・ローブ・ねじくれた杖という典型的な魔法使い装備をした青年が、座って瞑想している。

 瞑想は魔法士の取れるMP回復スキルなので、窓から遠距離魔法を撃ち尽くして回復中と言った所か。

 カーソルをそっと視線誘導で合わせてみると、名前は『†イノウエ†』で、やはり魔法士のようだ。

……案内人アンディの奥さん吹き飛ばした奴か。


 他にはごついハンマーを持ったモヒカンの黒マッチョと、白銀の鎧を着て紋章入りの盾を持つ金髪の青年がベッドに座っているが、アイテムのトレード中らしく二人でウインドウ操作している様子。

 どう見ても前衛の二人だから安全地帯からの射撃はできないだろうし、純粋に避難してきていると思われる。


「ちわー。避難ですか?」

「こんにちは。ええ、村に入ったモンスターの討伐に行ったんですけど、予想以上に強くて。回復薬が残り少ないので自然回復待ちです」


 モヒカン黒マッチョの方が、予想外の丁寧口調で教えてくれた。

 表示された名前は『ゴンザ』とある。ゴンザレスだか権三郎だかわからないが、外見にぴったりの名前だろう。


「回復薬は買えない状態ですか?」

「ええ。商人がとっくに死んでますので」


 NPCは案内人や商人など、役職を持ったキャラクターの一部は保護属性になっている。

 これはヒットポイントが固定されており死なないようになっているという事なのだが、街によって保護されているキャラと保護されてないキャラはまちまちである。

 その理由は不明なのだが、武器や防具の耐久度が尽きて壊れた時に武器商人が死んでいたりすると、その日は狩りにならない。

 始まりの村では案内人と宿屋の女将以外は、ほぼ死ぬ。


 どうでもいい話だが、街と街を交易しているという設定の『行商人』が保護属性になっている事はなく、良く死ぬ。というか、よくプレイヤーキャラが襲う。


「あのぅ、申し訳ないんですが、一個で良いので回復薬譲って貰えないですか?チュートリアルクエストの達成用に欲しいんです」

「あ、初心者さんなんですか?いいですよ」

「うわぁークレクレちゃんだよ。乞食おつ」


 光司が、ゴンザさんに回復薬を譲って貰おうとした、その時。

 窓のそばで瞑想していた魔法士の『†イノウエ†』が茶々を入れてきた。


 クレクレというのは、大規模オンラインゲームに良く出没する、アイテムを奢って貰おうとするタカリプレイヤーの事で、友人ならともかく初対面の人にアイテムをねだるのは当然だが嫌われる行為だ。


「いや、お金払いますって。レベル1だけどキャラクター作成時の所持金で回復薬一個分位はあるし」

「『その程度いらないですよー』とか言って貰うの期待してたんじゃないのー」

「あ、残り少ない回復薬なんで、倍額で売りますよー。作成したてのキャラなら有り金全部ですねー」


 絡んでくるなぁこいつ、と思ったらゴンザさんから突然の腹黒発言。


「まぁ、モンスターが村の中に湧いて即宿屋の二階に駆け上がってくるなんて、初心者のはず無いですし。セカンドかサードキャラクターですよね?」


 そう言って花が咲くようににっこりと微笑む黒マッチョ。

 その指がトレードウインドウを開く為に、ゆっくり光司に向けられる。

 そして笑顔が凍りつく。


「え、職業『GM』って。ゲームマスター?」


オンラインゲーム以外で、クソゲーっていうと何かいいお勧めありますか?

有名なデス様は未入手ですが、里見は二周してます。

テンションもかなりの物ですよね。


ガチで突っ込みどころの多いクソゲー好きな方には、情熱熱血アスリーツとか是非お勧めします。


今回のクソゲポイント:「武器の名前が酷い」「シナリオが酷い」「どうでもいい斬新な機能」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ