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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ホラー短編集

たいようさんさん

作者: 粉原 望夢
掲載日:2025/11/29

「太陽の下に出られない。部屋の前にある荷物を持ってきてはくれないか、金は払う」

 突然大学に来なくなった先輩から一件のLINEが届いた。


 ああ、たすかるよ。金はそこに置いてあるから好きに取ってくれ。いらない?ああ、わざわざ大学の先輩のために来てくれたんだ。貰ってくれ、そんな顔してどうした、そうか気になるよな急に俺が大学をさぼって引きこもっているのだからな。大丈夫だ、ただ時間があるなら、あの日の話を聞いてくれ。


 あの日は蒸し暑い真夏の日だった。怖い話といったら丑三つ時とか曇天の日だが、そんなことはまったくない。昼間の二時、ちょうどバイトが終わってコンビニでもよってビールでも買おうか家に帰って買いだめているラーメンを食うか悩んで歩いていた時だ。別に横道にそれたわけじゃない、いつも通っている道を歩いていた時だ。


 『きょうはいい太陽ですね』 


 声をかけられたんだ。どこにでもいるような白髪に少しだけ黒髪が混じっていて優しそうなおばあさん。俺が生まれる前にどっちの祖母も死んでたから、こういうタイプの人とどう接すればいいか分からなかった。うんとかああとかそんなことを返事した。ん、別にその時は辺なところは無かった。本当にただの近所に歩いていそうな人だった。しいているなら言っていることだけ変だった。


 そのおばあさんはそのまま話を続けた。『本当に、本当に、いい太陽。最近はあまりよくみえなかったらかねぇ』とかそんなことを言ってた。俺は困って返事をすることもできなかった。話はとまらない『ああねぇ、最近の若い子はあまり太陽を見ないのかしら、太陽はいつだって私達のことを見守ってくれるのにねぇ』ため息をついて俺の方を見た、あの目はなんだか怖かった、なんというのか狂ったやつの目じゃねぇ、最初っから違う生物みたいな。話している内容も宗教じみてきたし、俺は気味悪くなって無視してその場をさることにした。『あら忙しいの、こんなに良い陽なのに。大丈夫よ待っているから』そんなことを言っていた気がする。


 コンビニに行く気もなくして自宅に帰ることにした。家に変えるのは簡単だ、右に三回曲がるだけのはずだった。


右に右に右に右に右に

 

 明らかにおかしかった。脇の汗に嫌な汗が流れた。何度曲がったて家に着かない。道はちゃんと覚えている、大学行くために上京して三年、安いボロアパートへの道はちゃんと覚えている。周りの景色?見たよ、見たが全部正しい道なんだ、右に右に曲がるたびに曲がるべき道が出てくるんだ。あの日は暑かったから熱中症にでもなったかと不安になって立ち止まったんだ。でも、よくいう吐き気も頭痛もしない。相変わらず暑いがそれだけだった。気の所為かと思って顔を上げたんだ。ああ、あそこにいたんだあのババアが。


 ババアはまたあの笑顔でこっちを向いた。


『また会いましたね、太陽があなたを気に入ったみたい』

 俺は気味が悪くなって、無視して歩き出した。見慣れた曲がり角を曲がった、またアイツがいたんだ。当たり前に。『そんなに急がなくてもいいのにねぇ、ちゃんと見てらっしゃるからねぇ』もう、どうすればいいか分からなかった。足が震えて上手く歩けないが、何とかもう一度曲がり角を曲がった。当たり前だがそこにもアイツはいた。もうヤケだった。


右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に右に



 俺がおかしいのか、世界がおかしいのか。頭がぐちゃぐちゃで今にも発狂しそうだった。何度、何度曲がってもアイツがにこにこと笑っている。何度目だろうか、歩く気力がなくなり座り込んだ。『あらあら』

あの声が聞こえた。


 『あら、ようやくお時間ができたのかしら。』


 柔らかく温かい声が聞こえた。あと時の俺にはただ気味が悪く、地獄からの使者にしか見えなかった。手も足も震えて、焦点が定まらなかった。心臓の音がうるさくてうるさくてたまらなかった。


『せっかくだからお話しましょう、大丈夫かしら?』

「わかった、わかったから早く家にか『太陽がいつできたか知っているかしら、ずっと昔ずっと昔ニンゲン何かがいなかった頃から太陽は私達のことをずーっと見守ってくださっていたの。太陽は私達に命を知恵を愛を生きる意味をくださったの。私達は太陽をずっと崇めていた。なのに、なのに、海からきたアイツらが太陽の許可も取らずにあのお力を勝手に使いやがった。いえ使い始めたの。私達が丁寧に催事を行い許可を伺い丁重に扱ったあの力を使った奴らは、、、天罰は下るのね天からの裁きに、地の怒りだけど奴らはしぶとく生きながらえている。だけど、ようやくようやく我々の天下が...』


 アレの言葉を聞く気なんてまったくなかった。話したいことを全て話し満足したのかアレがゆっくりと近づいてきた。『でも、あなたは太陽が気に入っているみたいだから。ちゃんと感謝するのよ』


 その顔はもう人の顔をしてなかった。どんな顔だって?お、思い出させないでくれ、考えるだけで吐きそうなんだ。もう逃げる元気も叫ぶ元気もなく俺は目を逸らすことしかできなかった。忌々しい太陽はまだ輝いている。ふと目に腕時計が目に入ったもう七時だ、俺は五時間もこの空間で過ごしているのかと考えると馬鹿らしくなった。


「もう夜だ。太陽なんてとっくに落ちた」


 何の気無しに呟いた。こんなよく分からない空間に閉じ込められて、きな臭い話を聞かされて、一生分の恐怖を味合わされて。ちょっとぐらい嫌味を言いたくなった。たぶんあの時の俺は少し、嫌だいぶおかしくなってきていた。するとアレの顔は急に普通の戻った。



『あら、もうこんな時間帰らなくちゃね。次はちゃんと一緒に行きましょう、太陽の下にいるのよ』


 アレは消えた。俺は薄暗い道路の中を座り込んでいた。夢?俺だってそう思いたかった。だが、五時間も道路の真ん中で倒れてて通報されないことがあるか?ここのあたりは住宅街だ人も車も通る。その後は右に三回曲がって家に帰った。それから外には出れない。


 眼の前にいる先輩は明らかに正気を失っていた。太陽の下に出ないせいか、健康的だった肌は青白くなり

腕には自分で引っ掻いたのだろうか、白いノートに引いた赤ペンのようだ。

「いっそ、外に出てみたらどうですか。太陽が出ていない時間でもいいですから」

これ以上おかしくなる先輩を見たくなくて、提案をした。


「バカをいうな、もしうっかり忌々しいもの下にでちまったらどうする。それにつぎは月を信じているやろうどもがきたらどうする」


 どこにその元気が残っているのか、ギラギラと濁った目が光っている、明らかに正気ではない。


「そうか、おまえもあびすぎたんだ。あんなのに近づいたらダメだ、いや、お前もアイツらの手下だろさっさと出てけこの化物」


急に投げつけられそうになったカップラーメンの蓋を避けながら部屋の外に出る。少なくとも先輩は2週間前まで優しく頼れる先輩だった。思わずため息が出る。むりやり、病院に連れて行くのも手だ。わざわざ他人にそんなことする義理はないが、貰った恩がある。そんなことを考えていると眼の前に人がいるのに気が付かなかった。


「すみません」

 ヒュと音が口から出て、顔が青ざめる。

『いえいえ、大丈夫ですよ。今日はいい

とある小説に影響を受けて書きました。原型は全く残っていません。

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