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ブラック企業にはいった男の話~ブラック企業が続く理由

作者: 山田 勝
掲載日:2025/10/25

 私はブラック企業に2年勤めていました。


 失業し家族を食わせるために・・日給1万5千以上可。未経験歓迎


 という求人広告に応募しました。


 面接を受け。さあ、雇用契約書にサインを・・この時からおかしかったです。


 給与のところに付箋が貼られていました。

 見えないようになっていました。


 しかし、50前の私に選択肢はないと思いうっかりサインをしました。


 仕事は土木現場の手元作業です。

 朝は早いですが、公共事業なので夕方4時半には仕事が終わり。30分で後片付けをして5時には帰れました。


 初めて給与明細をみて給料が判明しました。

 この会社では紙での給与明細です。


 時給1200円でした。


「黒木さんよう。現場未経験で歳いっているから1200円だな。これでも高い方よ」


 私は何も言えなかったです。


 社長は私と同じ年齢で、一流企業出身だといつも自慢していました。


 お気に入りの社員、言い方は悪いですが、いわゆるDQNをつれていつも飲み歩いていました。


「ギャハハハハ、お姉ちゃん。車買ってあげようか?会社の費用で買えるんだわ」

「もお、やだー!社長」

「ミキさん。社長スゲーんだぜ。一流企業出身なんだぜ」


 周りにヨイショされて上機嫌でした。時々、元請けの社員を招待して接待もしていました。


 しかし、DQN。中学もまともに行っているか分からない子たちでした。


 すぐに問題を起しました。



「お前!現場内の動画をあげるなんてどういう了見なんだよ!頭おかしいのか?」

「え、何で?仕事時間外ですが?」


 その度に社長は呼び出されて叱られて。

 そのDQNをクビにしていました。


 お気に入りが問題を起す。それを何回も繰り返しました。



 そのうち。私は元請けの社員に仕事を頼まれるようになりました。


「黒木さん。パソコン出来るんだって?なら、少し手伝ってくれよ。残業一時間になるけど」


「はい、喜んで」


「一時間以内に終わらせてくれ。その前に終わっても一時間で良いからよ」



 毎日、残業一時間になりました。

 私はお金を稼ぎたかったので喜んで引き受けました。


 次の給料日、明細をみたら・・・


「え、社長、残業代がおかしいです。この金額は県の最低時給ですが・・」

「それが何か?あのね。最近、厳しいのよ」


 私は何も言えなかったのです。残業は割増しになるのに・・・


 社長はこのご時勢に、


「俺、ヤクザの知り合いがいるのよ」


 と飲み屋で知り合ったヤクザを自慢していました。

 更にその伝手か人を雇いました。


 やけにガタイが良いというよりもデブ、30代くらいで首回りに肉がついている奴でした。


「俺は刑務所帰りだ。よろしくな」


 刑務所帰りを自慢しているトンデモない奴でした。


 DQNたちは大喜びでした。私の感覚がズレているのか。これは分かりません。


 こいつは会社内では人事部長に就任しました。

 年下なのに、私にはタメ口です。


「あ、黒木、パソコン貸して」


「ダメです。私の個人情報が入っていますから・・」

「何だと、ケチだな」


「黒木、車貸して、ムショ帰りで車ないんだわ」

「ダメです。保険の問題があるでしょう」


 私はこのときから社長と人事部長から嫌われるようになりました。


 そして入社してから2年、そろそろ現場が終るくらいでした。

 次の現場は・・・と思い聞きましたが職はありません。


「黒木は年寄りだからな。他の現場は若い奴に任せた」

「え、それでは会社都合の解雇にして下さい」

「ダメ、聞こえが悪いでしょう。辞めるなら自己都合な」


 と会社内で失業した状況になりました。

 保険は国民健康保険、国民年金です。


 会社を退社しようと思い。

 元請けの、私に残業をさせてくれた並木さんに話しました。


「はあ?うちはちゃんと、残業代割増しで払っているし、社会保険分も払っているぞ?」


「そうなのですか・・・」


「黒木さんよう。訴えな」


「しかし、訴訟は・・・お金と時間が掛かるし」


「ここに電話しな」


 と元受け内のコンプライアンス関係の部署を紹介してもらい電話をしました。



「はい、山田です」

「黒木と申します。貴社の現場で働いていた者ですが・・ここは〇〇建設様の部署であっていますか?」


 おかしい。会社名を言いませんでした。


「はい、そうです。ご用件は・・」


 私は今までの事を話しました。


「なるほど、証明するものはありますか?」

「はい、給与明細があります」


「分かりました。調査をします」



 と話は数分間で終わりました。


 3日後、家で次の仕事を探していると。

 電話が来ました。


 あの人事部長です。

 いきなり大声です。


【テメー!お前1人の我が儘で皆が困っている事になっているのだ!責任とれるのかよ!恩を仇でかえしやがって!】



 理不尽です。私はこのとき、自然と声が出ました。


「今、私が困ったことになっているのですが・・」

「・・・金は振り込んだ!これで解決したと電話しておけ・・」


 電話は切れました。

 少しすっきりしましたが、口座には3万円しか振り込まれていませんでした・・・


 それから、山田さんと連絡を取り報告し。数回のやり取りをして。


 正規の残業代、社会保険料などを会わせて、ざっと計算して200万円を振り込んでもらいました。


 最後に社長と電話をしましたが・・・


「何だ。たった200万円で良いのか?」


 と言っていたのが印象的でした。

 社長にとって数百万円は端金なんだな。と腹がたちましたが、

 今までのは何だったのか?

 という思いがこみ上げていました。


 これからどんなに困っても給与の額が記載されていない契約書には印を押さないと思う次第です。





 ・・・・・・・・・



 黒木さんの事案は解決した。

 私は山田、事務方だ。


 こういった場合、一方のみの言い分で判断出来ない。


 あの会社に聞き込みをしたら、それだけで解決した。

 あのブラック企業は、少なくても10年以上は続いている。

 笑えないのが、あの社長は有名企業をリストラされた元社員だ。


 一流企業は鼻血を出しても法令は守ると思っていたが違うのか?


 しかし、ブラック企業が続くのには理由がある。


 あの社長は数々の問題を起すが逃げないことには定評があった。



【申訳ございません!】


 聞いた話だが、会社に来て土下座をしたそうだ。

 弊社の社員を接待して味方につけていたと思っていたが、さすがに味方になる者はいなかった。


「あのよ。泥がついたな。まあ、解決すればそれで問題はないよ」


【本当ですか?有難うございます!】


 と所長はニコヤカに言ったが・・・


 別の問題で干すことにした。



「あれは地元企業で使わざるを得なかったが・・・これ以外にも数々の問題行動を起しているな」


「ええ、作業員が現場内で動画を撮ってアップしたり。一番ヒドいのは、家族に現場内で事故にあったと嘘の報告をして、家族が大騒ぎをして労基から労災隠しではないかと疑われたことがありました。ないものの証明ほど難しいものはありません。警察まで来ましたね」


「喧嘩で怪我をして誤魔化すためだとか・・・本当に馬鹿は予測できないな。面倒くさい会社だな。切るか。あの会社には現場を回すな」

「はい、そうします」


 となったそうだ。


 あの刑務所帰りと自慢をする人事部長は、本物のムショ帰りに飲み屋で出会い・・・


「自分、何をしてお務めした?」

「それが、ほら、人を騙して・・・刑法は分かりません」


「おかしいな。裁判官が罪状を言うぜ。どこに入った?」

「〇〇刑務所・・・」

「おかしいな~、初犯でそこはないぜ。ちょっと話を聞こうか?」


 と一悶着があったと噂で聞いた。


 その会社は名前を変えて今も看板だけはある。

 名前を変えれば何とかなるとこの狭い地元で考えているらしい。

 頭はブラックのようだ。




最後までお読み頂き有難うございました。

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