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1話 天上の国

____天界歴580年


世界は混沌に満ちていた。


国の重鎮達が自分たちの利益と私欲を優先させた政策により、民衆の間では不満が溜まり革命が起こる。


国家間での争いも絶えず、至る所で戦渦に巻き込まれる大惨事。目を背ける者。神に祈る者。腐敗した世の中を呪う者。各々が戦争に対する思いをそれぞれ持ち考えることはさまざまであった。

しかし唯一皆の間で統一された願いがあった。


民は強く願う。


「誰かこの地に平和を...」と。


いつの日にかこの戦争も終わり平和な時代がやってくるであろうと、そう願い、長い時が流れる___


時代は変わり世界の霧は払われた。


民衆を中心とする政治体制に移行され、戦火だった所は発展し都市へと変貌した。

その様は平和そのものであった。人と人とが手を取り合っていけるその世界はとても美しいものだった。


_________


この残酷にも美しく無常な世界とは変わりここは天上の世界。

下界とは違い何物にも乱されないその場所は、光の象徴であった。濁りひとつない空には煌々と光り輝く太陽が見え、その地に流れる川は全てのものに安らぎを与える。

そんな天界にアルムの国と呼ばれる光の国があった。

その国の中央にそびえ立つ王城の一室に1人の天使が怒鳴り声をあげていた。


「ヒルア!またお前は禁ノ園に立ち寄って果物をもぎ取ってきたのか!何度言ったらわかるのだ!あそこのものを食べるのは禁止されておるのだぞ!」


何個もいできたのやら、とつぶやき大量の果物を横目に見ては、アルム国現天王であるハルバン・クロニカ・アルムは、その孫であるヒルア・クロニカ・アルムに叱責する。


「じじ様!じじ様!そんなことはいいからこの梨すごく美味しいよ!あ、こっちのぶどうもすごく甘くて、やっぱりこっちのリンゴが1番かなぁ、甘さと酸っぱさがすごく良くて!」


「ヒィ〜ルゥ〜アァ〜!お前は、次代の天王を担う器なのだぞ!それなのに、勉学から逃げて!そんなことでは、天上の世界と地上の世界の者達に示しがつかぬ!今日は下界の歴史について学ぶ日であったろう!サボったのか!」


あ、ばれてる、、、


「げっ、、いやぁ、ちょっとお腹が痛くて、、」


今日は歴史の授業があり特別に雇われた先生が来る日だったなぁ、と思い出してももう遅いのであった。

もちろんヒルアは禁ノ園へ出向いたためサボっていたのは事実である。


「またそのような言い訳を、、、だいたい天使にそのような人間たる脆弱性は備わっておらぬ。何度も言うが下界の歴史について知ることも大事なことなのだぞ。そなたはそれがまるでわかってない。そもそも人間とは、、、」


また始まっちゃった。こうなったじじ様はもう止まらない。人間に対して異様に好感度が高い。

人間か、、、会ったことないけど、僕が知る限りでは、


「じじ様、なぜ人間に天罰を与えぬのですか。あの者達は自分の私欲にまみれた醜き生き物ではありませんか!なんの罪もない生き物、また同族同士を巻き込み争う種など要らぬと僕は思います。」


そう、下界、人間が住まう地上の世界には、常に悪意が溢れている事をヒルアは知っていた。だからこそヒルアは、そんな人間のことをよく思っていなかった。


「はぁ、ヒルアよ。人間は成長していく生き物なのだ。我らでは持ち合わせておらぬほどの心の強さ、魂の強さを持つのが人間なのだ。間違いを犯すもの達ではあるが、それ以上に輝きを持ち合わせた者たちなのだ。」


ヒルアはキョトンとした。じじ様の言っていることがあまりに理解しがたいものだった。人間は今も争いをやめずにいるではないかと。成長のせの字も考えられぬ、と。


そんなこと考えているとハルバンはヒルアに


「ヒルア、明日話がある。玉座の間に(ぜん)の刻がちょうど過ぎる頃現れよ。」

と言い残し、部屋を出ていった。


また呼び出しかー!と嘆く。

禁ノ園に行き、バレてしまった際ハルバンに玉座の間に呼ばれては、謹慎を受けたり、課題を増やされたりと罰を受けていた。


いつもは(ぜん)の刻、ちょうど昼の時間ヒルアはコソッと国を抜け出し禁ノ園に出向いていた。


「明日は行くのを我慢するしかないかなぁ。最近はどうも周りの目が厳しいから少々行くのに手こずっていたし、なによりじじ様今日本気で怒ってたっぽいよね、、、」


明日は行くのをやめよう、そう決意したヒルアは寝床についた。




マイペースで書いていきます。

目安として週に1〜2話ほど更新できれば万々歳。

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