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短篇

天使と悪魔

作者: 蒼本栗谷

 夜の街で一人の男性が屋上にいた。男性は屋上の柵を乗り越え、飛び降りる体制を取る。

 下を見て息を吸う。

 いざ飛び降りようとした瞬間、目の前が光った。


「ここで死んでは駄目ですよ」

「――!?」


 そこには白い羽を背中から生やしている一人の女性天使がいた。女性はシスターのような服を着て両手を合わせて男性わや見つめる。


「まだ間に合います」

「……けど、俺が生きてたって」


 男性は目の前の女性が天使だと確信して言葉を漏らす。

 その男性の後ろから新たな声が聞こえた。


「死んじゃえばー? どうせオマエなんて生きてても仕方ないんだし」


 背後を振り向くとそこには黒い羽を生やした男性悪魔がいた。

 悪魔はケラケラと笑う。


「今なら確実に死ねるって。ほら、ひとっ飛び」

「駄目ですよ。飛んではだめです」

「はーやーくー」

「駄目です」


 天使と悪魔は交互に男性に語りかける。男性は頭を抱え「なんで、こんなことに」と呟く。


「私に吐き出してください。神は全てを許すでしょう」

「お、俺は……会社で部下のやらかしで、俺に責任が来て……」


 男性は泣き始めながら答えていく。それを目を細めながら見つめる天使。

 悪魔は黙ってその話を聞いていた。


「部下の教育ができてないのは俺のせいだって、あいつは自分勝手なのに……俺はクビにされた……なんで」

「それはお辛かったでしょう。ですか、ここで終わってはだめです。まだアナタには希望があります」


 天使は涙をほろほろと流しながら慰める。

 

「きぼぉう? んなもんもうねぇだろ! もうこいつは終わってんだ! ほら、早く飛べよ」


 悪魔はケラケラと笑いながら急かす。

 それをじろっと睨みつける天使に悪魔は舌を見せ挑発する。


「うぅ、おれ、おれは……」


 男性は涙を流しながら目の前にいる天使に向かって手を伸ばす。

 まさか自分に手を伸ばすとは思わなった天使はびっくりした様子を見せる。

 男性は天使に近づくように足を――一歩――踏み出した。


「っあ」


 その瞬間足を踏み外し屋上から落ちていく男性。

 そして数秒後にグシャという音が聞こえ悲鳴があたりに響き渡る。

 それ見てから天使はため息を吐いた。


「私の負けです。今度は背後に現れるとしましょう」

「いやぁ流石にこれはないだろー。俺に一点な」

「次は負けません」


 天使と悪魔は笑いながら男性を生かせれるか、死なせれるかの賭け事を話す。

 彼らの中では男性の生死はあまり関係なかった。自分の賭けた方が勝てばよかった。


 そうしてまた賭け事が始まる。

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