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いのちのパン屋さん〜明日への光〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・コロンビアとクロワッサン

 佐藤恵理也は牧師だった。その名前も旧約聖書の預言者からとられている。もう五十過ぎで、娘と二人で、田舎の小さな教会を守っていた。


 今日は、別の教会と牧師を交換し、説教する予定だった。という事で地元の田舎から、穂麦市という場所に来ていた。さっそく穂麦市の教会がある住宅街へ向かったが、早く来すぎたみたいだった。


 教会の隣にあるパン屋で一休みする事にした。福音ベーカリーという名前のパン屋で、どう見てもクリスチャン関係者だ。しかし、礼拝のある日曜日に営業しているのは、謎だ。その点は牧師らしく説教しよう。


 しかも店員はチャラチャラしたイケメンだった。クリスチャンでは珍しいタイプで、ますます牧師モードで説教したくなる。


「店員さん、礼拝いかなくていいのかい?」

「えぇ、ちょっとまあ、私は社畜なんで」

「は? 社畜?」

「礼拝は今日の朝、天界に一時帰ってしてきましたから」


 意味が全くわからない。おそらく日曜日礼拝はカトリックが土曜日から変えた云々の陰謀論にでもハマっている若者だろう。曜日にはこだわらず、とにかく神様のために礼拝しよう、その心が何より一番大事だと言いたくなったが、店の美味しそうな商品を見ていたら、なんとなく説教する気も失せてきた。特にサクサクなクロワッサンが気になる。種無しパンが良いと断言できないところが、情け無い。


「クロワッサンは、コロンビアのコーヒーとよく合います。独自のローストの香りと朝のクロワッサン、最高ではないですか?」


 こんな営業トークもされ、断れない。さっそくイートインスペースでこれを食べる事にした。


「牧師さん。礼拝の説教を頑張ってね」


 笑顔で応援までされてしまった。意外とチャラチャラしたイケメンでは無いのかもしれない。


 確かにコロンビアコーヒーとクロワッサンはよくあい、あっという間に食べ切ってしまった。


 イートインスペースから見える窓からは、日曜日の朝の日差しが差し込んでいた。その眩しさに、思わず目を細め、再び美味しいコーヒーを啜った。

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