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いのちのパン屋さん〜明日への光〜  作者: 地野千塩


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番外編短編・揚げパン

 福沢聖花は、数年前から盲目だった。しかも医者からは原因不明と言われていた。


 聖花は、元々スピリチュアル系のヒーリング業をしていたが、ひょんな事からクリスチャンになり、悔い改めと同時に視力が消えた。ご利益宗教と全く逆で、こういう事は別に珍しくは無いようだった。


 ただ、 盲目になってから、霊的なものは見えるようになってしまい、いわゆる悪霊祓いをやっていた。普段は教会で伝道師の活動もしているが、依頼されればタダで何でもする。


 今日も穂麦市の教会から連絡があり、近所の公園が悪霊の門があるようで、何匹か祓っておいた。


 盲目である事は、不便だが、霊が見えるのは便利だ。天使も見えるので、祈った後は、悪霊の門の近くに彼らが警備しているのも見える。門のそばにいる天使は、イメージと違い、ヤンキーみたいな強そうな奴らだった。


 天使は人間との接触はあんまりしてこないが、近所の美味しいパン屋があるそうなので、行ってみた。福音ベーカリーという名前のパン屋で、おそらくクリスチャンが経営しているパン屋だと察した。


 杖をつきつつ、近隣住民に尋ねながら、福音ベーカリーに向かう。この辺りの住民は、優しく、移動もしやすかった。


 福音ベーカリーは、霊の目で見ると、完璧なほど良かった。日本はどんな場所でも悪霊がいるものだが、周囲は聖霊の火で燃え、完璧に守られている。


「いらっしゃいませ」


 店に入って驚いた。天使が経営しているパン屋だった。人間の姿は全くわからないが、店員は、迷彩服姿の強そうな天使だった。


「いい香りがする。ぶっちゃけ、何にも見えないから、食べ物も見た目はどうでもいいんだけどね」

「今は揚げパンができたてです」

「道理で!」


 聖花は、天使に手を引かれて、イートインスペースで揚げパンを食べた。何も見えないおかげで、揚げパンの匂いや味は、より敏感に感じる。どうもこの食材、普通のものではないようだ。オーガニック素材ではありそうだが、天使が作っているとなると、違うところでも生産された疑惑もある。例えば、天国とか。


「目が見えなくて不便な事はない?」

「それはいっぱいあるわよ。でも、目から入る悪霊は完全封鎖できるのはいいね。うっかりイケメンなんて見ると、心の中で、大興奮だもの」


 そう言って揚げパンを再び咀嚼していると、なぜか目の前の天使は声をたてて苦笑していた。


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