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いのちのパン屋さん〜明日への光〜  作者: 地野千塩


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一つの道といのちのパン(2)

 夜、寝る前、スマートフォンを操作しつつ、福音ベーカリーについて調べていた。曲作り以外の仕事が忙しく、時計を見ると、夜の1時過ぎだった。


 仕事を片付け、風呂に入ってようやく一息ついた頃だった。


 驚いた事に福音ベーカリーの口コミは、ほとんど載っていなかった。美穂子の話では、店長はイケメンらしいが、そう言った話題も出てこない。パンやカフェのクチコミサイトにも、全くコメントが出てこない。店の写真すら出てこない。これは本格的に地元密着型の個人店店舗なのかもしれない。


 ただ、店のSNSはあるようだった。聖書の御言葉をパンの画像とともに紹介されていた。


「人はパンだけで生きるものではない。」(聖書マタイによる福音書4:4)」の御言葉については、聖書の画像をあげていたが、パン屋がやって居ると、自虐なのか何なのか判断がつかない。


「わたしは天から下ってきた生きたパンである。それを食べる者は、いつまでも生きるであろう。わたしが与えるパンは、世の命のために与えるわたしの肉である」。(ヨハネによる福音書 6章 51節)」の御言葉のは、種無しパンや輪型パン、ツォップの画像が上がっていたりした。やはり、クリスチャンが経営しているパン屋である事は間違いないようだった。


 最近は、新製品も開発したそうで、試食をしてくれる人も募集していた。新製品の画像は載ってなく、気になってしまった。福音ベーカリーは少し遠いが、一度行っても良い気がする。何か新曲が浮かぶアイディアが浮かんだりしそうな予感だ。


 部屋の窓からは、夜空が見えた。月も星も出ていない静かな夜だった。


 ふと、窓の外を見ていたら、前住んでたいた町での教会で、知り合った人の事を思い出したりしていた。確か元占い師の女性で、教壇で証を一生懸命語っていた。海外では、元ヤクザや占い師という経歴のクリスチャンも珍しく無いのだが、敬虔な人達は気に食わない者も多いようだった。


「占いやってたとか信じられない」

「しかも旦那がノンクリなんでしょ?」


 礼拝堂の後ろの方で、ボソボソと小声で文句を言っている人の声を、何となく思い出してしまった。


 その後、一応牧師にも悪口言っている人がいると、報告したが、あまり真面目に取り合ってくれなかった。クリスチャンというよりは、律法主義者のような雰囲気がある牧師だった。


「悪口など言うものには、主が懲らしめますから」

「一応肉でも行動し、注意した方がいいんんじゃないですか? ヤコブの手紙を見ると、祈るだけじゃダメですよ……」

「ヤコブの手紙は、ルターもあまり重視してなく……」


 緑は、納得いかない所を指摘しただけだったが、真面目の取り合ってはくれなかった。やはり、翠のようなものは教会コミュニティに入りにくい雰囲気は否定できなかった。もちろん、聖書に従ってるクリスチャンも全くゼロではなく、緑が今いる教会は、長く通えていた。


 そんな事を考えていたら、自作の曲の投げつけられる人々の言葉が怖くなってきた。足もすくむ思いで、眠れなくなってしまった。


 仕方がないので、キッチンに行き、カフェインレスのルイボスティーでも飲み、少し心を落ち着かせたが、眠気はさっぱり降りてこない。


 ベッドの上に腰掛け、再び聖書を開いてみる。

 ヨハネの福音書の冒頭から「はじめの言葉があった」から始まる。神様はこの世を全て言葉でつくった。


 人間は完全な存在ではないが、元々神様の似姿に作られている。発した言葉が強い力を持つということは間違いない。スピリチュアルみたいな言霊は、半分ぐらいは間違ってはいない。自分勝手な願望を叶える為に、そういった言葉の力を使うのがダメなだけで、言葉に力があるのは本当だ。


「うーん、やっぱり、クリスチャンが好むような讃美歌ってむずい……」


 頭の中が、投げつけられた毒まみれな言葉でいっぱいになってしまった。本当は聖書の御言葉を宣言し、投げつけられた言葉の力をキャンセルする事も出来るのだが、気が滅入ってしまい、何の力も出てこなかった。


「あぁ、神様……」


 こに状況をどうしたら良いか、祈る事しかできなかった。


 窓の外は、相変わらず夜が広がっていた。今の気分では、この夜が明ける予想が全くできなかった。

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